N市の図書館勤務して7年目、調査相談課に配属されて3年の職員・和久山隆彦は、毎日レファレンスカウンターで市民からの図書相談を受け付けている。
そんなある日、K短大の女子学生・河合志織が、“林森太郎『日本文学史』を読み、考えたところを記せ”というレポートの課題を出されたとやってきた。森鴎外=森林太郎を間違えたのではないかと考えるが、鴎外にもそんな著作は存在しない。
その課題を出したのは同短大の梨沢友一教授。彼は『はじめまして森鴎外』という本の校訂を担当するほどの人物で間違うはずもない。志織は一体何を写し間違えたのか……“図書館ではお静かに”、
峰杉公民館がつぶれ、そこにあった図書館分館の蔵書を引き取りにきた隆彦。
そこで出会った老人・鳥沢嗣春が、自分が子供の頃持ち込んだ、表紙に赤い富士山が描かれた本を返して欲しいという。
しかし該当する本が見つからず、後輩で児童書担当の藤崎沙理も加わり、どんな本なのかを推理するが……“赤い富士山”、
1月7日という、公務員には不自然な日に着任した副館長・潟田直次。市長秘書室からやってきたという彼は、着任早々、図書館が本当に必要かと問題を提起する。
そんな彼につい反論してしまった隆彦は、彼からある本を探すようにと問題を出される。“意味的には、日本語における外来語の輸入の歴史をまるごと含む。音声的には、人間の子供が最初に発する音によってのみ構成される”というその本とは……“図書館滅ぶべし”、
井波トミという老女がやってきた。中学の校長を務めたこともあるという夫・仙蔵が亡くなり、彼が生前図書館で借りっぱなしで最後まで気にしていた本を、返したいという。しかし本に蔵書印もなく、貸し出した記録もない。おまけに彼女もどの本が該当するのかわからない。
トミが仙蔵から聞いたところでは“早川図書”の本だという言葉から、早川書房の間違いではないかと思う隆彦だったが……“ハヤカワの本”、
市議会で図書館廃止論が出ており、それを議題として話し合われるという。
先に知り合ったトミが大叔母にあたるという市議会議員・増川弘造いわく、5人いる議員のうち、2人は廃止、2人は存続を支持。残る1人、香坂貴子という議員だけは意思を明らかにせず、議会でそれぞれの話を聞いて決めるという。
参考人として招致され、図書館を存続させるべく演説することになった隆彦だが、なかなか納得させられる原稿を書く事ができずに、増川からはダメ出しをされてばかり。
一方、増川から昔読んだ本について相談を受け……“最後の仕事”の5編収録の連作短編集。
市立図書館のレファレンスを担当する、生真面目でカタブツな隆彦が、市民からの本の相談にあたる日々の中で、図書館存続の危機が迫り…というお話。
もうちょっといろんな本の相談のエピソードも読みたかったのですが、この終わり方だとちょっと無理かなぁ…。
<09/8/22>
そんなある日、K短大の女子学生・河合志織が、“林森太郎『日本文学史』を読み、考えたところを記せ”というレポートの課題を出されたとやってきた。森鴎外=森林太郎を間違えたのではないかと考えるが、鴎外にもそんな著作は存在しない。
その課題を出したのは同短大の梨沢友一教授。彼は『はじめまして森鴎外』という本の校訂を担当するほどの人物で間違うはずもない。志織は一体何を写し間違えたのか……“図書館ではお静かに”、
峰杉公民館がつぶれ、そこにあった図書館分館の蔵書を引き取りにきた隆彦。
そこで出会った老人・鳥沢嗣春が、自分が子供の頃持ち込んだ、表紙に赤い富士山が描かれた本を返して欲しいという。
しかし該当する本が見つからず、後輩で児童書担当の藤崎沙理も加わり、どんな本なのかを推理するが……“赤い富士山”、
1月7日という、公務員には不自然な日に着任した副館長・潟田直次。市長秘書室からやってきたという彼は、着任早々、図書館が本当に必要かと問題を提起する。
そんな彼につい反論してしまった隆彦は、彼からある本を探すようにと問題を出される。“意味的には、日本語における外来語の輸入の歴史をまるごと含む。音声的には、人間の子供が最初に発する音によってのみ構成される”というその本とは……“図書館滅ぶべし”、
井波トミという老女がやってきた。中学の校長を務めたこともあるという夫・仙蔵が亡くなり、彼が生前図書館で借りっぱなしで最後まで気にしていた本を、返したいという。しかし本に蔵書印もなく、貸し出した記録もない。おまけに彼女もどの本が該当するのかわからない。
トミが仙蔵から聞いたところでは“早川図書”の本だという言葉から、早川書房の間違いではないかと思う隆彦だったが……“ハヤカワの本”、
市議会で図書館廃止論が出ており、それを議題として話し合われるという。
先に知り合ったトミが大叔母にあたるという市議会議員・増川弘造いわく、5人いる議員のうち、2人は廃止、2人は存続を支持。残る1人、香坂貴子という議員だけは意思を明らかにせず、議会でそれぞれの話を聞いて決めるという。
参考人として招致され、図書館を存続させるべく演説することになった隆彦だが、なかなか納得させられる原稿を書く事ができずに、増川からはダメ出しをされてばかり。
一方、増川から昔読んだ本について相談を受け……“最後の仕事”の5編収録の連作短編集。
市立図書館のレファレンスを担当する、生真面目でカタブツな隆彦が、市民からの本の相談にあたる日々の中で、図書館存続の危機が迫り…というお話。
もうちょっといろんな本の相談のエピソードも読みたかったのですが、この終わり方だとちょっと無理かなぁ…。
<09/8/22>
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