i氏の海外生活体験記

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プルトニウムを英国は「捨てる」検討

2013-12-11 22:26:46 | 大間原発の中間貯蔵化
12/10朝日新聞WEBRONZAが伝えておりました。

-竹内敬二【プルトニウムは今】英国は「捨てる」ことを考え始めた-

 当面使い道のないプルトニウムを自国分、外国分合わせて120トンも抱える英国は、困った末に「プルトニウムを捨てる研究」を始め、「捨てるビジネス」を考え始めた。英国の試みは、世界の多くの政府・電力業界が思ってはいるが、誰も言えなかったことを代弁しているかもしれない。「プルトニウムはお金と時間をかけてつくり出したものの、扱いが厄介でコストがかかる。捨てた方がいいのかも知れない」ということだ。

 捨てる研究はイモビライゼーション(immobilization)という。固定化、不動化を意味する。プルトニウムの粉末とカルシウム、チタンなどの酸化物を金属の缶に入れ、熱と圧力をギュッとかける。そうすると全体がセラミックになり、簡単にはプルトニウムを分離できない状態になる。この缶を地中に廃棄する。放射能の強い使用済み燃料と一緒に捨てる考えもある。

 もともとこの研究は、少量の役に立たないプルトニウムの廃棄方法として研究が始まった。しかし、英国では近い将来、大規模に捨てる可能性がでてきたので研究に力を入れている。研究は英国中西部にあるセラフィールド原子力地域の中にある国立原子力研究所で行われており、担当者は「3年後に、実用化のための施設をつくる」と話している。

 英国はフランスと並び、外国を巻きこんだプルトニウムビジネスを展開してきた国だ。1994年には巨大な再処理工場「ソープ」をスタートさせ、自国原発からでる使用済み燃料だけでなく、ドイツ、日本などの再処理委託も受けてきた。このため、建設費も3カ国でほぼ3等分され、英国は安上がりに工場をつくることができた。

【英国サイクル政策は失敗の連続】
 ドイツが委託したのは、自国内での再処理工場建設を断念したからだ。また日本は六ケ所再処理工場ができるまでの使用済み燃料を英国のソープと、フランスのラアーグ再処理工場に委託した。

 ソープの運転開始前、再処理を本当にすべきかどうか、そしてソープの経営がうまくいくかどうかについて、英国内で大議論があった。しかし、英国は反対派を抑えて新しい時代のビッグビジネスに突入した。
それからの20年、英国にとって予想外で皮肉な歴史が流れた。第一に、原発の建設が止まった。英国は独自開発の2種類のガス炉を約40基建設したが、世界の時流は米国が開発したPWRなどの軽水炉に収斂した。

 そこで「ガス炉路線」を転換し、1988年に最初の軽水炉「サイズウエルB」の建設を決めた(95年に運転開始)のを皮切りに、90年代には10基ほどの軽水炉を一気に建設する予定だった。しかし、一基も建設できなかった。90年に行われた電力の民営化・自由化のためだ。電力市場が自由化されると、民間会社は「建設時間が長く、反対が多く、廃炉・廃棄物処分が不透明な原発」を忌避した。政府も原発建設の熱意を失った。軽水炉ができなければ、MOX燃料でプルトニウムを消費するプルサーマルもできない。再処理工場ソープも故障続きで、計画は遅れに遅れたが、ガス炉とくに古いマグノックス炉の燃料は長い間プールに保管できないので再処理は続いた。PWRはできないのでプルサーマルを実施する展望はなかったが。

 ドイツ、日本などの委託はソープの経営を助けたが、途中から話がおかしくなった。ドイツは90年代後半から、再処理をしない政策をとるようになり、再処理を止めようとしたが、フランスと英国は力を合わせて「契約を変えて再処理を途中でやめること」を拒否したのである。やめれば英仏に再処理費用が手に入らないからだが、ドイツにとっては、「不要なプルトニウム」が増えるだけだった。日本は政策を変えなかった。

 第二は、FBRの時代がこなかったことだ。英国では、「2000年までに英国内で8基のFBRが必要」と予測していたが、世界の原子力の情勢はまったくその方向には動かなかった。英国は94年にPFRというFBR原型炉の運転を止め、FBRの開発を断念した。皮肉なことに、その年にソープの運転を開始した。ソープが生み出すプルトニウムは本来FBRで使うものである。将来の混乱を予見させる大きなボタンの掛け違いだった。

 第三の誤算はMOX工場の不調だった。セラフィールドにはかつてMOX燃料をつくる小さな施設があり、日本などの燃料をつくっていたが、99年に関西電力のMOX燃料製造過程で検査データのねつ造が発覚した。そこで新しい大型工場をつくり、02年に運転を開始した。SMP(セラフィールドMOXプラント)である。しかし、11年の福島第一原発事故で最大顧客の日本のプルサーマルがまったく不透明になり、SMPは11年8月に閉鎖された。実は、それまでも工場は不調で実働9年で13トンほど(フルに運転すれば年間150トンの生産が可能)しか製造できなかったのだが、福島事故がとどめを刺した。

