「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

八ヶ岳西麓5月下旬の滞在(13) 山荘竣工から10年 / 犬@原村そしてHunter

2009-06-09 11:22:51 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
七里ガ浜の自宅でも犬と遊ぶには苦労しない。海岸に行けばよい。ただし帰宅したら砂と海水と海草が付着した犬を洗わないとならないが。我が家では犬を預けて旅行に行くと言うことがなかった。幼い頃から余所に預けられたことのない犬は、預けられると不安で大騒ぎすると聞いたこともあり、未だに預けた経験がない。

犬連れ旅行もいろいろと大変なことから、我が家では泊まりがけと言うと原村の山荘しか行く所がないのである。これを「良い」と思うか、「そんなのつまらない!」と思うかは、人によるだろう。そしてそれがその人が犬を飼えるかどうかのひとつの分かれ目になる。もちろん旅行好きな人は、預けられることに犬を馴らしてしまえば済む話だが、我が家はそれをしないというだけのことだ。



我が家の犬(アイリッシュ・セター)は運動量を必要とする。先日ケーブルテレビの番組Animal Planetでは英国で製作されたフィルムを紹介していたが、そこでは1日240km走っても平気だと説明していた。これは極端な例かもしれないが、世の中の多くの犬が運動不足であることは確かである。我が家の犬など気候が良い日にただ散歩するだけなら、仮に1時間あるいても、運動にはならないらしく平気な顔をしている。もちろん気晴らしにはなるだろうが。

ところが、運動については専門家でも諸説ある。いや、運動に限らない。犬のあらゆることについて、犬の専門家達は異なる意見を持つ。ブリーダー、トレーナー、動物学者(あるいは獣医)と話してみれば良い。ブリーダーなら、我が家の犬でも「それほど運動は必要ない。むしろ運動により毛が傷つくことに気をつけよ」と言うかもしれない。しかしトレーナーなら「たっぷり走らせてやれ。1時間でも2時間でも犬がもう要らないと言うまでつきあってやれ」と言うかもしれない。去勢について言えば、ブリーダーなら・・・今回はここでストップ。とにかく意見は異なるのだ。



我が家の犬はトレーナーについたので、若い時から運動はたっぷりすることが習慣化している。そもそも暴れん坊であり、スヌードも普段はしておらず、広大な藪の中を走り回り藪に頭を突っ込んで隠されたモノを探索することもかなり得意(アイリッシュ・セターでは珍しい)である。だから、彼の兄弟姉妹はホニャララ・インターナショナルとかホニャララ・ショウで活躍している子が多いが、彼自身は耳や胸の毛も千切れて短く、ただただ元気なだけなのだ。

運動やトレーニングは私より妻が熱心である。私がやろうとしても調子が合わないらしく、犬もいまひとつノリが悪い。上から3つ目までの画像は、すべて原村の農場の広場で撮影した。正式名称は「農場」ではなく八ヶ岳中央農業実践大学校である。私もここで学びたいものだ。人生をちょっと巻き戻して、今から農業と園芸を学べないだろうか?・・・などという秘かな夢はまた今度語ろう。

山荘竣工から10年。とにかく現地に行けば「犬の遊べるところはないか?」と探すのが癖になる。この農場の広場は八ヶ岳西麓界隈ではチョー有名なワンコの遊ばせスポットである。ここ以外で、かつ原村で、我が家の犬が運動をしに行くのは温泉施設樅の木荘南側の運動場、自然文化園のドッグラン、また別荘地沿いの森の中にいくつか渓流があって犬がかなり喜ぶ場所がある。さらにもうひとつ、犬がデタラメに喜ぶ場所がある。それは我が山荘に隣接している森だ。



すでに何度も書いて来たように、我が山荘は原村の別荘地の最上部、標高1600mのところにある。そこから上(東)は森が続き、やがて山の急斜面となり、阿弥陀岳山頂に至る。その森へ入ることは猟犬の血が濃い愛犬にとっては大きな喜びである。温度、湿度とも高く人口が密集する都会と比較すればなんとも人の気配が希薄で清潔な感じがするが、それは人間の感覚だ。植物や獣のにおいはかなり濃いのである。クマは八ヶ岳山麓にはいないと言われているものの、シカ、イタチ、キツネ、カモシカ、リスの類はたくさんいて、我が別荘地にも頻繁に降りて来る。犬に備わった能力を、犬もたまには使うチャンスを必要とするだろう。とは言えシカが多い森の中でウチの犬を放すことなど、とても危険で出来ない。シカのニオイを嗅ぎ姿を追い、戻らない可能性を否定出来ないので、とても怖くて放せないのである。実際この森に入ると、シカの姿をよく見るからだ。

この標高1600m以上の森というか山に入る時に重宝するのが、このウェリーズ(ゴム長)である。スコットランドのハンター社製のものだ。以前このブログでハンター社については紹介した。興味のある方はどうぞココをクリック! 以前書いたので詳細は省く。



膝までを長く包むゴム長だ。山荘に常備するそれの底は登山靴で有名なビブラム・ソール製でご覧のようであり、いい加減な靴よりはよほどウォーキング・シューズ的である。ウェリーズというのは元々は軍靴であるからして、形はよく考えられ、ふくらはぎをぴったりと包んでくれて、激しい歩行でもぐらぐらとブレないようにつくられている。長時間荒れた土地を歩くには最適なのである。



下の画像はなんともわざとらしい私の不格好な脚。岩があり、笹に覆われ、カラマツの落ち葉が堆積し、くるぶしと膝の間を叩く小枝をバキバキ踏みながら歩かねばならない状況には最適なのがこのハンター社のウェリーズだ。「こんなもん必要あるか!」と思う人もいるかもしれない。そういう人は一度大型の猟犬(回収を目的とするリトリバー系でなく、標的を示すポインターやセター)を飼い、リードを手に持ってこのシカが溢れる森に入ってみれば、私の感覚もわかるだろう。履物にもいろいろあるが、それぞれ最適な状況と目的があり、このウェリーズは正にこの環境で重宝する。



最近日本でもゴム長が流行っているそうだ。テレビ番組では「レインブーツ」として紹介されている。そして驚いたことにその影響で、このハンター社のウェリーズがゴム長の頂点を極めるものとして紹介されている。確かに日本で買うと価格的には頂点を極めるかもしれない。英国の2~3倍の価格で売られているからだ。先週都心の新丸ビルのブティックで売っているのを見たが、私のより安価なモデルが18,000円ほどで売られていた。価格の高さが逆に魅力なのか?東京駅の正面、新丸ビルでそれを買う人(多くはお店の特性からして女性だろう)は、下の画像のような環境を歩くのだろうか?



今日本で売られているハンター社のウェリーズは多くがそうした価格である。渋谷や表参道やたまプラーザで、ファッショナブルなつもりで履かれてやがて捨てられるのだろうが、それではあまりにもったいない。ハンター社のウェリーズはサイズだけではなく型、防寒性能、厚み、靴底、幅、カラー等モデルがいろいろ分かれ、それぞれに使用目的があり、本来は価格もバラバラなのだ。自分の目的に合ったモデルを選び、それに見合った環境で使用されなければあまりにもったいないのである。首都高を走るのにディフェンダー(英国製の非常に高価だが非常にプリミティブな4WD車。未開の土地で国連等国際機関が利用するイメージ)は要らないだろう。それと同じである。

因みに単なる雨靴としての使用や、雨の中の犬の散歩目的ならレギュラーのハンターが最適である。しかしなぜだか知らないが、レギュラーなモデルは日本ではなかなか見かけない。おかしな話である。それが本来最も普通に安く売られるべきであろう。

英国でジャパン・フェスティヴァルがあってそこで「日本の村の夏祭り」というイベントがあると仮定する。蒸し暑い夏の夜に金魚すくいをしたりタコ焼きを食べるには、さっぱりしたユカタがふさわしい。ところが金魚すくいの水にジャブッと振袖を突っ込み、タコ焼きのソースをベタベタ襟元にこぼす英国人女性が、高価な絹のkimonoばかりビシッと着ている情景がそこにあるとしたら、普通の日本人は「あまりにもったいない」と感じるだろう。ハンター社のウェリーズを巡る日本の現況はそれと似ている。
コメント (16)
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