折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

それはあなた

2019-07-26 07:37:54 | 好きなことばかり
夏は麦茶だ
いや夏は祭りだ
いやー夏はプールだ
いやいや夏はタンクトップだ
いやーやーやー夏はかき氷だ
いやいやいやいやいや夏は花火だ
いやーあー夏っちゅうもんはね……
 
夏とはいったい何なのか
 
夏の正体は
 
人の声に耳を傾けるほどに
遠退いて行くようだった
 
夏?
 
「夏は嫌いだ」
 
あなたはそう言って
ピシャリ
 
pomeraを閉じた
 
 
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pomeraの開き

2019-06-06 23:24:31 | 好きなことばかり
5歳を振り返った時
ぼくはpomeraを開く
誰かに優しくされた時
恋するものが生まれた時
ぼくはpomeraを開く
 
12歳の時
私はpomeraを開く
誰かに冷たくされた時
恋するものが消えた時
私はpomeraを開く
 
10月の終わりに
ぼくはpomeraを開く
 
雨が降った時
私はpomeraを開く
 
風が吹いた時
ぼくはpomeraを開く
 
0時を少しまわった時
私はpomeraを開く
 
傷つけた時
傷つけられた時
傷つけ合った時
ぼくはpomeraを開く
 
笑った時
笑われた時
笑い合った時
私はpomeraを開く
 
猫が振り返った時
ぼくはpomeraを開く
 
星が横切った時
私はpomeraを開く
 
何かを思いついた時
何かを思い出した時
 
ぼくらはpomeraを開く
私たちは詩を書き始める
 
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カレー・カラー

2019-06-05 09:01:41 | 好きなことばかり

 

 肉、玉葱、人参、ピーマン、鍋の中に放り込んで、幸福な色に変わるまで炒めつけてやる。何でも来い。ウェルカム! 嫌いなものも好きになれる。そんな力がカレーにはあるから。椎茸、白菜、小松菜、ブロッコリー、もやし、キャベツ、ホタテ、アジ、大根、なばな、マッシュルーム、ゴボウ……。
「もうええわ」
 一頻り炒めたら、火を小さくして、煮込む。
 ぐつぐつ、ぐつぐつ。煮込んでいる手の空いた時間、何か他のことをしてもいい。本を読んでもいい、ゲームをしてもいい、日記をつけてもいい、作文を書いてもいい、水彩画を描いてもいい、和歌を詠んでもいい、ボール遊びをしてもいい、ヨガをしてもいい、ラーメンを食べてもいい、絵日記を描いてもいい、あいうえお作文を書いてもいい、コーヒーを飲んでもいい、夢を語ってもいい、花に水をあげてもいい……。
「もうええわ」
 何をしていても、みんなカレーの時間だ。カレーに含まれて好きになれる時間だ。ぐつぐつ、ぐつぐつ……。
 ジュー……。煮詰まってきた。
今夜もまたカレーだ」
 
 
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8番ホーム

2019-06-03 08:32:30 | 好きなことばかり
 
 猫のことを考えていた。猫の振り返り。猫の足音。猫のあくび。猫の通り道。猫の足跡。猫の独り芝居。猫の霊感。猫の駆け足。猫のダッシュ。猫の横切り。猫のジャンプ。猫の好物。猫の壁登り。猫のつまみ食い。猫の威嚇。猫の後退り。猫のジャブ。猫のいる日溜まり。好きな猫のことを考えていた。
 
 8番ホームには誰もいない。いつもいる人がいない。祝日の月曜日。突然、鴉が降りてくる。何もないことを確かめて、羽ばたく。ベンチには誰もかけていない。誰もいない。猫がホームの端を歩いていく。誰にも遠慮はいらない。ダイヤは大幅に削られている。もう、今日は来ないかもしれない。終わったのかもしれない。ベルは鳴らない。アナウンスは何もない。冷え込みが激しくなっていく。
 
 誰もいない8番ホームの片隅に幻のうどん屋が浮き上がってくる。鰹だしの香り。立ち上がる湯気。おばあさんの横顔。
 
「かやくうどん」
 おばあさんは何も言わず動き始める。
 
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いつかのエレクトーン

2019-05-29 01:55:55 | 好きなことばかり
「エレクトーンはもうやめた」
 先輩は何か人が変わったようだった。今度はフットサルを始めたのだという。ダブルタッチが得意だけどいつも上手くはいかないという。まあ、よくわからない話だ。ゴールはまだ決めたことがないという。
「まあ、その内、決まりますよ。じゃあ……」
 挨拶を終えて離れようとするが、先輩はまだついてくる。趣味が変わったので帰り道も変わったのだという。まあ、よくわからない話だ。
 
