Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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宇宙ヨットイカロス、実証実験成功

2010-07-10 23:59:59 | Science

 ヨットを含む帆船とは、風を帆で受けて推力に変え、航行する船舶です。エンジンを使う船舶に比べて、速度は遅いけれど燃料が要らないという利点があります。今では人件費その他を考えると、長距離航行には全く向かないんですけどね。

 それを真空である宇宙空間で行おうとしているのが、JAXAの打ち上げた世界初の宇宙ヨット、イカロスです。地球上とは違い、いわゆる風の元となる空気が無い宇宙空間で代用となるのは、太陽光。普段はあまりにもその力が弱いので感じることは出来ませんが、光にも物質を”押す”力はあるのです。
 そのイカロスの実証実験が成功したというニュースが入ってきました。

太陽光受け帆走、初実証=宇宙ヨット「イカロス」-一円玉の1割の圧力 時事ドットコム

 宇宙航空研究開発機構は9日、金星を目指して打ち上げた宇宙ヨット「イカロス」が、1カ月前に帆を展開して以来、太陽の光の粒子を受けて航行する基本機能を実証したと発表した。惑星間航行では世界初の快挙。

 何でも、一辺が14メートルあるイカロスの帆が受ける太陽光の圧力は、何と0.114グラムだとか。地上ですと空気抵抗であるとか摩擦で消し飛んでしまうくらいの力でしかありませんが、何も邪魔するものが無い、真空の宇宙空間ならば話は別。力を受ければ、例えそれが僅かでも、その分加速していきます。その僅かな力を正に「塵も積もれば山となる」ように、長い時間をかけて推進力に利用するわけです。燃料の供給などが期待できない惑星間航行においては、例え長い時間がかかったとしても、燃料が要らないというのは非常に大きなメリットになります。

 実証実験が成功したことで、燃料をそんなにたくさん持って行けなく、距離が長く推進力蓄積のメリットが見込める外惑星探査に関して、ソーラーセイルの採用例が出てくる知れませんね。
 なによりも、宇宙を帆船が航行するなんて、字面だけでも何ともロマンチックな話じゃないですか・・・