大学在学中に母・浪江が背骨を骨折して以来動けなくなったことから、卒業後就職することもままならず、その介護を余儀なくされた佐菜子は、現在三十二歳。地元のスーパー<きよやスーパー>でパートとして働いている彼女が、唯一気分転換できる大切な場所だった、書店<さわやか書店>が閉店してしまい、落胆する。
田舎である川巻町では、自分に合うサイズのものを買うことさえできない、胸の大きさをコンプレックスとしていた佐菜子。目立たぬことを心がける彼女に対し、両親はさらに貶めるように、みっともないと言い募りながらも、彼女が自分たちの世話をするのが当然とばかりの態度で、感謝の言葉すらない。
そんな中、店長の青木から仕事ぶりを見込まれ、新たなにオープンする支店に誘われた佐菜子。その帰り、書店の後に新たに開店した、ランジェリーショップ<シフォン・リボン・シフォン>にふと立ち寄った。
店主・水橋かなえの言葉と、店の下着の素敵さに魅せられた佐菜子は、普段は絶対買わない真っ赤なブラジャーを衝動買いしてしまう……“第一話”、
川巻町の商店街で中森米穀店を営む、均。息子の篤紀は店を継がず、隣の清白台のオフィス用品レンタル会社に勤めている。息子が結婚し孫の顔を見ることが楽しみな均は、事あるごとに結婚話を持ち掛けるが、本人は煮え切らない態度で、妻・友恵に言ってもかわされる始末。
そんな中、閉店した書店の後にランジェリーショップが出来たことを知り、好奇の目を向けていた均は、同じ商店街の珈琲専門店の店長・直原に頼まれた自治会入会の話をしに行くのにかこつけて入店するが、並んでいた商品と店主の姿が想像と違い、興味を失う。
ところがその後、直原の娘・麻由が、篤紀がランジェリーショップから出てくるのを目撃したという話を聞いた均は、かなえと付き合っているのではないかと疑い……“第二話”、
教員一家に育ったかなえ。
両親からあらゆることを規制されながらも、ランジェリーショップを開業する夢を持ち、仕事に邁進していた彼女は、その成功を掴んだ矢先、突然乳癌の宣告を受け、左胸を全摘出する手術を受けた。
その直後の、母の心ない言葉に打ちのめされながらも、周囲に支えられ再起。その後、自らの経験も踏まえた商品開発などでまずまずの成功を収め、通販事業も展開するようになった。
そんな中、母がくも膜下出血で倒れたと知らせが入ったことから、東京の店を仲間たちに任せ、故郷へ戻ることに。
商店街の空き店舗で、通販部門をやりながら営業を始めたかなえは……“第三話”、
店に、一人の老婦人が客として現われた。
<郷森の市原>といえば、このあたりで知らぬもののない旧家の者で、かつてフランス留学をしていたという彼女は、思い出話の数々をかなえに語る。
かなえは、クレジットカードを忘れたという彼女の為に、商品の取り置きを引き受けるが、二週間経っても取りに現われなかった。その後、再び現われた老婦人は、あれこれ言い訳をしつつ、再び別の商品を注文するが、これに関しても同様の経緯を辿った。
その後、商店街で呉服店を営む藤元あや子から、彼女が他の店でも同様のことをしている常習犯だと聞かされる。
しかし次に来店した彼女は、三度目の正直で品物を買ったが……“第四話”を収録。
田舎の商店街に開店した、華やかなランジェリーショップの、店主や客、周辺の人々を描いた連作短編。
タイトルからもっとふんわりした話かと思いましたが、テーマは重め。
近藤さんらしく、リアルな心理描写が半端ないので、ちょっと痛い;
個人的には一話目がいろいろ重なる部分が多くて、特に;;
旧弊的な考え方を押し付ける親、それに相対する存在が華やかな下着=自意識という構図なのかも。
佐菜子の両親や、かなえの母たちは何気にひどい人っぽいですが、いわゆる<普通の人>なのだと思います……自分の信じる価値観の、枠からはみ出る存在が許せない、それが自分の身内ならなおのこと、という;
