ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

観音峰に登りました (6月1日)

2010-06-02 10:32:15 | 山日記
観音峰は吉野郡天川村にある大峰山脈の前衛峰で、標高1347.4m。
南北朝時代、後村上天皇が吉野から天川に落ち延びたとき、山中の洞窟に籠もった夜
夢に十一面観音菩薩が現れ、河合寺が安住の場所とのお告げを受けた。山名はこの伝説
に由来している。

<コースタイム>登山口10:05…観音水10:20…観音平休憩所11:00~11:10…観音平
展望所11:35~11:45…観音峰12:20~12:35…観音平展望所13:08…観音平休憩所
13:30~13:35…登山口14:15

この日はヤマシャクヤクを見るため途中の観音平展望台までの予定だったのですが、
観音岩屋付近の「白」はすでに花期に遅く莢果になっていて、展望台付近の「紅」は
まだ蕾も見えなかったので、少し足を延ばして山頂三角点まで行ってきました。



予報は「上空に寒気が入り不安定な天気」と伝えています。天川河合から洞川へ向かい
虻トンネルを抜けた駐車場に車を置きます。吊り橋を渡ると観音峰への道が始まります。
植林の中を少し登ると右へ御手洗渓谷への道を分け、右に折れて観音水に着きます。



右手の岩に見えるのは「奥吉野天川南朝物語① 動乱の勃発(建武の中興)」。
この先、登山道の途中6箇所にあるこの案内板が南朝の歴史を語ってくれます。
二番目の案内板「吉野の南朝」はは少し登った第一展望台への分岐にあります。
カジカが鳴く沢を二度鉄の橋で渡り、木の階段道やなだらかな道を繰り返して尾根に
でます。



ブナ林の中、苔むした岩が多く見えるようになると立派な休憩小屋のある観音平休憩所
に着きます。広場にはヒトリシズカの花が咲いていました。
一休みして前に見える階段を登ります。



大きな岩の間を通っていきます。この近くに吉野の合戦に敗れて観音岩屋に隠れた
大塔宮護良親王が詠んだ
「よしの山花も散るらん天の川 くものつつみをくずすしらなみ」の歌を刻んだ「お歌石」
があったことが記されています。

その観音岩屋への道を右に分けて、しばらく山腹の道を緩やかに登ります。
このあたりは石灰岩の大きな岩が点在しています。やがて



植林帯の中、土止めの木組みがジグザグに何曲がりも続く急坂の登りになります。



登り切ると観音峰展望台。標高1208m地点で周囲をススキに囲まれた丸い丘で、晴れて
いれば遮るもののない大展望が拡がるのですが、今日は残念ながら稲村ヶ岳から弥山に
かけては雲に覆われて、右手の天和山だけに陽が当たっていました。
正面に見えるのは1285m峰。観音峰はその右に顔を覗かせています。



ススキの原を抜けると雑木林に入ります。咲き残ったヤマツツジの赤が彩りを添えています。
急坂を登り切ると1285mのピーク。木材運搬用のワイヤや錆びた器具が残されています。
ところどころでギンリョウソウが顔を出していました。
いったんゆるく下り、コルから登り返します。



新緑の美しいブナ林の中を登ります。尾根の幅が広くなり、踏み跡が錯綜しますがテープが
導いてくれます。



トリカブトの群落(もちろん葉っぱだけ)を過ぎると静かな林の中の観音峰頂上。
汗が冷えると寒さを感じるほどの気温です。
頭上の空が暗くなってきたので、急いで軽い昼食を済ませて下山します。ときどきパラパラと
雨滴が落ちてきます。



展望台を通過。雲が切れてバリゴヤノ頭が見えています。右手遠くに天和山。
休憩所に降りる頃には音を立てるほどの雨になりました。しばらくすると雨雲は過ぎたので
いったん出した雨具をザックにしまって帰りを急ぎます。二つ目の橋の曲がり角で、大きな
尻尾のグレーの動物が斜面を駆け上って行きました。リスにしては大きいので、モモンガか
ムササビだったのかもしれません。
観音水で水割り用のお水を頂いていると、山岳雑誌のグラビアから抜け出したような最新の
ファッションに身を固めた若い男性が追い越して行きました。今日、山で出会ったのはこの
ひとただ一人でした。



なんとか雨に遭わずに駐車場所に帰りました。一年ぶりの観音峰は展望や花には恵まれません
でしたが、元気に歩き通せただけで十分、満足です。