肌をさすような厳しい寒さも若干和らぎ、少しだけ空気が緩んだように感じます。
それでも朝布団から出るのはつらいもので、「後5分」とつい自分を
甘やかしてしまいます。
いつものように、そんな時間を過ごしていると、ふとある言葉を思い出しました。
「布団に入っている時が一番幸せ」
実はこれ、自分が小学生の頃ある友人が呟いた言葉なんです。
あの頃の自分にとっては印象深い言葉だったのでしょう。
30年以上の年月が経過した今でも記憶に残っています。
小学生の頃と言えば、毎日が楽しい事で溢れていました。
夏休みや運動会、放課後みんなとする野球。枚挙に暇がありません。
もちろん、嫌いな教科やイベントもありました。
それでも楽しい事の方が勝っていたように記憶しています。
そんな記憶の中、果たして彼はどのような気持ちで件の言葉を呟いたのか。
決していじめ等があった訳ではなく、毎日楽しそうに過ごしていた彼の姿しか
思いだせません。
自分のようにいい歳になった人であれば、その言葉を呟いたことも一度や二度では
ないでしょう。
日々の仕事を忘れ、これから眠りにつくことができるという刹那的な安堵感からか、
ふと、そう呟く自分の姿も安易に想像できます。
その言葉を呟いた彼にとっては、まわり大人の受け売りだったのか、
それとも心から滲み出た言葉なのかはわかりません。
親交が途絶えた今となっては、その真相は眠りについたように闇の中です。