折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

クリスマスステイ

2014-01-28 17:15:08 | クリスマスの折句
 先日、夕暮れの公園通りを歩いておりますと足元にボールが飛んできました。優しく蹴り返すとその優しさにつけ込むように再びボールが飛んできて、再び優しく蹴り返すと優しい噂が瞬く間に広がったのか、色々なところからボールが飛んでくるようになりました。
「ここはミックスゾーンだよ」
 とフランス人は言って、気がつくと私もフランス語で気さくに応じているのでした。
「ボールは国境も軽々と越えますね」
「やさしいことね」
 と狐は言って、私はあらゆる言語を理解してる自分に気づき、あらゆる方向から飛んでくるボールを負けじと蹴り返しました。夢中で蹴っている間に、私は家に帰ってテレビを見ることも忘れ、ミックスゾーンと呼ばれる公園の中で未知の仲間たちと戯れているのでした。徐々に闇がゾーンを包み込み、足元に入るボールを視野に捉えることも難しくなっていきました。
「ああ、面倒だ」
 狐の声が聞こえました。
「面倒なくらいなら死んでしまいたい」
「馬鹿なことを言うな!」
 何を馬鹿なと私は間違いを正したつもりでした。
「今のは私の声じゃないよ」
 と狐は言いました。
「ここはミックスゾーンと跳ね返りゾーンの共有ゾーンなんだ」
 と狐は声のからくりを説明してくれました。
「誰かの声が、君に跳ね返って私に届いたというわけか」
「だけど、試しに私に言ってごらん。運がよければ届くかもよ」
 と狐はいい加減なことを言うのでもうわけがわかりません。
「もうすぐクリスマスじゃないか!」
 そう言って力を込めてボールを蹴ると、思った以上にボールは浮いてしまいました。ゾーンを越えてしまうかもしれない、と心配していると次のような歌が浮かんできました。それはクリスマスの折句でした。

くちばしに
良心こめて
巣作りの
窓辺で愛が
Stay している

 私は種々の反響をおそれ、こっそりと声を殺して歌いました。

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クリスマスアップル

2014-01-21 00:00:37 | クリスマスの折句
 眠り時とされる時が訪れ、眠りを迎え入れるすべての形を整えても当の眠り自身が訪れませんでした。
「おーい。こっちだよ」
 誘ってみてもまるで駄目でした。それはあまりにも策のない誘い方だったからです。どれほど魅力的な夢の筋書きが待っているからとか、夢の国にかつてないほど美味なパンが焼きあがっているからとか、それなりに引きつけられる題材が必要なのだけれど、私の声はただ私のいる方向を示しただけで、工夫のかけらもないものだったからです。けれども、いつまで経っても誘うことに慣れませんでした。私は私自身に話しかけているような気がして、工夫を凝らすことが恥ずかしいことだと思っていたせいです。
 仕方なく他人の日記やつぶやきの中に潜り込んで、挫折感を紛らわすことにしました。関心はどこまでも薄く、一字一句を噛み砕くことなどできません。ただ筋力を使わないジョギングのように、傷つくことのない真夜中の獣道を、幻の風を感じながら下りていくのです。どこかで眠りを持ちわびながら、幾度も繰り返される更新。やがて、それにも終わりの時が訪れて、私は足を止めなければなりません。時の行き止まり。それが私の現在地。私は呆然と真っ白い壁を見続けています。
「誰も訪れませんよ」
 私の枕元に跪いて、忍者が言いました。
「待っていれば、誰かが訪れるはず」
 あるいは人ではない、何かが……。
「時代が終わったのです」
 無情に忍者が言いました。人の目を見ず、膝小僧を見つめています。
「そこに何があるのですか?」
 私はそこに秘密の抜け道があるのかもしれないと考えました。
「ご注文をどうぞ」
 注文はとっくの昔に通したと私は答えました。
「ご注文をどうぞ」
 私は新しい注文をひねり出さなければならない必要に迫られたのでした。そして、迫られていると次のような歌が浮かんできました。それはクリスマスの折句でした。