「ゴール前にいたらいいじゃないですか。そしたらすぐに入りますよ」
「行って帰るのは嫌だよ」
 攻めたり守ったりするのは面倒だという。だから、だいたい真ん中辺りにいるのだという。わがままな人だ。走り回るのが面倒なんて。やめたらいいのに。
 
「なるほど。賢いですね」
「俺はマークされたくないタイプだから」
 攻め上がった時には、絶対にゴールを決めたいのだという。始めたばかりとは思えない。先輩なりの哲学があるようだった。
「ですよね」
 何か新しい楽器でもやろうかな……。
 先輩はいつの間にかいなくなっていた。
 
 
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サイクル(ワンカット)

2019-05-13 21:10:58 | 好きなことばかり
ドッグフードはもう十分
 
ボールが投げられると
僕は加速をつけて走り出す
ボールをくわえたら
寄り道もせず帰ってくる
 
君は手に取ったドッグフードを
ピュッと投げる
パクッ
グッド・ジョブ!(当然さ!)
 
いただくものをいただいて
ここまでがワンカット
 
君が振り被るのを
僕はもう待ち始めている
 
ドッグフードはもういいんだけど
 
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pomeraの世界

2019-05-07 05:48:33 | 好きなことばかり

世界につながってはいなかった

どこからも広告は流れてこなかった
何もないキャンバスとぺちゃんこの文字盤が
直角よりも開いたところで向き合っていた
 
「君は何を映すんだ?」
「それは君次第だろう」
「僕は何を残すだろう」
「私を見ていればわかるよ」
「何を生産できるだろう?」
「打ち込めばいいんじゃない?」
「何を?」
「わからないの?」
「僕にはわからないよ」
「私にだってわからない」
「何か足りない?」
「例えば?」
「よくわからないね」
「なんとなくならわかるの?」
「君はわかってそうだね」
「そうでもないの」
「やっぱりそうか」
「わからないのよね」
「何かだよ」
「何かね」
「僕が弾けるための何か」
「そして私に映すための何か」
 
テーブルの上で
pomeraは考えあぐねていた
何もないキャンバスと
かすれた文字盤がただ
直角よりも少し開いたところで
未来に生み出される何かについて
考えを巡らせていた
あるいはもう一つの鍵を
待ちわびていた
 
pomeraはずっと開いたままだった
それはどこからやってくるだろう
 
「君は何を映すんだ?」
「それは君次第だろう」
 
 
 
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チャーハンの時代

2019-04-22 23:27:09 | 好きなことばかり
 
 チャーハン屋はあってもラーメン屋はない。そういう時代だ。チャーハンを作りたくて旅に出る若者はいても、ラーメンを心に抱き道を行く者はいない。もはやラーメンは忘れられてしまった。何かの例えの中では下の方に置かれる。あるいは鼻で笑われるような存在だ。一方でチャーハンは光をあびて輝いている。すべての若者の憧れであり、誰からも愛されて、求められる存在だ。私はラーメン屋。ずっと昔ながらのラーメン屋だ。
 今夜はカウンターに一人の紳士を迎えられたことに感謝している。文句の一つも言わず麺を啜る姿を見ていると、目頭が熱くなるのだ。
「ごめんなさいね。ラーメンしかなくて」
「そんなことないですよ」
「よかったら替え玉でもしていってください」
「ありがとう。でも、ちょっと約束があって……」
 無理に引き止めることはできない。紳士はスープまですっかり飲み干してくれた。
「ごちそうさま。美味しかった」
 その言葉にうそはないようだ。こういうことがあるから私はまだラーメン屋を続けているのかもしれない。まだまだ捨てたもんじゃない。そう思わせてくれる、そんな夜もある。
「いらっしゃい」
 暖簾が派手に揺れて、いかにも酔っぱらった二人がガラガラと扉を開けた。
「チャーハンあるか?」
「ごめんなさい。うちはラーメンだけで……」
 急に男の顔が険しくなるのがわかる。
「はあ?」
 不条理な事態に直面した時に表れる怒りが、顔中に浮き出ている。それ以上、前進することはなかった。
「二度と来るか!」
 捨て台詞と共に扉は閉まった。よい夢は一夜に一度でいい。
 
 
 
