観察館日記

藤前干潟の庄内川河口部にある名古屋市野鳥観察館の日記帳です。

普通に見ることができていた鳥の飛来数が減っています。

2017-12-03 22:27:42 | 冬の藤前干潟

藤前干潟

今日の満潮時間 5時39分 潮位249cm
今日の干潮時間11時29分 潮位 78cm

今日は月一回の藤前干潟周辺鳥類調査がありました。

カウントが始まる時間前に自分の持ち場に向かいます。

ちょうど満潮時間が終わり、干潟が姿を見せ始めています。
カモの群れが休息している所で、コアオアシシギが1羽観察できました。今年も藤前干潟で冬を越している個体です。

庄内川左岸ではズグロカモメが8羽の群れがまとまって飛来してきました。
風上の上流に向かいゆっくり飛びながらカニを探し、浅くなった水面に飛び込みヤマトオサガ二を捕えます。
↑成鳥冬羽のズグロカモメ、↓第一回冬羽のズグロカモメ

このところ藤前干潟では珍しくなったユリカモメも4羽を干潟で観察できました。

今日のカウントでは、カモメの仲間はカモメ、ユリカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、ズグロカモメが確認できましたが、ズグロカモメ以外は飛来数が少なく、カモメの仲間の中ではスグロカモメ(32羽)が最も多かったです。

このように、最近の藤前干潟では数が増えてきて、ズグロカモメは冬場に比較的簡単に観察できる普通の種類に感じますが、ズグロカモメは世界的に生息数が少なく絶滅危惧II類 (VU)となっている鳥です。


干潟が広くなってくる頃、導流堤防に集まっていたハマシギの群れの一部が干潟に飛来してきました。

週の前半には数十羽に数が減りましたが、木曜日から再び数を増やしてきて、今日は全体で670羽カウント出来ました。

しかし、年々藤前干潟では飛来数が減少しています。

ハマシギは冬の藤前干潟では代表的なシギで、当たり前のように観察できていましたが、ここ数年はなかなか1,000羽を超える日が少なくなりました。しかも今シーズンは1,000羽を超える日はまだありません。

藤前干潟でカウントを覚えた頃は、20,000羽を超えるオナガガモや、5,000羽を超え、何度も飛び回るハマシギのカウントがとても苦手でしたが、最近はどちらも大きく減少し、30分も有ればカウントできてしまいます。

ズグロカモメやミサゴのように藤前干潟では飛来数が増えた鳥がいる一方で、以前なら普通にいた鳥たちが珍しくなる日も近づいています。

 

なお、今日のカウントでは庄内川河口部と下流部でトモエガモが12羽観察できた他、ダイシャクシギが1羽増え4羽になりました。

尾張野鳥の会・名古屋鳥類調査会合同 月例藤前干潟周辺鳥類調査でカウント出来た主な野鳥
ハジロカイツブリ63、カンムリカイツブリ63、カワウ3140、ゴイサギ4、ダイサギ7、コサギ40、アオサギ43、マガモ209、カルガモ380、コガモ658、トモエガモ12、オカヨシガモ71、ヒドリガモ196、オナガガモ1323、ハシビロガモ5、ホシハジロ297、キンクロハジロ287、スズガモ121、カワアイサ1、ミサゴ18、トビ1、オオタカ1、ハイイロチュウヒ♀1、チュウヒ2、ハヤブサ1、チョウゲンボウ1、オオバン20、ハジロコチドリ2シロチドリ74ダイゼン67、ケリ6、ハマシギ670コアオアシシギ1アオアシシギ8、イソシギ5、ダイシャクシギ4、タシギ4、オオハシシギ2、ユリカモメ5、セグロカモメ4、オオセグロカモメ1、ウミネコ4、ズグロカモメ32 他  総合計61種 8,099羽

 

また、今日は、藤前活動センターで開催されていた「石ころ干潟のガタモンを探せ!」というイベントのお手伝いにも行ってきました(中部地方環境事務所主催)。

今日は潮がよく、藤前(南陽)海岸前の干潟も干出していました。しかし、その干出面積は春から秋の大潮時に比べると小さいです(ただし、今の時期の大潮は夜の干潮時間にとても大きな干潟が見られます。)。

 

今日は護岸のすぐ下にできる石ころ干潟で、ガタモン(干潟の小さな生き物(モンスター))を探しました。

晴れて風もほとんどなく、暖かな気持ち良いお天気の中、参加者のみなさんは生きもの探しに夢中。

ガタモンは石ころの下や、岩につくカキとカキの隙間などにたくさんみつかりました。

ガタモンのひとつであるヨコエビの仲間は、小さい上に石ころをひっくり返した瞬間に逃げて行ってしまったので、撮影が難しかったですが、

↓の写真の中央に映る縞模様の生きものがヨコエビの仲間です。大きさは数ミリととても小さいです。

今日みつかったガタモンは、ヨコエビ(エビの仲間ではなく、端脚目(ヨコエビ目)の仲間)、カワザンショウガイ(巻貝)、ウミナナフシ(等脚目というダンゴムシの仲間)、コツブムシ(ウミナナフシと同じく等脚目の仲間)などでした。

(※ヨコエビ、ウミナナフシ、コツブムシは、フクロエビ類です。)

これらの小さな生きものは、鳥の餌でもありますし、干潟のおそうじやさんでもあり、干潟にはなくてはならない生きものです。

このような小さく一見地味に見える生きものにも、興味を持ってもらえると良いなと思います。

 

なお、今日みつかった小さな巻貝であるカワザンショウガイの調査が12月17日(日)に稲永ビジターセンターで開催されます(NPO法人藤前干潟を守る会主催)。

この調査は毎年一回行われているもので、カワザンショウガイの種類や数、分布の変化を調べ、干潟の環境がどう変化しているかを知るためのイベントです。

かなり本格的な調査で、小さなカワザンショウガイを調査するのはかなり根気が要るのですが、大阪南港から来てくださる先生の丁寧な解説もあり、とても勉強になるイベントです。

興味のある方はぜひご参加ください。詳細はこちら(藤前干潟を守る会のHP)をご覧ください。

 

※明日、月曜日は野鳥観察館の休館日です。

月曜日の満潮時間 6時26分 潮位256cm
月曜日の干潮時間12時13分 潮位 81cm

火曜日の満潮時間 7時12分 潮位256cm
火曜日の干潮時間12時56分 潮位 86cm

コメント
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