資格マニアの徒然草ブログ

目標としていた70歳で五百資格、2年前倒しで達成しました、これからはジャンルに関係なく、徒然なるままに書いていきます。

低エントロピーは使える、のわかりやすい例え

2018年12月15日 | ガス主任技術者資格とその活用
エネルギー論争の盲点 天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書)
クリエーター情報なし
NHK出版

 この新書本、筆者は石井彰氏と言って、私が購読している「ガスエネルギー新聞」に論説を時々書かれている方だ。2011年書かれた本だから、あの福島第一の事故直後だ。本書の要旨はこうだ。日本のエネルギー問題は、分かりやすい解はない。あるとすれば、エネルギー源の多様化だ。化石燃料なら地域的に偏らない調達、エネルギーの種類で言うと、再生可能エネルギー、化石燃料、原子力などバランスよく使うこと。

 そして、著者の提案事項は、天然ガスの増大。世界のほかの国に比べて、日本は天然ガスの利用比率が少ない。天然ガスは、化石燃料のうち、CO2の排出が少ないが、再生可能エネルギーと比較しても中途半端なため、あまり注目されてこなかったそうだ。また、省エネ効果もエネルギー問題の解決策として有効だ。排熱を無駄にしないコージェネ―レーションや改良著しい燃料電池なども有望だそうだ。この方、ガス派だな。どうりでガスエネルギー新聞によく登場する訳だ。

 本書の中に、エントロピーの話が出て来る。「良質のエネルギーは低エントロピーである」という。エントロピーの単位は、ジュール/ケルビン、変化熱量÷温度 である。化石燃料が1千度で燃焼したときのエントロピーは、温度が高いからエントロピーの数字は小さい。そのエネルギーが水に移転し、お湯になった時、熱が外部に漏れないと仮定して、100度のお湯は、分母が小さいから、燃焼している燃料に比べて、高エントロピーである。だんだん冷めていくと高エントロピーになる。「エントロピーは増大する」というのが熱力学の第二法則だから、この説明になっている。つまり、人類にとっては、低エントロピーの方が使える、というものだ。

 エネルギーだけを見ると、低エントロピーの化石燃料と熱量を等しくするには、大量のお湯や水があれば、同じ熱量になる。しかし、低エントロピーの燃料という物質には、お湯や水という高エントロピーの物質は使い勝手の面からは勝てない。これ、ガス主任技術者試験の基礎理論に出て来る、エントロピーの話を分かりやすく例えたものになる。書いてて、自分も勉強になったなあ。

コメント
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