ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

三十三間山に登る(2012.10.16)

2012-10-18 20:32:47 | 山日記

【三十三間山】標高842.3m。福井県(三方上中郡若狭町)と滋賀県(高島市)にまたがる。独立峰ではなく、三方五湖の南東にある矢筈山、雲谷山から南に走り若狭街道・熊川宿近くの杉山で終わる県境尾根の最高峰である。山名は京都三十三間堂の用材(棟木)を切り出したことに由来する。関西百名山の一。
【登山日】2012年10月16日
【メンバー】イノッチ、丸さん、三輪子さん、変愚院、♀ペン
【コースタイム】倉見駐車場09:40 …林道分岐10:00…最後の水場10:20…夫婦松11:10~11:17…山頂まであと1km地点11:40…風神11:57…県境稜線12:03~12:07…三十三間山山頂12:20~12:30…芝生広場12:40~13:20…夫婦松14:00~14:20…最後の水場14:50~14:55…駐車場15:20

 
 
 先週に続き、丸さん夫妻、イノッチさんと変愚院夫婦の5人で登る。今日は丸さんの車に同乗させて貰い、琵琶湖大橋を渡って伊香立でイノッチ車と合流。花背から朽木と比良山地の西部を北上。若狭町に入ると車窓前方に前山を背にした三十三間山が大きく横たわっている。9時半に登山口の倉見に着いた。
 

大きな表示版に従って広い駐車場に着く。手前側にトイレ、奥に案内図、さらに奥に第二駐車場があり停めてある車が見える。第一駐車場には他に1台だけ先着していた。第二駐車場には登山届ボックスがあり、横に木の杖がたくさん置いてあった。地元の人によく登られている山らしく、後で民宿で聞くと、この辺りでは小学校高学年や中学生も遠足で登るそうだ。登山届を出して出発。第二駐車場奥には「三十三間山」と記された石碑と、その横に山名の由来と、石碑の字は三十三間堂を管理する妙法院主の揮毫であることを記した石碑があった。ゲンノショウコ、ミゾハギ、ノコンギク、イヌタデ(アカマンマ)など秋の花が咲き乱れている草地を抜けると野獣除けの高い柵があり、登山者用の扉を開けて林道に入る。
 
 
幅の広い立派な林道は、左に八幡川の流れを見ながら緩く登っていく。透き通った水が苔むした岩を噛んで白いさざ波を立てる美しい沢だ。所どころに大きな岩が現れる。右手の杉林の中に開けた空地は古い寺院の址か、石垣や灯篭も残されている。20分で二つの林道の分岐に来て、「三十三間山登山道」の指導標に従って右の道に入る。ここが登山口で「山頂まで3Km」と記してある。(Photo by Inocchi)
 

美しい流れに沿った道は、何段かに分かれた小滝を捲くよう登る頃から次第に傾斜を増して、右手の山肌が崩落した箇所にくる。道にもゴロゴロした岩や石が転がり歩きにくくなる。沢が二つに分かれる処で「最後の水場 山頂まで2.4km」の標識があり、♀ペンが2Lの水をペットボトルに補充した。
 

沢には丸木橋が架かっているが浅瀬を渡り、沢を離れてジグザグの山腹に取り付く。しばらくで尾根道に出るが、ずっと急坂が続く。かなり、うんざりする頃、中年の男性が登ってきて「もうすぐ中間点ですよ」と声をかけて先に行かれた。少し展望のきくところがあり「ちょっと一服しませんか」と書いた地元老人会の標識がある。しかし頑張って「夫婦松」の標識まで登る。「山頂まで1.5km」の表示がある。先ほどの登山者が休んでおられて言葉を交わす。高浜の人でこの山には何度も登られているという。やや霞んだ若狭湾や三方五湖を眺めながら休憩する。

夫婦松から勾配はさらにきつくなり、掘割状になって斑ロープが張ってあったりする。だんだん疲れ始めた足を励まして登っていくと「風神」と書かれた場所があり、「風神さん右へ10m」と書いてあったが帰りに寄ることにする。(Photo by maru-san)
 
 
 
 
一登りで県境稜線に飛び出した。ススキの穂が秋風に靡き、美しい笹原と芝生のような草原の向こうに大きく横たわる山頂部が見える。今まで苦しい登り一辺倒だっただけに、一気に開けた展望は胸が空くような爽快さだ。改めて元気が湧いてきて、足取りも軽くなだらかな稜線を歩く。笹原が切れる処で下ってきた3人の男性と行き違う。イノッチが聞いたところでは、中の一人は80歳だそうだが、元気な足取りでとてもそうは見えなかった。
 

芝生の広場では、夫婦松で出会った高浜の男性が昼食中だった。「ここからはすぐだから、食事はここでしたらよい」先に山頂に登っておこうという私と同じ意見で、「ザックを見ていてあげる」というお言葉に甘えることにする。イノッチと三輪子さんは「軽いから」と背にしたままで登る。灌木帯の急坂を登っていくと、林の中にトリカブトがまだ咲き残っていた。葉が枯れたマムシグサ?には赤い実がついていた。やはり空身は楽で、10分足らずで頂上についた。灌木に囲まれた狭い空き地に三等三角点と何枚かの山名板。展望は全くない。丸さんがせっかく担ぎ上げた三脚を忘れて、苦肉の策で木の股にカメラを置いて記念写真を撮る。(Photo by maru-san)
 

引き返して芝生の広場に降りる。先ほどの登山者が私たちの帰りを待っていて下さって、しばらくおしゃべりする。風が強く、肌寒さを感じる。彼の話では、ここは風の通り道で年中こんな様子という。「あれが青葉山」と左手遠くに霞む三角形の山を教えて貰った。「鹿のフンに気を付けてくださいよ」と笑顔で言って下る彼にお礼を言って、芝生に腰を下して大展望を満喫しながらランチタイム。食後のコーヒーは山火事が怖いのでお預けにする。(Photo by maru-san)

いつまでもいて昼寝でもしたい心地よい場所だが、そろそろ空模様も気になってきた。明日は雨の予報なので、今日中に三方五湖の観光もしておきたい。心残りだが重い腰を上げる。稜線を離れてすぐ、風神さんを見に行く。「奉納○○禮理趣分経千○供○○」と書かれた上が太い円錐状の石塔と、般若心経を書いた赤い前掛けの石仏が一体あったが、「風神」らしい神様は見当たらなかった。
 

帰りはさすがに楽で、先頭でどんどん下っていって「愛想がよいので評判の若女将に早く会いたいから早い」と丸さんに冷やかされた。途中で栗が山のようにたくさん落ちているところがあって、中身はすべて食べられていた。この近くで登る時に三輪子さんがお猿さんを見たそうだ。鹿の鳴き声も聞こえた。夫婦松に着いてコーヒータイム。根元のすぐ上で二本に分かれていたが、一本は切られ、残る一本も枯れている。腰を下して熱いコーヒーを楽しんだ。
 

最後の水場で顔を洗い、何人かは丸木橋を渡った。(Photo by maru-san) 
帰りは往きより長く感じる林道を歩いて駐車場に帰る。今回も気の合った仲間と楽しく歩けて、素晴らしい山行ができたことを山の神様に感謝したい。