Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

Androidが中国を席巻する日

2010-07-19 21:44:23 | Thinkings

 さて、日本においてはソフトバンク独占となっているiPhoneですが、それを追いかける他キャリアもスマートフォンに乗り遅れると言うわけには参りません。・・・うう、ほんの二年前まではこんな事なんて考えられなかったですよね。時間はかかったけれど、iPhoneその他のスマートフォンの評価が高まってきたのは素直に喜びましょう。
 閑話休題。その他キャリアがこぞって採用しているのがGoogleのAndroid。・・・正確に言うと、Googleが中心となって開発したオープンソースプラットフォームなんですが・・・秋に出てくるWindows Phone 7がどの程度の影響力を持つのかは未知数ですけれど、今のところiPhoneに対抗すべく頑張っている状態です。

 その状況は他国でも同様ですが・・・中国ではちょっと事情が変わっているようです。

Androidが中国で大躍進する理由―影響は世界に及ぶ TechCrunch

Androidは世界最大のモバイル市場である中国で支配的な地位を固めつつあるようだ。ハードウェアの劇的な価格低下と膨大な国内ユーザーに支えられたアプリ市場の拡大はAndroidを急速に携帯電話のトップに押上げつつある。このことは最終的には世界のモバイル・インターネットの構造にも大きな影響を与えずにはおかないだろう。

 要は、オープンソース、つまりOSにパテント料を払う必要が無く、しかもiPhone同様優れたUIを提供できるAndroidは、ハードウェアの価格低下が著しい中国において積極的に採用されているということです。

 最も、他国のAndoroidとはちょっと装いが異なるとも。
 Googleのサービスが使えない場合には大きく魅力の半減するAndroidですが、中国政府とGoogleは周知の通り険悪です。そこで、中国ではGoogleのサービスを中国独自の(政府の息のかかった)ウェブサービスに置き換える事で、Androidの各種サービスを提供しています。つまり、中国のAndroidスマートフォンは、「Google抜き」。アプリストアも独自で提供するらしいですけど・・・さすがはオープンソース。他のオープンソースプロジェクトと違って、他国のスマートフォンにフィードバックされることは無いと思いますけど。

 とは言え、これはあくまで「正規版」の話。中国国内で安価に作られる、いわゆる海賊版携帯のばあいは、そのまま普通のAndroidを搭載してくることもあるでしょう。中国政府がその「中国版Android」をオープンソースの理念に乗っ取って公開したら状況はがらりと変わると思いますけどね。

 なんにせよ、端末の価格が恐ろしく下げられる事が予想される中国市場において、価格競争力という点では他を圧倒するAndroid端末。今でもiPadみたいなAndroidタブレットが山ほど発売されていますので、まず間違いなく中国市場を席巻するでしょう。
 そして、次世代DVD規格(EVDで検索)の時とは違い、ハードウェアは一緒でOSだけ変えれば中国でも通用するとなれば、各端末メーカーも中国向けのプレミアム端末で市場に参入するかも知れません。そうなったときに、端末の同一化によってコストダウンを図るという「大人の事情」によって、他国でもAndroid端末を積極的に売り出していくという事になりかねません。つまり、中国市場に引きずられる形で、世界的にAndroidが支配的なシェアを握る可能性があると言うことになります。

 iPhoneユーザーとしては、あと二年くらいは今のような状況が続けばいいと思いますけれど、そこから先は正直よくわかりません。Windows Phone 7を売る上で、マイクロソフトが中国政府とどんな取引をするのかも分かりませんし・・・いっそのこと、覇権が定まるまで、スマートフォンに手を出さないというのは、なかなかいい手なのかも知れませんね。