<12/9/3,4>
田舎である川巻町では、自分に合うサイズのものを買うことさえできない、胸の大きさをコンプレックスとしていた佐菜子。目立たぬことを心がける彼女に対し、両親はさらに貶めるように、みっともないと言い募りながらも、彼女が自分たちの世話をするのが当然とばかりの態度で、感謝の言葉すらない。
そんな中、店長の青木から仕事ぶりを見込まれ、新たなにオープンする支店に誘われた佐菜子。その帰り、書店の後に新たに開店した、ランジェリーショップ<シフォン・リボン・シフォン>にふと立ち寄った。
店主・水橋かなえの言葉と、店の下着の素敵さに魅せられた佐菜子は、普段は絶対買わない真っ赤なブラジャーを衝動買いしてしまう……“第一話”、
川巻町の商店街で中森米穀店を営む、均。息子の篤紀は店を継がず、隣の清白台のオフィス用品レンタル会社に勤めている。息子が結婚し孫の顔を見ることが楽しみな均は、事あるごとに結婚話を持ち掛けるが、本人は煮え切らない態度で、妻・友恵に言ってもかわされる始末。
そんな中、閉店した書店の後にランジェリーショップが出来たことを知り、好奇の目を向けていた均は、同じ商店街の珈琲専門店の店長・直原に頼まれた自治会入会の話をしに行くのにかこつけて入店するが、並んでいた商品と店主の姿が想像と違い、興味を失う。
ところがその後、直原の娘・麻由が、篤紀がランジェリーショップから出てくるのを目撃したという話を聞いた均は、かなえと付き合っているのではないかと疑い……“第二話”、
教員一家に育ったかなえ。
両親からあらゆることを規制されながらも、ランジェリーショップを開業する夢を持ち、仕事に邁進していた彼女は、その成功を掴んだ矢先、突然乳癌の宣告を受け、左胸を全摘出する手術を受けた。
その直後の、母の心ない言葉に打ちのめされながらも、周囲に支えられ再起。その後、自らの経験も踏まえた商品開発などでまずまずの成功を収め、通販事業も展開するようになった。
そんな中、母がくも膜下出血で倒れたと知らせが入ったことから、東京の店を仲間たちに任せ、故郷へ戻ることに。
商店街の空き店舗で、通販部門をやりながら営業を始めたかなえは……“第三話”、
店に、一人の老婦人が客として現われた。
<郷森の市原>といえば、このあたりで知らぬもののない旧家の者で、かつてフランス留学をしていたという彼女は、思い出話の数々をかなえに語る。
かなえは、クレジットカードを忘れたという彼女の為に、商品の取り置きを引き受けるが、二週間経っても取りに現われなかった。その後、再び現われた老婦人は、あれこれ言い訳をしつつ、再び別の商品を注文するが、これに関しても同様の経緯を辿った。
その後、商店街で呉服店を営む藤元あや子から、彼女が他の店でも同様のことをしている常習犯だと聞かされる。
しかし次に来店した彼女は、三度目の正直で品物を買ったが……“第四話”を収録。
田舎の商店街に開店した、華やかなランジェリーショップの、店主や客、周辺の人々を描いた連作短編。
タイトルからもっとふんわりした話かと思いましたが、テーマは重め。
近藤さんらしく、リアルな心理描写が半端ないので、ちょっと痛い;
個人的には一話目がいろいろ重なる部分が多くて、特に;;
旧弊的な考え方を押し付ける親、それに相対する存在が華やかな下着=自意識という構図なのかも。
佐菜子の両親や、かなえの母たちは何気にひどい人っぽいですが、いわゆる<普通の人>なのだと思います……自分の信じる価値観の、枠からはみ出る存在が許せない、それが自分の身内ならなおのこと、という;
<12/9/3,4>
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