首筋に
林檎をつけて
ストリート
マップの中の
スイーツを追う

 忍者の膝小僧を見つめる内に、私は徐々にうとうととしてきました。

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クリスマスピロー

2014-01-14 00:51:03 | クリスマスの折句
 先日、通い慣れた道を歩いておりますと心地よい調べに誘われて、足が自然と心地よい調べの方に歩いていきました。道端のピアニストは心地よい調べを武器にたくさんの聴き手を集め、散歩途中の愛犬家や取引先に向かう営業マンや買い物帰りに買い物袋を抱えた奥様方をみな虜にしているのでした。ピアニストは熱演の後、1曲毎にその指を止めしばし瞑想に耽るように無になっていました。盛大な拍手が鳴り止んだ後も、しぱらくの間、ピアニストはじっとして動かないままでした。その間も、人々は辛抱強く足を止め、次の演奏が始まるのを楽しみに待っているようでした。大勢の聴き手に交じって、私も長い間足を止めて、心地よい調べに聴き入っていました。長い長い1曲が終わり、いつものようにピアニストは指を止め目を閉じて動かなくなりました。拍手が終わって、随分と長い時間が経ってもピアニストは動きませんでした。
(これが本当の終わりなのかもしれない)
 無言の会話が人々の間を駆け抜ける頃、ついに1人の聴き手がその立場を放棄して去っていきました。続けて1人、もう1人、一度流れができるともう止まりませんでした。人々は突然、日常に目覚め、自らの義務を思い出したようでした。私はまだ疑い深く、まだ残る数人に交じって目を閉じて、もう少しもう少しと待ち続けていました。余韻が余韻から離れて静寂へと帰って行きます。私は立ったまま眠りに落ちました。夢の中でピアニストは海を渡り、猛獣使いになりました。再び目を開いた時、辺りには誰もいませんでした。
 けれども、ピアニストが忘れていった音符の1つが、鉄柱に巻きついて、夜風を受けてそよいでいました。
「みんなもういったよ」
 音符は言いました。とっくの昔に、いってしまった。
 聴き手がみんな立ち去ってから、ピアニストも行ってしまった。あるいは、ピアニストが立ち去って、聴き手もみんな去ってしまった。どちらが正解なのか、私にはわかりませんでした。そして、みんなというのは調べのことなのかもしれませんでした。
「きみはいかないの?」
 私は訊き返しました。
「どこにもいかないよ」
 小さな体を夜に向かって伸ばしながら、音符は答えました。
「まっているだけ」
 一段と強い風、体が何かあたたかいものを欲している……。
 何か、何か、そう考えていると次のような歌が浮かんできました。それはクリスマスの折句でした。

苦とともに
リトライをした
数年も
枕の上に
睡魔はこない

 ほんのひと時、あたたかい感触を置くと歌はすぐに道の向こうに去っていきました。

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クリスマスマネキン

2014-01-12 20:28:40 | クリスマスの折句
 先日のこと、街の中で喧騒に包まれていると、最初はすごく心地よかったものが突然不安に思われてきて、喧騒と自分を断ち切ってしまわなければ自分自身が喧騒の中に落ち込んでそこから戻れなくなってしまうと思われました。ちょうど去年の夏くらいから絡まり始めたイヤホンの無残な輪の中に指をすり込ませて1つ1つ解していくと、ようやく元の1本筋の通った道を見つけることができたのでした。張り詰めた夜の隅っこに、真っ直ぐ伸び切ったイヤホンの細い橋の上を妖精が渡っていきます。少し緩めるとバランスを崩しそうになって、そんな時は小さな腕を真横に伸ばして姿勢を保ち、再び橋が正常に回復するのを待ちます。綱渡りのような夜でした。何度か緩めたり伸ばしたりを繰り返した後、今度はもっと思い切って緩めるととうとう妖精は地面に落下してしまいました。
「遊ぶんじゃない!」
 妖精は顔を真っ赤にして怒りました。
「遊んでいるのはあなたです!」
 長い時を越えてようやく伸び切った道の上に、勝手に上がり込んできたのは他ならぬ彼だったのですから。その後も一切主張を曲げずに突っ張っていると、次のような歌が浮かんできました。それはクリスマスの折句でした。

