黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『心星ひとつ みをつくし料理帖』高田郁(角川春樹事務所)

2011-09-23 | 読了本(小説、エッセイ等)

夏。水に恵まれない炎暑で、青物の出来がいまひとつ。澪も、献立に頭を悩ませる。
そんな中、坂村堂がひとりの老人を伴ってやってきた。老人は日本橋佐内町の旅籠、よし房の店主・房八。坂村堂の父・柳吾は、彼の幼馴染みだという。
その柳吾は、料理番付で行司役を任されるほど、別格の料理屋一柳の主人であると知るつる家の面々。坂村堂は、それ故に厳しく育てられ、家業を嫌い家を出たのだという。
そんな房八が、年甲斐もなく芳を気に入り、彼女目当てで、たびたび店にやってくるようになった。
澪は青物の代わりに、大阪でよく食べていた生麩を出そうと考えるが、なかなかうまくゆかず……“第1話 青葉闇  しくじり生麩”、
酷暑が過ぎ、秋。吉原廓翁屋の楼主・伝右衛門がやってきて、吉原で店を出さないかと、澪に話を持ち掛けてきた。彼女の事情を調べており、『天満一兆庵』の名でも良いといわれるが、断るつもりの澪と芳。
そんな中、九段坂の一本北側の中坂という坂で、蹲る武家の奥方らしい女と、夫らしい連れの男を見かけた澪。その男は、先般来たことのある客で、彼らに声をかけ、つる家に連れてきて休ませることに。彼女は早帆と名乗る。
さらに、登龍楼の采女宗馬から神田須田町の店を売りに出すので、居抜きで格安で買わないかという申し出があり……“第2話 天つ瑞風  賄い三方よし”、
長月九日。つる家のある元飯田町でぼや騒動が続き、町年寄から元飯田町の飲食を供する店は、火の扱いを朝五つから四つの間にするように、と限られてしまう。だがこれから寒さが増して行く中で、温かい物が出せないのは店にとって大打撃。
客足は遠のく中で、澪は作り置きできる弁当を売り出すことを思いつき、客たちにも好評だったが、柳吾には厳しい言葉をもらう。
そんな中、先日の早帆が、澪に料理を教えて欲しいとやってきた。何故か彼女に親しみを感じるつる家の人々だったが……“第3話 時ならぬ花  お手軽割籠”、
神無月二日。火の扱いの申し入れが解かれ、二日が過ぎた。
早帆の申し出や里津の問いかけに動揺する澪、さらに小野寺家の用人・多浜重光が覚華院(里津)の正式な使者としてやってきて、武家奉公の話が店内にも知れ渡ることに。
揺れ動く澪だったが、小松原の言葉に決意を固める。周囲の人々も、さまざまな思いを抱えつつも、彼女を送り出すことに……“第4話 心星ひとつ  あたり苧環”を収録。

シリーズ第6弾。今回は、澪がさまざまな決断を迫られる、の巻でした。
それぞれに相手の幸せを思いやっているが故の苦悩っぷりが、いろいろ切ない感じ…。

<11/9/23>