黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『シアター! 2』有川浩(アスキー・メディアワークス)

2011-03-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
鉄血宰相とあだ名される兄・春川司に泣きつき、主宰する劇団<シアターフラッグ>の運営資金300万を借りた春川巧。但しその借金の条件は、2年以内で劇団の収益から借金が返済できなければ、劇団をたたむという厳しいもの。人気声優・羽田千歳を迎え、奮闘を続ける面々。
前回公演『掃きだめトレジャー』が高校の依頼で再演されることになり、少しでも稼ぐべく安価なグッズとして缶バッジを作ったところ、相乗効果で思いがけずDVDも売れたことから、司は新しい物販グッズの作成を提案。
団員たちの中で話し合った結果、卓上カレンダーの案が多数派になるが、それに対し、売れるはずがないと反対する<熱血担当>黒川勝人。結局数で負け、しかも不本意ながらもそれを司に報告に行く黒川。
しかし、司からは即座に却下。何となく食い下がってみるが、先ほど乗り気だったはずの仲間たちは何も言わない。しかも、その後の彼らの態度にさらにムカつき、キレた黒川は春川家を飛び出した。
その際財布を忘れてきてしまうが、気まずく取りに戻れない黒川は、逡巡の末、司に連絡。財布を持ってきてもらった礼にコーヒーを奢ることになり、そこで、今後のことも考え、持ち回りで制作を担当してみないかと司に言われ……“etude:01”、
シアターフラッグの公式サイトの掲示板に、千歳を中傷する投稿が。何度削除してもあらわれるその投稿者は<半角スペース>と呼ばれるようになり、やがて衆人の知るところとなる。その結果、掲示板は荒れ、しばらく閉鎖する事態に。
千歳からその件について相談を受けた、<看板女優>早瀬牧子。叩かれるのは平気だが、自分のせいで劇団が悪くなったと言われるのは…と。
そんな中、牧子が客演で出た舞台の会場で、千歳入団を機に辞めた元団員・松本優依に再会。会話の中で、彼女が件の人物だと悟った牧子は……“etude:02”、
オーディションに落選続きの大野ゆかりに、舞い込んできたビックチャンス。昼ドラの脇役のオーディションながら、レギュラー的ポジションで、関西弁の役。しかも発音指導がいらない人、という条件であるため、大乗り気なゆかり。
ところが、その会場で優依に遭遇。牧子をバカにする口ぶりに、釘を刺すゆかり。
しかしグループ分けの関係で、一緒に組んで演技を披露することになった二人。足を引っ張ろうと打ち合わせを無視して優依の攻撃を、何とかうまく切り返し、オーディションは合格。
しかしそちらの仕事に追われ、次回公演の制作で請け負ったDMの分担をこなすことができない。しかも皆にそれを言い出すこともできず、悩んだゆかりは、小宮山了太に助けを求めるが……“etude:03”、
『海より来る夢の通い路』で物販を担当した、<うっかりスズべえ>とあだ名される清水スズ。そのうっかりぶりを遺憾なく発揮し、手元がおぼつかなく客を逃した上、DVD16本分を売り物にならなくしてしまう。
それらについて、飲み会の席で黒川に責められていたスズを庇った千歳。ところが、その“いい子ぶりっこ”な上から目線な物言いに逆上したスズは、千歳と言い合いになり、大ケンカに発展。
そのまま店を飛び出していったスズだったが、鞄を置き忘れたところで、茅原尚比古が追って来た。
その後、ケンカのいきさつについて司に語る茅原は、何故かドジっ子属性について力説。
スズと話した司は、千歳が、友達との付き合い方がわからないアンバランスな人間だと諭す……“etude:04”
何とか収益を伸ばそうと考えるも、一番微妙な規模であるらしいシアターフラッグ。
少しでもコストを抑えるべく、条件に合う劇場探し。規模的にも料金的にも良いのはテアトルワルツだが、この劇場は、支配人が気に入った劇団しかやらせないという専らの評判。
一応七月予定で利用申込をしたが、その後、知り合いのラジオ番組のディレクターから六月分にキャンセルが出たはずだと聞いた巧は、劇場に交渉を持ちかけ、支配人との面談までこぎつける。
ところがその支配人の、あまりにシアターフラッグをバカにする態度に怒り心頭。そのまま飛びだして来てしまう。
その後、そんな自分の行動を後悔した巧は、皆への面目なさと後ろめたさで、新作『走れ、ボート部』の稽古すらすっぽかし、皆からの心配するメールなどにも返信せず、新幹線に乗り込み、再婚した母の住む神戸へ。
とはいうものの母に会う訳にも行かず、何となく気が済んで帰ろうとした矢先、財布を落としたことに気づき……“STAGE.-1”、
費用をかけない劇場について、元演劇青年だった部長に相談する司。劇場ではないところ場所を借り、特設会場を作ることに。さらに収益を上げるためにゲネプロにも客を入れることにして……“STAGE.0”を収録。

シリーズ2巻。今回は、他の劇団員たちにも光の当てた“etude”があって楽しかったです♪
それぞれの恋や友情模様に、ふふふ~vな感じ。
それにしても口論の末、飛び出す、というのはここの劇団のデフォルトな行動なのでしょうか(このパターン多過ぎ/笑)。

<11/3/23>