ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

富士山に千回登りました

2011-09-04 08:42:09 | 人との出会い・本との出会い

タイトルの通り「富士山に1000回登った」という実川欣伸さん。
彼についてはこのBLOGで過去にもすでにご紹介していますが、とにかくすごい男です。
この本は日本経済新聞出版社から「日経プレミアシリーズ」(新書)の一冊として今年7月8日発行されました。
実は暑中見舞いを頂いて刊行を知り、すぐに読ませて貰ったのですが、ご紹介が遅くなりました。

「はじめに」にあるとおり凄い凝り性。ウィスキーは毎晩のようにボトル半分、焼き鳥は毎日2~30本、タバコ、は40代まで一日100本のヘビースモーカー。それぞれ拒絶反応がでて匂いが嫌になるまで続ける。ところが富士山だけは「春夏秋冬、飽きることがない」。15年、登り続けて1000回を越えている彼の赤裸々に自分をさらけ出したリポートです。

2008年10月4日。八合目付近でツララをかじる実川さんに出会いました。前年、7年8月にヨーロッパ最高峰のモンブランに登り、南極を含む七大陸最高峰のうち「あとはエヴェレストが残っています」と話されました。

彼の凄いのは富士山だけでなく、他の山へも目標を立てて登る視野の広さだと思います。しかも恐るべき体力の持ち主で、キリマンジャロ(アフリカ最高峰)登頂の時は彼の速さに付いていけないガイドがバテてしまい、ガイドの荷物を客の実川さんが持って登っています。(本人の自慢話でなく、同行者が書いています)。
 ご覧のように筋肉質の身体…というより全く脂肪のない肉体。静岡大学で測定したデータでは「体脂肪率0.00」と出たそうです。

2006年9月3日。富士宮六合目宝永山荘で。少し疲れた表情の実川さんと。
実は、このとき前日から一睡もせずに富士宮五合目から山頂まで連続登頂中だったのです。このとき六往復の下山中に立ち寄られたもの。この日、午後11時に五合目出発。幻覚を見ながらも登り続け、ついに足掛け三日、9月4日午後3時に五合目に下山。なんと55時間で8連続登頂という記録を遂げられた時の写真なのです。

初めてお目にかかった頃。2004年10月4日。定年前で暇を見つけては富士山に登っておられた頃です。この頃の登り方は、宝永山荘へちょっと顔を出して下山、五合目で仮眠をしてまた登り始める…といった調子で、一日二往復が普通だったと記憶しています。私たちもいつもこの宝永山荘をベースにしていますので、いつの間にか顔なじみになりました。

前にも書きましたが、「どうせ登るなら…」という彼は、ただ山頂を目指すだけでなく実に様々な「登り方」をされています。
 先に記した「8連続登頂」の他に、1993年9月の「四登山道連続一筆登山」 (30時間52分)、94年11月「東京駅から東海道を歩いて山頂へ」(43時間)、1995年7月~8月「日本横断3000m峰29座完歩」(29日間!)、2000年5月「伊豆半島一周」(54時間47分)、2002年下田和歌の浦~伊豆半島縦断~富士山頂(登頂200回記念、39年)…そして海外ではキリマンジャロ、エルブルース、コジウスコ…まさに超人的な記録です。

2005年に定年を迎えられて、いよいよ本格的に登頂記録に挑戦開始。08年7月・400回目、09年8月には「田子の浦から村山古道(修験者の道)を山頂へ」のルートで700回目。そして、ついに目標の富士山1000回登頂は、2010年10月10日この村山古道ルートから達成されました。

「夢は必ず実現できる」と信じ、「最高の人生を送っている」と言い切れる実川さん。
 世界最高峰もネパール、チベット両側からの連続登頂を狙っておられるとか…。サガルマタ、チョモランマ二つの名で呼ばれるエベレストに連続して両側から登った人は、まだ世界中に誰もいません。でも彼ならきっと、世界中の登山愛好家の夢を実現されると信じています。

今年も宝永山荘で、この素晴らしい笑顔に出会えることを楽しみにしています。