なぜ企業不祥事は、なくならないのか―危機に立ち向かうコンプライアンス | |
クリエーター情報なし | |
日本経済新聞社 |
この本概要は、以下の通り。
(1)日本の社会に根強く残っている古い常識が企業を危機に陥れているとを理屈でなく実例で明らかにする。
(2)危機の予防、発生した危機への対処の観点からコンプラ経営は危機管理のバックボーンであることを実例で示す。
(3)現実の危機管理の実例をケースメソッドで示す。
(4)コンプラとその延長線上のCSRの実現が企業の競争力と持続的成長のカギになるという新しい常識を理屈でなく、実例で示す。
最近も電力会社のやらせメール問題など、古い企業体質の企業がコンプラでマスコミから摘発されている。
筆者は、某企業で、職場の不祥事や安全リスク管理を長く扱ってきた。本書の著者の国広弁護士の講演も聴いたことがある。しかし、企業不祥事は大企業に必要で、中小企業にとってはどうなんだろうか。大企業にとって企業不祥事はマスコミにさらされるし、社会への影響も大きい。したがって企業もきちんと教育をして予防する。例えば大企業の〇〇会社の従業員が痴漢したとか不正乗車を続けていたとかやると、ニュースになる。しかしこれが中小企業ではニュースにならない。
私は、中小企業診断士である。中小企業にコンプラ経営やCSRは不要なんだろうか。こんな例を聴いたことがある。交通事故で相手から莫大な損害賠償を請求された、うつで自殺した方の奥様から労災が認められないので訴えられた、執拗なパワハラでやめさせれて元社員から訴えられた、部下の現場での不正がばれて取引先から1年間指名停止になった、などきりがない。中小企業にとっては数千万という額は、存亡の危機になる。
思うに、中小企業では、マスコミには出ないが、財務的に企業の経営危機になるのである。この点で中小企業も決して不祥事対策に手を抜いてはいけないと思う。この課題引き続き考えていきます。