「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

ベストセラー「いい家は無垢の木と漆喰で建てる」を読む

2010-02-20 01:19:38 | 内装・インテリア
神崎隆洋さんの書いた「いい家は無垢の木と漆喰で建てる」が文庫本になった。これがベストセラーであることは知りつつ読んだことはなかったので、文庫本になったのを機に買ってみた。書評にも書いてあったけれど、ちょっとくどい。同じことの繰り返しだ・・・って我がブログを振りかえり反省。

とにかく「無垢の木、漆喰」の繰り返しなのである。これを読んだ人の多くが、そう思うだろう。そしてそういう家を建てようと試みた人もいるだろう。もちろん漆喰と無垢の木で問題はない。でも住宅にはそれ以外にも気を配らないといけないことが無数にある。コストだって考えないといけない。



表面的に無垢の木と漆喰の家だからと言って安心していられるわけではない。「私の家は無垢の木と漆喰だ!」と言う人もいよう。表面はそうだろう。でもまずほとんどの場合、下地となる構造用合板で、家は上も下も横もくるまれているはずだ。合板は接着剤の塊である。またその内側には石膏ボードがあり、接着剤やパテが塗られているだろう。室内収納の中もたぶんいわゆるべニアあるいはボードで、神崎さんが言うような桐を使った収納などほとんどないだろう。さらに無垢の木のフローリングを貼るにも接着剤が使われる。家中、様々な無垢の木の部材を使いながらも裏には接着剤が使われているはずだ。またフローリングは無垢でも、階段板は接着剤を使った集成材であることが多いだろう。ユニットバスもこれまた接着剤の塊だ。じゃあ浴室はタイルにしたらとも思うが、かなりの多くの家で防水処理をしたはずなのに根太が腐る。

漆喰あるいは木に塗られた塗料、ワックス類等は天然系素材と言われる物が使われるのだろうが、そうした物が今までどれだけ我々を裏切って来たか。戦後新たに開発されたり輸入された製品の多くが、一時称賛されたが、やがて酷評され消えて行った。

また神崎さんはコンクリートを酷評する。こんな具合だ。「・・・鉄筋コンクリートの家だが、これは人の住まいには最も適していない。コンクリート打ちっ放しの家など、最も病気になりやすい住宅と言える。」



建築家はこれを建てたがる傾向があり、デザイン的には私も苦手だ。しかしだからと言って「健康に悪い、病気になる」とまで言えるのか?これではいくら内装をいじっても、都心居住者の多くを占めるマンション住人はそれが理由で病気に罹ることになる。そんなことないでしょう。

「無垢の木と漆喰」以外のポイントで、この本でいくつか関心を抱くことがあった。マイナーでヘンなポイントだが窓枠である。窓枠とは、サッシ窓に対するその周囲の額縁のようなものを指す。神崎さんは窓枠のない家なんて作るな!とおっしゃる。慌てて我が家を見渡した。確か全部つけたはずだが・・・おーー、すべての窓に太い窓枠があった。なんだか厚みがあり奥行きも感じる。建ててくれたブレイスの丸山さん、有難う。こうしてシゲシゲと眺めてみると、なかなか深みもある。



神崎さんによれば、窓枠は壁と窓の見切りとしての役割があり、クロスを貼るような場合はサッシの結露から来るクロスのはがれを防止し、窓に向かって物を移動させるような場合に窓際の壁の角にぶつかりそこが欠けるのを防ぐ役割があると言う。確かにそれはそうだ。

しかしデザイン的には、例えば地中海的あるいはメキシコ的あるいは北アフリカ的住宅(!)なんて場合は、窓枠なんてつけずに室内の塗りの壁から壁の厚みを感じさせておいて、ちょっと外寄りにすぐサッシを取り付け、窓枠はなしなんてのもアリのような気がする。



寧ろ、神崎さんのおっしゃる壁の欠け対処法として、枠が活躍するのは扉だと思う。玄関ドア、室内ドア、収納ドア。人や物が行き来するところで、長い間にはいろいろとぶつかるだろう・・・なんて考えていると、また不安になり、家中の扉周りを見て回った。全部枠があった。

これは玄関ホールからダイニング・ルームへと向かう室内ドア。



これは収納扉。



スーパーのお買い物の大きな荷物をたくさんぶら下げて通るのでそれが触れたり、掃除機を収納する時に掃除機の長いホースをぶつけたり。枠はあった方が良い。

と冒頭いろいろケチはつけたものの、神崎さんのベストセラーを読んで気付く所は無垢の木と漆喰以外の部分でたくさんあったわけだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする