黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『うたうひと』小路幸也(祥伝社)

2008-08-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
“weeping in the rain.”というのが代名詞だったギタリスト。病院の中庭で彼にインタビューをする女性記者と、それを傍らで聴く彼のファンだという青年看護士を前に、自分の過去を…かつて愛した人との出会いと別れを語る。中学の先輩だった彼女・アンリと付き合い始めて10数年、彼女だけをただ一人愛し続けていたが、突然姿を消して……『クラプトンの涙』、
15年ぶりにステージに立つケントは、過去を振り返りつつ待っていた。
8歳の時からの幼なじみショウと、いつしかデュオを組み始めたケント。ケントは曲作りに、ショウはその声に天才的な才能を持ち、人気が出始めたものの次第にその仲に亀裂が生じて……『左側のボーカリスト』、
1976年。リーダーであるコーイチの下、結成されたホーンセクションがメインのバンド“ウルトラホーン”。しかし主な仕事は、アイドル歌手のバックバンドばかり。そんなバンドの一員である“僕”ゴトーこと五嶋匡一はトランペットを担当。他にはサックスのロールさん、トロンボーンのmash、ヒデさん、ギターの銀さん、ベースのケンタ、ドラムのリュウさん、キーボードのタカさんがいた。やがて、アイドル・伊藤ミキのバックバンドになった僕は、彼女と恋人になったが、その仲を社長に反対されて、バンドは解散の危機に……『唇に愛を』、
人気絶頂の盲目の女性ピアニストの突然の引退宣言。誰にもその理由を明かそうとしない彼女に、インタビューすることになった、作家である“私”。常々、人々の胸を打つバラードを作りたいと望んでいたが、なかなか作れずにいた彼女。そんな彼女に、やがて恋人ができたが……『バラードを』、
ロックバンド“ディローグ”のドラマー・ザキこと崎谷貫太には、その容貌から<笑うライオン>という異名がついていた。愛妻・晶と2人の子供・晶太と晶子に恵まれていた彼だったが、実家にいる厳しい母との折り合いが悪く、ほとんど勘当状態。そんな中、バンドメンバーから母が倒れたと聞かされ、10年ぶりに帰郷。思いもかけず、母が彼を応援していてくれたことを知り、関係が修復されたものの、今度は自分がうっかり怪我をしてしまい、3ヶ月の療養生活に。ところが、彼の代わりに代理のメンバー・シュミット飯田を立ててレコーディングしたシングルが、ダブルミリオンを記録してしまい……『笑うライオン』、
ある日、ジョーの経営するバーにピアノを弾かせて欲しいと現れたエリック。その才能を買われて、店に雇われることになった彼は、同じ店で働くミンディと恋仲に。やがて、プロのミュージシャンとしてデビューすることになったエリックは、2年後に彼女を迎えにくると約束して旅立った。そして、約束の日……2年後の彼女の誕生日。店には常連客たちが詰め掛け、彼を待つが……『その夜に歌う』、
地方のキャバレー回りなどの活動をしていた、しがないハワイアンバンド・デュークス。ひょんなころから、突然米軍キャンプでロカビリーを演奏しなくてはいけなくなった彼らだったが、土台無理な話。やむを得ず、ギャグでその穴を埋めた彼らは、会場を爆笑の渦に。それをたまたま見ていたテレビ関係者からスカウトされ、番組を持つまでになった彼らに、あるバンドへの前座の仕事が……『明日を笑え』の7編収録の短編集。

ミュージシャンたちを描いた作品集。
展開的にはベタなものが多いですが、やはり安心して読めますよね(笑)。
『唇に愛を』『笑うライオン』『その夜に歌う』あたりがお気に入り♪

<08/8/22>


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