「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

八ヶ岳西麓原村の冬(4) 甲州側に侵入し「ほうとう」を理解し、信州側に戻り好きに作って食べる

2010-02-04 00:01:13 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
原村(長野県諏訪郡)の山荘に一旦行ったら、鎌倉の自宅に帰るまで、我々夫婦(+ 犬1匹)が甲州側に足を踏み入れることはほとんどない。買い物等の用事は諏訪の4市町村(原村、富士見町、茅野市、諏訪市)で済んでしまうからだ。しかし今回は甲州名物のあの「ほうとう」を食べてみたいと思った。諏訪出身でもなぜか甲州側八ヶ岳山麓に山荘を持つyannさんや、経緯は異なるがやはり甲州側八ヶ岳山麓びいきのちゃたろうさんも、盛んにほうとうが「おいしい」「おいしい」と言う。私もほうとうを食べたことはある。しかしかなり前のことだ。カボチャがダシに溶けて、なんともまろやかで美味しかったことを記憶する。でもどういうものだったか、細部を覚えていない。だから今回は甲州に侵入し、ほうとうの細部をチェックして技を盗もうと考えた。



甲州側に入るとあるわあるわ。「ほうとう」の看板やのぼりが。甲州人はこればかり食べてるずら? おかしいくらいだ。でもどこの店に入れば良いのか、さっぱりわからない。エイヤッと思いきって適当な店に入った。カボチャほうとうを注文した。1200円弱もする。出て来たのは下の画像のとおり。正直言ってダメだ。野菜はいろいろ入っているが、味がしない。温めただしにレンジでチンした野菜をそのままぶっ込み、スグ出して来たでしょ、って感じだ。材料は安く簡単なモノでも構わない。いや、むしろこうした普通の料理にはそれが望ましいが、いい加減につくっちゃいかん。あれこれ材料を使っていて、当然コストもかかり、お客もそれなりにお金を支払う。いい加減な調理は、材料に対しても客に対しても失礼である。これなら私だって、もうちょっとマシに作れるよ。



北大路魯山人先生の本を読めばいい。材料の高い安いは関係ない、心をこめよ!と先生は叱る。家の外でも内でもあてがわれた食べ物ばかり食べるな!と。先生は京都に生まれ、関西で味を覚え、鎌倉に住み、東京でも味を覚え、外国の料理も研究し、食材を極めて作り、最後は既製品の安易さに嫌気がさし、器も自分で作る。偏見なく何でも平易に判断、評価する。自分で選び、考え、試し、作って、判断せよ!通り一遍の知識で知ったかぶりするな!と周囲に教える。

器まで作った先生だからキッチンの設計も自分でしたことだろう(真相は不明)。贅沢を言えばキリが無いし、キッチンの狭さは便利さにもつながる。しかしどれくらいの上下左右の空間、調理設備、調理器具、収納がキッチンにとって必要であり十分であるかは、実際の「料理の作り手」により多少は異なり、それぞれの判断が必要だ。頻繁に調理をしない建築家に設計をまかせるのは危険である。彼らは自分の経験からキッチンというものを考えられない。作り手にとって必要かつ十分で最小限の設備機能とスペースを持つキッチンが美しい。



幸い茶々之介は寝ている。ほうとうを作り始めよう!
勝手にほうとう!@信州の始まりだ。
こういうのは楽しい!・・・でしょ? 



適当な材料を買って来た。ほうとうの麺、カボチャ、大根、はたけしめじ、エノキ、長ネギ、ナス。野菜はカボチャとナス以外は信州産である。加えて変わったところで油揚げ。油揚げは両国屋豆腐店(知ってますか? 所在地:長野県諏訪郡富士見町)のものだ。



材料を切って用意したところ。



はたけしめじ、エノキ、長ネギもこのとおり。



このはたけしめじは長野県木島平産である。昔、ある優れたログハウス・ビルダーがいた場所で、私もかつて憧れた地名だ。



まずは簡単にほんだしでダシを。魯山人先生が怒るかもしれないが。今回はそこまでこだわっていられない。



そこにカボチャを入れて、煮る。事前にレンジでチンしてあるので、煮崩れるのは早い。



A-Coopのごま油。何気なく現われたが、これが今回の「勝手にほうとう!@信州」の決め手のひとつなのだ。



ナスをごま油で炒める。ナスはごま油をどんどん吸う。それがいい。ほうとうがおいしくなるぞ。



かぼちゃが煮崩れしている最中の鍋に、大根とごま油で炒めたナスを入れる。ナスをとろとろにするため、早目に入れたのだ。



相当崩れて来たところで、信州味噌の登場だ。なんたって味噌の本場。あの巨大企業タケヤ味噌だって本社は諏訪だ。



しかしほうとうの麺は甲州産を。長坂の横内製麺が八ヶ岳南麓のほうとう界では偉いらしい。信州側でも富士見の山本製麺や茅野のハラダががんばってほうとうの麺を製造している。しかし「平らにつぶした」なんていう変則的麺作りは、やはり甲州人か名古屋人かイタリア人にまかせておいた方がよかろう。ということで、今回は甲州産。なかなか美味そうに見える麺だ。気に入った。

 


においにつられ「そろそろオレの出番か」とキッチンに現われた犬を無視する。それでも犬はいつまでもウロウロしている。



真澄を飲みながら作る。ダシの中にも真澄を垂らす。ほうとうの信州度が高まって行く。



残りの野菜や油揚げを入れてしばらく煮込み、最後にほうとうの麺を入れて5~6分煮込む。



見たところカレーうどん?違う。カボチャが全部溶けたのだ。典雅なカボチャほうとう。出来上がりに、ほんの少しだけごま油を垂らす。完成。



大きな鍋で作って出し、各自が器にとる方式で食べた。

コクやとろみ、野菜の旨味。よぉ~く出ているズラ。甲州本流の正統派ほうとうはよく知らない。でもこれもなかなかいいズラに。



異文化との遭遇、流用と融合。あぁ~面白かった。魯山人先生も喜んでくれるはずだ。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする