ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

春の妖精に会いに葛城山へ(2013.04.16)

2013-04-17 09:33:02 | 山日記

今年も春の妖精・カタクリに会いたくて、花の時期を狙って大和葛城山に登りました。
家まで迎えに来てくれた丸さんの車に乗せて貰い、309号線水越トンネルを抜けて旧道に入った水分橋へ。幸いトンネル出口横の格好のスペースに駐車出来て8時30分出発。

青崩(天狗谷)道を登ります。最後の民家を過ぎるところに「お休み処」ができていましたが「本日休業」の表示が出ていました。舗装の急坂でカンカン照りの畑地を抜けて植林帯に入ります。ひんやりした山の空気が汗ばみ始めた身体に心地よく感じられます。谷を右に見下ろしながらしばらく植林帯を行き、スミレやヤマルリソウが咲く草地に入ると細くなった流れを渡り丸太や石の段を登ります。

このコース唯一の鎖場を過ぎて沢を渡り返し、しばらく右岸の道を登ると水場に着きます。一息入れて冷たい水で喉を潤しました。


谷を離れて大きくジグザグをきるように急坂や丸木道を登り、歩き始めて1時間で中間点のベンチに着きました。ここからも急な丸木道が続きますが、来る度に整備が進み楽に歩けるようになりました。右手に金剛山が見える開けた伐採地を過ぎて、傾斜が緩み道が大きく左にカーブする処からショウジョウバカマが見え始めました。


小さい堰堤を越えてT字路を右に折れ涸れ谷に沿って登る道は、美しい植林の中にショウジョウバカマが群生しています。


ショウジョウバカマの名前は、花を猩々の赤い顔に葉を袴に見立てたもの。また能の猩々の衣装に寄るとの説もあるそうです(山渓「山に咲く花」)。
やや湿ったところの山地に普通に見られる山野草ですが、これだけの群生すると見応えがあります。花を見ながら登っていくと、谷上部では新しい砂防堰堤が作られていました。そこから左の尾根に登って河内・弘川寺からの林道と合します。天狗谷右手斜面のカタクリの保護地を見に行きましたが、今年はまだ葉が出たばかり。ロープウィイからの道に合流して山頂へ。


今日は花の写真を撮ったりしながら、ゆっくり登ってきましたが10時40分に頂上三角点に着きました。
お天気は最高なのですが、残念ながら黄砂のためでしょうか視界が極端に悪く、眼下の大和三山もボンヤリ霞んでいます。南からの風が強く肌寒さを感じるほどです。展望図のある石積みの裏側で風を避けて早めのお弁当を拡げました。その間にも何人かの人たちが頂上に姿を現します。ロープウェイで来たらしい軽装の女性は風の強さに驚いていました。




山頂南東側斜面のカヤの中から顔をのぞかせたカタクリを、三輪子さんが見つけました。一つ見つかると、あちこちにポツポツと仲間がいるのが分かります。白樺食堂横へ降りてツツジ園の方へ行って見ます。野鳥観察路の入口のカタクリはもう満開の花が多いようでした。


ツツジ園は来月予想される賑わいがウソのような静かさです。


青空にコブシの白い花が鮮やかに映えて、辺りに芳香を放っていました。
引き返して分岐からロープ駅の方へ下ります。右に婿洗い池への道を分ける十字路を左へ自然観察路に入ります。


道の両側にカタクリの花が現われました。昔は自由に傍まで行けましたが今はロープが張り巡らされています。
大きな望遠レンズを付けたカメラを据えた人も何人か見かけました。


道が右へ大きくカーブする最低鞍部まで下りました。ここの広い涸れ沢の上部に群生が見られますが、コンパクトカメラで手持ちで撮ったので、この程度で精一杯です。
ここから引き返して、途中右に折れてダイトレへの道を上がります。ここが私たちの一番好きなカタクリのある場所です。


何よりも、すぐ近くで花を見られるのが嬉しいです。


そしてびっしりと並んで咲いていました。
カタクリは古語ではカタカゴ。万葉集に「もののふの八十娘子らが汲みまごふ寺井の上の堅香子の花
」という大友家持の名歌があります。「春の妖精」(Spring ephemeral)というのは、花の命が二週間ほどと短いのを惜しんでニリンソウなどと一緒にこう呼ばれます。今年も開花時期に巡り合えて本当に良かったです。キャンプ場の上に帰りコーヒータイム。3時間近くも頂上部で遊んで13時25分、ようやく腰を上げました。


帰りもショウジョウバカマの花と戯れながらのんびり下り、青崩集落の美しいアケビの花に見送られて15時、車に帰りました。好天の下、いろいろな花に出会えて今日も楽しい山行でした。遠路運転して来て頂いて、ピックアップして下さった丸さん。本当にありがとうございました。