首をかけ
竜と戦う
数千の
マネキンたちが
素肌をさらす

 浮かんだと思った歌は、すぐに喧騒の中で凍り付いてしまいました。

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クリスマス相撲

2014-01-10 10:59:04 | クリスマスの折句
 底冷えのする夜の中を歩いているとなぜだかとても温かいものが食べたくなります。私はふと足を止めるとドアを開けて、冷たい風を身にまといながら中へ足を踏み入れました。私の他に来客はありませんでした。
「ちくわと玉子を」
 そう言って待つ間に、口寂しくなってきたので、
「大根とこんにゃくを」
 そう言って待つ間にも、口寂しさは増していくので、
「ちくわと厚揚げを」
 と言ってみると、まだ食べてもいないのに、もう少し空腹が満たされたような気がしたのでした。
「ちくわはさっきも言っただろう!」
 と突然大きな声でマスターは言い、
「ここは交番だ!」
 とおまわりさんは言い、私もつられていっときおまわりさんになりました。
 喧嘩だという通報を受けて、町の盛り場に出てみると即席のステージの周りで酒に酔った男たちの怒号が飛び交っていました。けれども、近づいてみると戦っているのは生身の人間たちではなく、人間に見立てた紙の力士だったのです。それぞれの紙の力士には名前がついていて、男たちは感情を込めてその名を叫びながら熱い声援を送るのでした。紙なら安心と油断していると、次のような歌が浮かんできました。それはクリスマスの折句でした。

屈強な
力士はみんな
相撲取り
まわしの下は
素足であった

 浮かんだ後で寒々として、またおでんが食べたくなりました。

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クリスマストリート

2014-01-03 18:15:50 | クリスマスの折句
 先日、何の気はなく街を歩いておりますと構想外の空き地の中で構想外の人々が集まって構想外の監督の下に構想外のチームを作って練習をしている風景が目に飛び込んできました。人々の目はみんな構想外の輝きに満ちていて、その動作の1つ1つは、いつか構想内のものたちを打ち負かしてやろうという迫力にあふれて見えたのでした。
「そんなプレーは構想内だぞ!」
 平凡なプレーをした者には、構想外の監督から容赦のない声が飛びます。監督が望んでいるのは、もっと今までにない構想という枠にとらわれない斬新な何かのように思われましたが、それは私などの想像に及ぶものではなかったのでしょう。監督の描く本当の構想とは何なのか、それを理解している者がいるのかいないのか、それは通りすがりの私などにはまるで窺い知れないことであったのかもしれません。
「構想外のプレーを見せろ!」
 監督は繰り返し同じ要求を突きつけていましたが、それに応えることはなかなか大変なことのようにも見えました。留まり守っていたものから離れて、飛び出し破っていくということは、言葉で言うより遥かに難しいことだったのかもしれません。
「どういうことなんだ!」
 ついに構想外の監督に対して、意見がぶつけられました。それは既に監督の構想の中にあったのでしょうか、なかったのでしょうか……。蚊帳の外から1人そんなことを考えていると、次のような歌が浮かんできました。それはクリスマスの折句でした。

黒塗りの
リストを手にし
ストリート
マジシャンたちが
透かし見ている

 浮かんだと思った歌は、すぐに鳩になって西の空に飛んでいってしまいました。

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ととととと

2014-01-03 05:45:59 | 短歌/折句/あいうえお作文
とめどなくとめどなくうつとめどなくとめどなくうつとめどないあめ
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