 今英国には120トンのプルトニウムがある。90数トンは自国分、残りは外国所有のもの。外国分のうち、日本分が最大で17トン。そしてソープはすべての契約を完了する18年に閉鎖される。そのとき、プルトニウムの総量は140トンになる。そして、英国内にはMOX工場もなく、そもそもMOX燃料を燃やす原発もない状態におかれる。これが英国の状況である。

【引き取るビジネス、「お金はいただきます」】
 この大量のプルトニウムをどうするか。英国は11年末に一応の方針を出し、「長期保管」「利用する」「捨てる」の3つの選択肢で考えるとした。その中で「MOX燃料として利用する」が最も好ましいとしているが、これまではなかった「捨てる」という選択肢が注目されている。イモビライゼーションは「捨てる」に使う技術になる。
しかし、英国は転んでもただでは起きない。この危機を逆手にとってドラスティックなビジネスを模索している。「英国内にある外国のプルトニウムを英国に引き取る」ことだ。英国の所有物にしておいて、将来、「捨てる」ことも含めて何らかの処理をするということだ。

 この際、「誰が誰にお金を払うのか」が問題になる。英国側の立場は明確だ。「所有権移転においては、英国の納税者に追加的な負担を追わせないこと」が原則となっている。つまり「英国がお金をもらう」ということだ。「プルトニウムを生み出すビジネス」から「不要なプルトニウムを引き取り処理するビジネス」の大転換だ。すでに、ドイツやオランダのプルトニウムを有償で引き受けている。これによって、英原子力廃止機関(NDA)は昨年、1億700万ポンド(175億円)の収入を得ている。

 しかし、日本はドイツやオランダのようなことはできない。多額のお金をかけて「貴重な物質」であるプルトニウムをやっと取り出したのである。それを「お金を付けて誰かにあげる」となると、「ごみ」とみなすことになる。日本の核燃料サイクルの考えが根底からひっくり返る。 

 しかし、冷静に考えてみれば、英国が提示していることは紛れもない現実だ。プルトニウムをつくり出すには、再処理、MOX燃料加工という大きな二つのプロセスが必要で、どちらも相当のコストがかかる。しかし、そうして使うプルトニウム燃料は、ウラン燃料を使うより極めて割高なのである。使うにも、保管するにもお金がかかる。捨てた方が経済的になるかも知れないのだ。・・・

-引用終わり-

なかなか良い記事ですね。英国のプルトニウムの扱いの過程を説明しています。

さて、私は最終処分場が出来るまでは中間貯蔵施設に保管するしかないのでは、と思っています。それで先ず大間原発を中間貯蔵施設に変更したらどうか、という考えになりました。原発建設に賛成している住民ですから中間貯蔵施設なら危険性も格段と少なく、大間のマグロも守られましょう。反対訴訟準備中の函館も思いとどまるのではないでしょうか。ただし、その施設が最終処分場になし崩し的にならないために、原則50年リレーにします。次は電力の多く消費している地域に移設します。50年毎に1,000億と解体コストが掛かりますが止むを得ません。

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ソウル便、最大の危機

2013-12-11 12:47:24 | あおもり
12/11読売新聞WEB青森版が伝えておりました。

-ソウル便 3万人割れへ-

 大韓航空が運航する青森―ソウル便の今年の年間利用者数が東日本大震災の影響などで伸び悩んだ2012年を下回り、3万人を割り込む見通しであることが10日、分かった。三村知事らは11日から訪韓し、韓国観光公社や大韓航空の幹部らと面会し、連携強化を要請する方針だ。

 県交通政策課によると、同便の利用者数は1~11月で計2万6203人、搭乗率は59・3%。月単位で見ると、9月は1547人(搭乗率38・7%)、10月は2312人(同52・1%)、11月は1557人(同43・4%)と低迷している。

 12月の定員座席数は3686席(見込み)で、仮に満席になったとしても年間利用者数は3万人に届かず、12年の3万2590人をさらに下回る水準だ。利用者数は日本人が前年比で5000人以上減少するとみられ、外国人は前年比で1000人以上増えるものの、9月以降は利用者が落ち込んでいる。

 日本人の利用者数が伸び悩むのは、県民の韓国に対する感情が悪化していることが背景にあるとみられる。〈1〉韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が日本政府を繰り返し批判している〈2〉東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題を受け、明確な科学的根拠がないのに本県産を含む8県産水産物の輸入を禁止した――ことなどが理由だ。

 一方、外国人の利用に9月以降ブレーキがかかったのは、東京電力福島第一原発の汚染水問題が最大の要因とみられる。

 同便は10年の年間利用者数は4万3572人だったが、11年は東日本大震災の発生で約7か月運休した影響もあり、年間利用者数は1万6224人に落ち込んだ。12年以降も利用者数は伸び悩み、大韓航空側は今春、一時運休することを検討した。

