「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

日本の住宅街の「南信仰」

2010-02-11 17:43:59 | 環境・土地
以前も書いた話だ。敷地がどんな条件のものであっても、南を至上の方角として敷地内での住宅の配置やデザインを決定する、日本の住宅街の「南信仰」についてである。最近私がある人に、これについて「やっぱり日本の住宅街って不思議ですねぇ~」と言ったら、びっくりされてしまったので、具体例を挙げてまた書く。

下の画像は日本の典型的な新興住宅街。実は40年前には「新興だった(過去)」我が西武七里ガ浜住宅地の画像である。真上が北だ。道路がどういう方向を向いていようが、南側の道路あるいはそれになるべく近い道路を選び、自分の敷地内でそこからなるべく離した地点、つまり北に寄せて家を建てるのが日本の「常識」である。東道路、西道路の家は道行く人に対し、90度ひねって横を向けて建てられる。北道路の家は背中を向けて建てられている。


(Source: Google)

各戸はどんな状況でも南側に庭を確保し、建物壁面に開口部を多く設け、目一杯採光しようとする。南道路の敷地が並ぶ家並みは良いが、北道路のみの敷地が並ぶところは道路のギリギリまで建物が寄って来て、各戸の中で北側に集約された水周り(台所、トイレ、風呂、洗面所)を示す小さく不揃いな窓や、何とも中途半端な高さに来る階段の踊り場の窓が見え、湯沸かし器などの器具類や配管が見え、植栽が少ないかゼロ、そしてスチール製の物置が並んでいたりする。

下の画像は私が数年前まで住んでいた別の住宅街である。こちらも真上が北で、狭い敷地内で精いっぱいの家の「北寄せ」が見られる。その法則は各敷地がどこで道路と接しているかとは無関係に貫徹されている。


(Source: Google)

私はこれを「どうしてか?」と不思議に思うのだ。家の北側をどうでもいい「死んだ」景観にしてしまうのはなぜか。そんなに南が有難いのか。太陽が一日中照りつける南が。今の日本の中心部は亜熱帯並みの気候なのに、そんなに太陽を室内に入れたいのか。


(Source: Google)

日本よりもっと寒く日照条件の厳しい欧州北部の国々だって、そんなことはしていない。上下の画像は英国を代表する開発住宅地である。ウェルウィン(カタカナでは「ウェリン」とも書き、その方が音的には近い)・ガーデン・シティーと言う。ただし開発は古く、100年近く前のものだ。こうした住宅地に彼の国では「ガーデン・シティー」という名前がしばしば与えられる。日本ではこの場合の「ガーデン」は「田園」と訳された。このウェルウィンに先立ついくつかのガーデン・シティーも参考にして計画された東急東横線のある住宅街が今も「田園調布」と呼ばれるのは、その名残である。同じく東急田園都市線の名にある「田園都市」とは正にこの「ガーデン・シティー」の訳である。

残念ながら日本のガーデン・シティーでは、名前を彼の国から頂きながら、その建築の思想が研究されることにはならなかったようである。

私は敷地面積の広さを言いたいのではない。道路が東西南北、敷地のどちら側に面していようが、家は最寄りの道路を向いてデザインされ配置されていることを示したいのである。彼の国ではもっと狭い敷地しかないところでも、同様である。道路側から各戸ほぼ同じくらい十分に一定の距離を置いて、そこを前庭とし、道路に向けて家を最も良いデザインで建て、道行く人に見せることを考えている。方角など関係ない。決して「南道路ではないから」という理由で、道路から見える家の外観をないがしろにしたり、「背中を向けた」家づくりはしないのである。


(Source: Google)

こうした外国との比較をすると、「景観の公共性」という概念が日本において希薄であることが感じ取れる。

欧州の都市郊外に住んだ経験のある日本人も、多くがこの点を指摘する。東西南北の方角で家の建て方を決めるのではなく、各戸が接する道路がどちらにあるかで建て方を決める彼の地の住宅街のような方法が、いかに景観を改善しうるかについて彼らは認識を深めているからだ。しかし日本に帰って来た彼らでも、こうやって「北寄せ」で並んで家を建てている日本の住宅街の中で、自分の家一軒だけで別の建て方を選ぶことなど難しい。それこそ周囲に対し「不調和」な家となってしまうからだ。

方角とは無関係に道路を向いて家を建てることについて「外国の話だろ。日本には日本のやり方がある」と言う方もきっといるだろう。しかしどうもその理解は正しくないらしい。下の画像は、以前にここで紹介した本である。お暇があれば是非読んで頂きたい。稀な調査レポートだ。グローバルに見て現代の日本の住宅の建て方が変わっているというだけでなく、実は日本の歴史を顧みても、今の日本の住宅街の様相は、景観や街並みに配慮しない無頓着な態度が顕著なようである。江戸時代の街並みは、方角とは無関係に、道路を向いた構えの家づくりが基本になっていたようだ。



大岡敏昭著「幕末下級武士の絵日記」(相模書房)についての詳細はこちらのURLで。
http://blog.goo.ne.jp/kama_8/e/1e193f17e7a061d2f27f86038a7aaf7b

この手の話題についてはどうも長くなる。続きをまた次回に。
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忙しい人の瞬間中華! 鶏肉とピーマンのオイスター・ソース炒め

2010-02-11 00:08:07 | 食べ物・飲み物


●鶏肉(なんでもいい)を薄切り。ピーマンは適当に切る。
●鶏肉をまず塩、コショウ、小麦粉をつけて焼く。十分火が通ったら、一旦取り出しておく。
●熱した油にニンニクとショウガのみじん切りを入れる。
●そこに取っておいた鶏肉とピーマンを入れ、オイスター・ソースと醤油をほぼ同量かけて炒める。

終わり。簡単中華風おつまみ系おかず。
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