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プロジェクションマッピング

2019-04-16 23:44:30 | 好きなことばかり
 
 ターミナルを行き交う幻想を見ていた。猿、クジラ、鴉、象、ワニ。激しく行き交っているのに、みんな不思議とぶつからない。蟻、カブトムシ、蟹、鶏、カナブン、鈴虫、河童。「何でもありなんだな」映像がリアルを呑み込んで、リアルが映像に溶け込んでいる。恐竜に踏みつぶされて、子鹿は一瞬凹むけれど、すぐにゾンビのように復活する。「流石に大きい」ターミナルはお祭り騒ぎ。カツ丼、クレープ、キリン、オーロラ、ヤドカリ、チャーハン、鰯雲、ハナミズキ。「僕もいていいの」何でもあるから、君も僕も許されていることができる。コーヒーカップ、オーロラ、つむじ風、ボールペン、シロイルカ、12月、ドラキュラ。「いていいの」砂時計、ドコモショップ、岸辺、トンネル、大蛇、トライアングル。「退屈と違うね」トビウオ、新郎新婦、サーモンマリネ、あべのルシアス、変ト長調。「世界観がきれいね」ハダカデバネズミ。「そう?」トナカイ、ドミノ、角換腰掛け銀、ゴールドマン、フローニンゲン、風立ちぬ、オオイヌノフグリ。人間。「あれは何?」人間?
「あっ! 人が来た!」
「逃げろ!」
 
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玉葱おじさん

2019-04-11 23:36:37 | 好きなことばかり

 

 玉葱おじさんは玉葱が大好き。箱いっぱいに詰め込まれた玉葱が1つ60円で売られていたら、おじさんは箱の前に立って思い切り玉葱の匂いを吸い込む。あれもいいこれもいい、みんないい、いいに決まっている。だって、私は玉葱が大好きなんだから。だから、おじさんは1つの玉葱を結局は選ぶことなんてできずに終わるのだ。買い物をする人がわずか10秒ほどの短い時間で1つの玉葱を選ぶ様子を見て、玉葱おじさんは顔を歪める。少し羨ましげにも見える。
 今夜はカレーだという噂を聞けば、玉葱おじさんはどこの家庭にでも押し掛けていく。鍋の中に加わる玉葱の様子を、玉葱が炒められる時間を、変わっていく色合いを、共有したい。そんなささやかな願いが、玉葱おじさんを突き動かしているのかもしれない。いきなり玄関のベルが鳴って、驚くお母さん。玉葱おじさんは、ほとんどの人にとって、見ず知らずの存在だ。門前払いされることにも慣れていた。玉葱の匂いを追いかけて幾度もの突撃を繰り返す間に、他人の警戒をほぐす笑顔も少しは身につけていた。肉じゃがの噂を聞くと早速、玉葱おじさんは走り出した。
「玉葱が私を呼んでいるぞ」
 他人の家にいきなり押し掛ける玉葱おじさん。どうぞ、どうぞ、と愛想のよいおばさまは、そんなおじさんを快く迎え入れてくれた。
「今日は玉葱は入ってないんですのよ」
 玉葱おじさんでも、こんなうっかりミスをすることがある。確かに玉葱が炒められる気配を感じたのだが。笑って頭をかく玉葱おじさん。もう、この家に用はなくなった。野菜の主役は人参だと言うことだ。では、では、と靴を履き始める玉葱おじさん。
「人参もいいね!」
 そう言いながら頭の中はもう次の玉葱のことに切り替えられている。
 
 
 
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なめ小僧

2019-04-09 02:45:07 | 好きなことばかり

大好きなキャンディをなめるように、いつだって僕らはボールをなめることができる。足下にボールがあれば勿論そうしているし、敵チームの手にそれが渡っている間も、気持ちの上ではまだそうすることができる。試合に入っていけない時も、街をふらついている間も、暖かい布団に包まれて夢を見ている時間でさえも、僕らはずっとボールをなめていることができるのだ。ボールは僕らにとって、大好きなキャンディと同じだった。溶けても、砕けても、寝ても冷めても、僕らはいつもその感触を覚えている。好きなものと接するということは、いつもそういうことだった。グルメな多くのサポーターは、そんな僕らのフットボールを愛し、たくさんのエールを送ってくれる。僕らはそれを力にして、ゲームの大半の時間帯でなめた真似をして遊んでいる。足の裏にボールを抱く感覚は、たまらなく愛おしいものだ。たとえて言えば、大好きなキャンディをなめている感じ。愛を欲した獣たちが、僕の足下になめられた宝石を奪いに迫る。その時には僕の欲望も一層増幅し、なめてなめてなめまわすのだ。獣たちは僕のなめにみとれ、揺さぶられ、そのままついてくるしかない。彼らは完全に僕のなめのコントロール下に置かれている。(自分だけが行き先を知っている)ボールホルダーの優越感に包まれて、しあわせななめタイムが続いていく。終わりはいつも突然にやってくる。なめた幸福度にもサポーターの満足度にも関係なく、たった一つの笛によって。その時、僕らはピッチの上に倒れ込んで、地球自身を抱きしめる。「いつまでもなめてばかりはいられないんだ」