 県や関係団体は県経済を活性化させるうえでソウル便を重要な路線と位置づけており、空港の駐車場料金引き下げやパスポート取得費用の補助など対策を次々と打ち出しているが、十分な効果は上がっていない。

 三村知事は11日から韓国観光公社や大韓航空、旅行会社を訪問し、連携強化を確認するとともに新たな旅行商品の開発を働きかける考えだ。県は「日韓関係の悪化が影響しているが、手をこまねいているわけにはいかないので、様々な対策を講じていかなければならない」と危機感を強めている。

-引用終わり-

予想通り秋口から利用客が減少しています。先日利用した時も少なかったですね。乗り継いだソウル~ダナン便の超満員とは対照的です。

従来より言っていますが、対策が弱いのではないでしょうか。従来の繰り返しで恐縮ですが、私は以下のように思います。

①知事が職員にパスポート取得義務化と海外休暇優遇を呼びかける。

②インチョン経由の観光ルートを強力にPRする→ベトナム・ダナンを強く推奨します。季節で変わりますが1月は往復61,800円です。

1~3月の利用客が増えないと、本当にマズイと思いますよ。

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耐震化への対応

2013-12-11 12:14:43 | しもきた
12/11東奥日報WEB社説が伝えておりました。

-縦割り行政が安全妨げる/むつ市の耐震化遅れ-

 むつ市は11月末、突然、市民体育館を閉鎖した。震度6強以上の地震で倒壊の恐れがあり、改修の手だてもないと判明した。1976年の開館。老朽化が進んでいた。

 やむを得ない措置だ。ただし、判断が遅かった。9月末、耐震診断の結果を受け取り、基準を大幅に下回ると把握していた。

 せめて、この時、危険性を市民に伝えるべきだった。災害時の指定避難所でもあったのだから、なおさらだ。市内部の連携不足から、避難所を近隣施設に変更する手続きも遅れた。

 指定避難所のうち、48施設で耐震診断が行われていないことも分かった。

 すぐに解決できる課題ではない。耐震診断と改修には多額の費用を要するが、財政状況は厳しい。市にまず求められるのは、各施設の状況の情報公開だ。危機管理には住民の協力が要る。安全・安心な街づくりを妨げている“縦割り行政”の根絶も急務だ。

 「早く伝えるべきだった。深くおわびを申し上げたい」。6日の市議会。宮下順一郎市長が陳謝した。

 市民体育館の耐震診断結果を把握した9月末から閉鎖を決めた11月末まで、危険性を周知しなかった。この間、改修できないか専門家に検討してもらうなど、閉鎖を回避する方法を模索していたという。

 何も知らされないままだった利用者は、ぞっとしただろう。市は9月末に当面の使用中止を決め、理由を明らかにし、その後に改修の可能性を探るのが、順当な手順だった。

 市内部の連携も不足していた。市民体育館を所管する市民スポーツ課が、防災政策課へ第一報を伝えたのは、11月30日閉鎖のわずか2日前。同課は急ぎ対応したが、指定避難所を近くの下北文化会館に変更する手続きと市民への周知は、閉鎖に間に合わず、数日遅れになってしまった。

 危機管理の意識不足。“縦割り行政”の弊害は、根を深く下ろしていた。

 市長が開会中の市議会定例会へ市民体育館閉鎖の経緯を報告することになり、同課と管財課が中心になって、指定避難所の耐震化がどれだけ進んでいるか、情報をまとめた。

 本来、事前に把握していて当然だ。耐震診断の予定、続いて結果と、その都度、施設を所管する課から防災政策課や管財課に連絡する仕組みがなかった。

 一方、今回まとまった状況も深刻だ。115の指定避難所のうち、81年の新耐震基準導入以前に建設された市公共施設は54。うち、耐震診断が行われていないのは48。このほか統合後の旧・城ケ沢小学校は、診断で基準を下回ったが改修は見送っていた。改修済みは5施設にとどまった。

 市は財政が厳しい中でも順次、耐震化を進めなければならない。優先順位を決める必要がある。最新の状況を常に開示し、信頼を回復してほしい。原子力施設が集中立地する下北半島の中心地でもある。安全に関する情報には、ことさら敏感な行政であるべきだ。

-引用終わり-

記事の様子では「遅れたので慌てて対応した」ということですが、兎に角対応したことは悪い感じはしません。本当に言いたかったことは最後の文章で「下北の中心地として原発の安全性にもことさら敏感であるべき」と読みました。

つまり、原発事故の避難計画や避難道路の見通しはどうなっているのか、そもそも現時点で保管している核燃料はテロ災害にも大丈夫なのか、将来どう処理するのか・・・。こちらの方が優先順位が高いような気がします。今話題の市民基本条例で「住民投票」のシステムが出来ないものでしょうか。

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