折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

おばあさんの贈り物

2020-11-23 11:44:00 | ナノノベル
「玩具はみんな飽きたな」
「まあ、じゃあ何がいいかな」
「魔法使い」
「そうね。もっと素敵なものがあったわ」
「えーっ。何?」
「あとのお楽しみね」

チャカチャンチャンチャン♪

「何これ、食パン?」
「食べ物じゃない」
「だよね」
「こうやって開くの」
「わーっ! 鳥みたい」
「こうして閉じたり開いたりできるの」
「えーっ、飛べるの?」
「風が吹くとほらパタパタ音がする」
「面白いね。飛べるの?」
「想像の翼を借りればね」

チャカチャンチャンチャン♪

「紙の本?」
「そうよ」
「何これ? スイッチはどこ? どこで充電するの?
どうやって見るの?」
「ほれほれ、いっぺんに訊かないの」
「えっ、何これ? 紙の本」
「紙の本よ」

チャカチャンチャンチャン♪

「スイッチは?」
「ついてないのよ。いらないの」
「えーっ、どうなってるの?」
「紙と紙がね、こうやってくっついてるのよ」
「えーっ!」
「それでこうやって見るとほら字が書いてある」
「あっ! ほんとだ!」
「こうやってパラパラすると次のページに行けるの」
「えっ? 指でひっかけるんだ」
「そう、やれば簡単よ」

チャカチャンチャンチャン♪

「電池入ってないの?」
「充電も電池もいらないの」
「本当?」
「これだけで読めるのよ」
「すごい! バッテリーが切れたりしないんだね」
「そうよ。触れてごらん」
「わーっ。みんな紙でできてる!」

チャカチャンチャンチャン♪

「1枚1枚めくるのよ」
「わーっ。面白い! めくった分だけ読めるんだ!」
「そうよ。好きなだけ読めるの」
「でも、途中でやめる時はどうすればいいの?」
「いい疑問ね」
「ここまで読んだよ。でも閉じたら忘れちゃう」
「この栞を挟むのよ。ページとページ間に」
「えーっ! 紙に紙を挟むんだ!」
「そうよ。それが栞よ」

チャカチャンチャンチャン♪

「すごい! 続きが読めるね!」
「栞は待ち合わせ場所に挟む目印よ」
「へー、そうなんだ」
「栞を抜き取るとそこから物語が動き始めるの」
「栞がない時はどうなるの?」
「代わりにハンカチでも挟むといいわ」
「ハンカチ?」
「その時にある物を挟めばいいのよ」
「じゃあ鉛筆は?」
「鉛筆も挟めるわ」
「じゃあじゃあ物差しは?」
「勿論挟めるわ」
「じゃあじゃあチョコレートは?」
「ええええ」

チャカチャンチャンチャン♪
 
「何でも挟める?」
「だいたいの物ならね」
「壊れない?」
「簡単には壊れないわ」
「ずっとずっと?」

チャカチャンチャンチャン♪

「だんだんと色が変わって行くわ」
「どうして変わるの?」
「そうね。風や光や虫や雨によってよ」
「自然に変わるの?」
「ドーナツやチョコレートによっても変わるわ」
「へー、気をつけなくちゃ」
「時にあなたの涙もね」
「水に弱いの?」
「そうよ。ハンカチを用意して読みなさい」

チャカチャンチャンチャン♪

「ありがとう。おばあさん」
「ええ、大事にね」
「明日から読んでみるよ」

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わがままメニュー

2020-11-23 06:35:00 | ナノノベル
「何か作ってよ」
「何?」
「何でもいいから」
「何か言った方がいいんじゃない?」
「面倒くさい。わからない。何でもいい」
「あとで文句は言わない?」

チャカチャンチャンチャン♪

「何これ?」
「何?」
「何なのこれ」
「何でもいいって言ったでしょ」
「言ったよ。何これ?」
「何でもいいんだから何だっていいじゃない」
「えっ?」
「何?」
「僕が食べるんだから」
「何?」

チャカチャンチャンチャン♪

「僕は何か知る権利があると思う」
「何でもいいと言った時にあなたは権利を手放したの」
「手放してはないよ」
「何でもいいなんて言うからよ」
「言ってもいいでしょ」

チャカチャンチャンチャン♪

「さあお食べなさい」
「何これ?」
「さあ」
「名前を言ってよ」
「はい?」
「何でもいいから」

チャカチャンチャンチャン♪

「これは即興メシよ」
「即興メシ? 何それ」

チャカチャンチャンチャン♪

「えー、何か添えないの」
「添えて欲しいの?」
「添えてみればいいじゃん」

チャカチャンチャンチャン♪

「即興メシ ~僕のわがままに添えて~」
「何それ?」
「はい、どうぞ」
「いただきまーす!」
「どう?」
「何かうまーい!」

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人間嫌い

2020-11-23 03:03:00 | ナノノベル
 ちょっと一休みしている間にオフタイマーが働いてロボットが人間になっている。あくまでそれは外面的な話で、その間にもロボットは一秒刻みのアップデートを繰り返し私たちの生活の安全と豊かさを保ってくれるのだ。サンキューロボ。
 それに比べて人間ときたらただ気まぐれに部屋の中を動き回っているだけ。たまに難しい熟語交じりの言葉のようなものを発するが、それはまるでデタラメで少しも意味なんてないのだった。(心が和む)なんて評価する者もいるらしいが、とても理解に苦しむことだ。
 そういうわけで私の一休みはとても短い。

「さあ、そろそろ行くか」
 人間の面に一発ストレートを浴びせると、正しくロボットに変わった。
「ミッションに戻ります」
「おかえり。ロボ」

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