MOT知識創造経営とイノベーション (MOTテキスト・シリーズ) | |
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丸善 |
木曜の夜は、診断協会東京支部の知のホットコーナー。T大ビジネススクールT教授の「イノベーションと知識経営」という講演であった。
イノベーションとは何か、顧客が「本当に価値がある」と思えるような価値を提供することだそうだ、なるほど。スティーブ・ジョブスはipod(モノ)ではなく、簡単に取り扱えて持ち運びしやすい音楽(コト)を提供した。
価値(コト)を提供する方法がモノで、その方法は1つではない。例えばモノで考えると「階段」は人間工学的に完璧な階段を作ろうとなる。しかし、「コト」で考えると上の階へ行きたいのであるから。エレベーターを開発、となる。
「モノ」から「コト」を考える場合、名詞ではなく、動詞で考えることがいいらしい。「椅子」をデザインするのは「座る」をデザインする。
ナリッジマネジメントのSECI(セキ)モデルについて、エーザイ㈱の薬開発の例が話された。開発者が病院で薬がどう使われているか体験する。薬開発にとって、「モノ」とは「病気」、「コト」とは「ケア:患者の生き方」になったそうだ。
講演後の質疑では、SECIモデルの例として、ソムリエの田崎さんのワインの味は体感してから言語化する必要があること、味を言語化ねえ。イチローは守破離で、守を徹底的にやっている。歌舞伎の型破りとは、型がないといけない。
若い人への期待では、演出家平田オリザさんから聞いた話として、これからの若い人は社交性を身につける教育をしないといけない。考え方の違う人と上手に付き合っていくことが必要だ。
などなど、今回は、まさに大学の授業のようなアカデミックな講演であった。