改正入管法で大きく変わる 外国人労働者の雇用と労務管理 | |
布施 直春 | |
中央経済社 |
私は中小企業診断士会の建設業経営研究会に所属している。この研究会でこんな議論があった。4月から法律が変わって、外国人労働者が入ってくる。働き手不足の建設業にあって、人手が確保できるなら業容を拡大しろ、できないなら業容を縮小しろと中小企業経営者に指導する。どっちが本当なんだ、という議論である。(4月7日のブログに書きました)
そこで、政府のデータなどから調べてみた。紙面の都合があるため、結論だけ3つに絞ってお話しする。まず1つ目、来日したら住み着いてしまって治安などが悪くならないかという疑問。この4月の法改正は、外国からの「出稼ぎ」を受け入れる法律だ。いわゆる「移民」ではない。5年すると労働者は帰国しなければならない。
2つ目、外国人の受け入れで人手不足は埋まるのかという疑問。政府の試算では、この5年で最大35万人を色々な業種で受け入れる予定だ。しかし日本の人手不足はこれで約1/4しか埋まらない。
3つ目、では建設業には労働者は来るのかという疑問。実は今の法律でも「技能実習生」は多くいる。この制度は国際協力から始まった制度だが、途中逃亡してしまったなど問題が多い制度だ。今回の法改正で新たに受け入れる外国人労働者は、「特定技能1号2号」というが、政府は業種別に、「特定技能」に移行する「技能実習生」を試算している。これによると建設業や農業は90%以上が技能実習生からの移行者だ。ちなみに介護などは100%新たに外国からくる労働者になる。
というわけで、建設業には、実質的には、あんまり労働者の補給はないようだ。技能実習生が横滑りするだけのようだ。残るは、機械化などで生産性を向上させることしかないね。