「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

八ヶ岳西麓5月下旬の滞在(3) 山荘竣工から10年 / 内装

2009-06-01 14:12:17 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
山荘の竣工から10年の間に、改装したところはない。室内の暗さもそのままだ。建物の採光を可能な限り絞って、おまけに照明もかなり暗めにしたので、室内は思いっきり暗いのである。昼なお暗いので、読書や書き物をする時には照明をつけるが、それでも暗い。画像はダイニング・テーブルとその真上の照明器具である。画像に写る窓は真南を向いていて、外は明るいのだが、ご覧のような状態である。ソーラー電卓を使うには、照明をつけて、その直下に電卓を持ち上げる必要がある。

普通の雨なら、窓を開け放つことは可能である。雨は室内に降り込まない。軒が出ていることと、履き出し窓を設けていないことによる。山荘1階は、ご覧のサイズの窓がズラッとついているだけだ。



ダイニング・テーブルから西南方向を向くとスグのところにこの壁(下の画像)がある。吹き抜けなので壁が高い。柱、梁、桁、登り梁、ブレイスは太いダグラス・ファー(米松)製。天井、腰壁、床がパイン製。ドア等建具は玄関がオーク製で、それ以外はヘムロック(米ツガ)製である。ダグラス・ファーやオークの部分を濃いめに、パインやヘムロックの部分を薄めに塗装がかけてあるが、10年経って色がとても落ち着いて来た。床のパイン材の上は、大型犬が歩きまわるため、かなり塗装がはがれて傷ついている。我々の感覚からすればそれもまた思い出であり普通のことだが、大型犬と一緒に家で暮らした経験のない人から見れば汚いだけかもしれない。

そしてご覧の壁の柱と梁の間に塗ったくってあるのが、漆喰である。何軒も家を建てて来て学んだことのひとつに、デザインを複雑にするほど建物全体の調和を取るのが困難になる、ということがある。設計・企画段階で形、色、素材を多く取り入れデザインをいじればいじるほど、完成した全体はただバラバラで不細工なものになってしまう確率が高い。

この壁も極小の山荘の中では大きな壁面であり、他にもいろいろやれたことがあるかもしれないが、怖いのでシンプルなものにした。木組みの面白さは強調したかった。だからその様子は出来る限りデザイン性をこちゃこちゃと見せて頂くようお願いしたが、木と木の間は全部同じ漆喰にした。ボードの上に下塗りをして、その上から漆喰をコテ塗りしてある。白い漆喰に加え着色が黄、赤、茶だったろうか。壁の上で白に加え三つの色を直接コテで混ぜながら塗る作業はなかなか難しいものだったに違いない。色の違いやムラを意図的にかなり微妙に起こさせてある。私が真っ白な漆喰を避けるようお願いしたからこうなった。ベテランの左官屋さんが、シッカリと仕上げてくれた。



10年で変化したと言えば、漆喰に多少はがれが起こっていることだろうか。表面が薄ぅ~くはがれて落ちるところが何か所か出て来ている。



漆喰による調湿機能ということがよく言われる。ハウス・メーカーのパンフレットにもよくそう書いてある。「湿度が高い日は漆喰の壁が室内の湿気を吸収し、湿度を下げるため、寒い日も窓ガラスが結露しません」等の説明をご覧になった方も多いだろう。これは本当だろうか。

10年間この壁を見て来て、私はそれはほとんどウソだと思っている。「我が山荘の内壁の場合」という条件をつければ、漆喰は調湿機能をほとんど果たしていない。いや「果たしていない」というのが言い過ぎならば、漆喰壁以外の部分の調湿機能の方がはるかに大きいと表現すべきか。現に漆喰壁をつくった他の山荘でも、しばらく締め切っているとカビの発生を見たりする。高原の山荘とは言え、高温多湿の日本における密閉度の高い現代の建物では、薄く塗られた漆喰壁如きに室内の湿度問題全体の解決を期待するのは不可能である。

漆喰が物質的に湿気を吸収するのは本当だろう。しかしこの山荘もそうだが、普通内装に漆喰を使う場合、通常はボードに下塗りをして、その上に漆喰を塗りつける。その厚さはわずか何ミリかである。3cmも4cmも分厚く塗るわけではない。そうであるとすると、漆喰という材料そのものには吸湿効果があるのだとしても、それは壁を漆喰でやたらと深く分厚く塗った場合の話であって、我が山荘のように、厚さ何ミリかの漆喰を表面的に施したからと言ってどれほどの調湿効果が期待出来ようか。極論すれば、厚さ何ミリかのものであるならば、湿度の調整能力はペイントやビニール・クロス同様、漆喰にも大きくは期待出来ないのだ。我が山荘の場合、調湿効果があるとすれば、その多くは漆喰壁以外の部分、つまり天井、床、腰壁、柱、梁、桁、ブレイスなどに大量に用いられた木材によるものと思われる。



そうだとすると、我が山荘の場合、この漆喰壁がもたらすポジティブな効果は要は見た目に過ぎないものであると言える。一方、日本では漆喰の原料が枯渇しかかっているとかで、なんとわざわざメキシコ等新興国からの輸入で間に合わせていると聞く。今後は、内壁表面の塗り方を工夫して漆喰と同様な表面仕上げを漆喰以外の壁材で実現出来る時が来よう(すでに外壁材を用いれば可能なのではないか)。その方がメンテナンスも格段に楽なはずである。

調湿効果のあるなしに係わらず、我が山荘が建つ土地は標高が1600mあるため、幸か不幸か気温自体が相当低い。日陰なら真夏でも外気温が25度を上回ることがないのである。さらに直射日光が室内の床や壁を叩くことがないよう設計されているので、家の中が夏でも暖まることがほとんどない。、密閉度のチョー高い山荘で真夏に何日も締め切っていても、中はひんやりしている。また内装材は木材だらけだ。こうしたことから、夏に何週間も締め切っていても、カビとは無縁である。
コメント (2)
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