黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『老魔法使い 種村季弘遺稿翻訳集』フリードリヒ・グラウザー(国書刊行会)

2008-08-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
ヴァルクリンゲン村の農夫ベルトルト・ロイエンベルガーの4度目の妻が埋葬された。現在60歳の彼の先妻たちは、過去3年以内に亡くなっているという。スイスのベルン警察の刑事ヤーコプ・シュトゥーダーはそれを告げる手紙を受け取り、その村へとやって来た。早速調査を始める彼だったが……『老魔法使い』、
予審判事・シャーフロートから尋問を受けている“わたし”。わたしの妻・イレーネ殺害事件に係る尋問を……『尋問』、
26歳の化学検査官の資格を持つ女性・ヒルデが、予審判事として任命された。ある夜、富裕な商人が襲撃され、その紙入れから5万フランにのぼる現金が奪われた。彼の商店の店員であるニーマイヤーという美青年が逮捕され、彼女が調べることになるが……『犯罪学』、
リマト河畔で若い娘の遺体が発見された。その身元は、エッガー家の娘・エンマ。彼女は、郵便局員のシュッツと恋人同士だったが……『はぐれた恋人たち』、
大金の入った紙入れを拾ったわたし。その後、男から拾い物はなかったかと尋ねられる。どうやら彼は、伯父を殺害して、金を持ち去った犯人として報じられている人物であるらしい。しかし、その一度も幸運に恵まれたことのないような顔に、わたしは彼を匿ってやろうと思っていたのだが……『不運』、
ヤーコプ・クスマウルという男が殺害された。彼はチェスの黒のキングの駒と角砂糖3個をダイイングメッセージとして残していた。捜査するクライビヒ警部は……『砂糖のキング』、
有名女流ヴァイオリニストX・Yは、ディレクター氏との結婚を前に、ヒモだったN・Nを自殺に見せかけて殺害することに。彼は、彼女を“雲の鹿”という不思議な名で呼んでいたことを思い出しつつ……『死者の訴え』、
1919年のその頃、1年半前からベルン市警の警部だったシュトゥーダー。住んでいた部屋が取り壊しになったのを機に、夫婦で引っ越すことに。ところがその矢先、口峡炎を患って3週間ベッドで寝たきりになってしまう。そしてようやく熱も下がった頃、同じ建物内で少女・アガーテが絞殺死体で発見され……『ギシギシ鳴る靴』、
自殺ではありえない死体を自殺といいはったり、10フランのこそ泥の罪で逮捕したブルームを不当に勾留していたり…不審な行動が目立ち始めた、予審判事マックス・ユッツェラー。妻・リリーや書記・モンタンドンら周囲の人々の視点でつづる……『世界没落』、
アルジェリアの内陸部の奥のさる高原、僻地のジェリヴィーユ。機関銃中隊オフィスの設営給養係下士官の助手役を務めている、コラーニ伍長。そこに住むマティアス神父は、やがて彼が持つ奇妙な能力を見出して……『千里眼伍長』、
“ぼく”と同時にモロッコ行きを志願した黒人のシャルル・セニャック伍長には謎が多い。その後、ナルシス准尉の、ウェイトレスの恋人に手を出したという、彼らしからぬ噂を聞いたぼくだったが……『黒人の死』、
小男・ヴァイヒハルトが死体で見つかった。この半年で4件目の殺人事件だ。2度ほど彼と話したことのあるザードゥナー准尉は捜査をすることになるが……『殺人 外人部隊のある物語』、
ベルン近郊の村で、商人ヴェデリーン・ヴィッチが殺され、前科のあるシュルンプ・エルヴィンという若者が容疑者として逮捕された。彼は、その商人の娘・ソーニャと付き合っていたという。シュトゥーダーは村に行き、捜査を始めるのだが、シュルンプが犯人とは思えず……『シュルンプ・エルヴィンの殺人事件 シュトゥーダー刑事』、
プリュンディスベルクでバイクに給油する為立ち寄ったシュトゥーダー。その際に知り合った金持ちファーニー・ジェームズ……ひそかに“シナ人”とあだなを名付けた彼は、自分が命を狙われている旨をシュトゥーダーに相談する。
そして4ヶ月。その言葉の通り亡くなったファーニーに再会することとなったシュトゥーダー。調査を始めた彼の元に、警告めいた文書が届き……『シナ人』を収録。

『老魔法使い』から『殺人~』までは“シュトゥーダー初期の諸事件”と題された掌編&短編。後2編は長編。
出世路線からは離れてしまった定年間近の刑事・シュトゥーダーが主に出てます(全然出てこない作品もありますが)。
2004年に亡くなられた翻訳家・種村季弘さんの遺稿なのですが、翻訳家の遺稿集と銘打たれた作品集というのもちょっと珍しいかも(それだけ種村さんが特殊な存在感の方だったのもあるのでしょうが/笑)。

<08/8/9~11>


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