黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『侘助ノ白 居眠り磐音 江戸双紙』佐伯泰英(双葉社)

2011-03-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
安永七年、師走間近。土佐藩山内家近習目付である父・百太郎とともに土佐入りした重富利次郎。
土佐藩は、享保十二年に大火、同十七年に害虫による稲作の被害などにより、厳しい財政を強いられていた。その中にあって、家臣団はこの十数年、半知借上げが繰り返されるほど逼迫している。藩財政を立て直すと称して商人らと結託し、よからぬことを考えるものがいると告げる匿名の訴状があり、それについて確かめるための帰藩でもあったのだった。
翌朝、従兄弟の寛二郎とともに、追手門筋にある藩校教授館へとやってきた利次郎。そこで同年代の藩士らと腕試しをさせられるも、尚武館に通うものとしての面目を保つことができた。
その後、皆とうどん屋で彼らと交流をはかる中で、磐音についてあれこれ訊ねられる利次郎。土佐同様に逼迫していた、豊後関前の藩財政を建て直しの一翼を担った、彼の手腕を参考にしようというものらしい。
その後、小者の治助と父を迎えに出た利次郎。ところがそこへ顔を隠した者達、六、七人に襲われ応戦、三人を斬ったところで、小監察深作逸三郎が折よく現れ、事なきを得る。
一方、その頃の江戸。餅搗きを行なう尚武館に、ひとりの旅の武芸者が現れた。富田天信正流槍折れの小田平助と名乗る、その人物は飄々とした性格ながらも、磐音たちが認めるほどの棒術の腕前の持ち主だった。そんな彼に、道場の長屋に住まないかと提案する磐音。
そんな中、品川柳次郎が金兵衛が風邪を引き、寝込んでいると知らせてきた。おこんとともに金兵衛長屋に見舞いに出かけた磐音は、そこで自分がかつていた長屋に浪人夫婦が引っ越してきたことを知る。憑神幻々斎と名乗る浪人は、権造親分からの紹介で金兵衛長屋に来たというが、何やら事情を抱えている様子。憑神について訊ねるべく、久しぶりに権造親分の元を訪ねた磐音は……

シリーズ第三十弾。
土佐で藩内の騒動に巻き込まれる利次郎の話。江戸では尚武館に新たな人物が居候したりして、ちょっと新たな動きもちらほらと。

<11/3/18>