 
 
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地球以上

2019-04-05 13:24:18 | 好きなことばかり
下駄箱を開けるとあふれ出てくる
何足もの靴
革靴 長靴 スニーカー
ほとんど履いた形跡がないものもある
 
クローゼットを開けるとあふれ出てくる
ハンカチ ハンカチ ハンカチ
どれだけ手を洗うことがあるのか
靴下 靴下 靴下 靴下 靴下
どれだけ履いたら穴があくというのか
 
どこまでも
きっと父はどこまでも歩くつもりだった
地球を何周も何周も何周も
それでももっともっと遠くまで
歩いて行くつもりだった
 
引出を開けるとあふれ出してくる
メモ メモ メモ メモ メモ
次の引出にも 次の引出にも
その次にも メモ メモ メモ メモ メモ
どれだけアイデアが眠っているというのか
 
どこまでも
きっと父はどこまでも想像するつもりだった
閃いて閃いて閃いて
書き留めて書き留めて書き留めて
いつも残す術がないと不安で
不安で不安で不安で
 
心は地球よりもずっとずっと大きい
 
フリマのように品を広げた母
「一つ持って行く?」
新品にみえるハンカチを一つ選んだ
(どうせ僕は使わないだろうけど)
 
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レンタル肩

2019-04-01 22:15:02 | 好きなことばかり
雨の日に本を開くことは
難しいから憂鬱になる
ドアが開いて押し出されるように
人が降りてくる
 
どこにも席はない
フェイクいっぱいに垂れた広告
何もない中に立つことは辛い
風にあおられるようによろける
 
一人の紳士が音もなく乗車した
背中を向いたロングコートの肩に
傘かけが付いているのが見える
「かけてもよろしいですか」
(いいに決まっているのだが)
 
男は半分振り返りながら
「あ、どうぞ」
 
おかげで好きに読めるぞ
 
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イニエスタ

2019-03-29 17:23:09 | 好きなことばかり
バリスタがいるカフェにいかなくても
おいしいコーヒーが飲めるのは
コンビニエンスストアがあるから
 
博多にまでいかなくても
バリカタのとんこつラーメンが食べられるのは
コンビニエンスストアがあるから
 
12種のスパイスが入った本格カレーを
インドまで飛ばずにいただくことができるのは
コンビニエンスストアがあるから
 
みんなみんなそれは
コンビニエンスストアがあるから
いつだってどこにだってみんなのために
コンビニエンスストアがあるから
 
 
 
「あとは大丈夫ですから」
 ロボホンは自信ありげだった。
「大丈夫か? 新商品のポップは……」
「2号に引き継いでいます」
「そうか」
「休んでください」
 大山田は長いこと休んでいなかった。
「本部から人が来るんだが」
 
「店長。あとのことは僕らに任せてイニエスタでも見てきてくださいよ」
「そんなにゆっくりできるはずないだろ。バルセロナだぞ」
「いいえ。店長。地下鉄で行けますよ」
「何を言っとるんだね君は!」
「チケットはそこに置いてますから」
「まったく。君のパスにはついていけんよ」
 
 
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横のつながり

2019-03-25 21:43:27 | 好きなことばかり
「楽にしてください」
「大丈夫です」
「そんなに構えずに。どうぞ縦になってください」
「いえいえ。この方が楽なんですよ」
「えー。無理しないでくださいね」
「いえ本当に。僕はこの方がずっと楽なんです」
「見えにくいでしょう。世界が」
「いえいえ」
「だいたいみんな縦ですよ。人様はそうしています」
「はあ」
「人様は縦型になってくつろぐことが普通じゃないですか」
「人様って。僕はこれで普通なんです。横並びがいいんです」
「そうですか。奇特な方なんですね」
「そうですか。落ち着くんですよね。横並びが」
「並びって」
「横になってるのがいいんです。猫の隣でね」
「猫? どこにいるんです?」
「猫の横で横になってるのが好きなんですよ」
「えっ? いませんよ」
「いるじゃん! なあ。いるよな、ずっと。」
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