折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

あの日の「ね」

2011-10-28 00:31:14 | ショートピース
一つ二つと手は米粒を拾った。三つ拾おうとすると最初の一粒が零れ落ちた。手は何度もやり直してみたが、拾い切ることはできないことを理解した。「また来るからね」手は僕を見下ろしながら、そっと言った。(いつになるかわらない)あの日の「ね」を信じて僕はずっと待ち続けている。#twnovel


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ウイルス

2011-10-27 20:59:40 | ショートピース
とっくに鳴り止んだはずの拍手が延々と鳴り続き何も進展しない。友達を紹介しないタモリが画面の真ん中で口を開けたまま、じっとこちらを見つめている。あるいは、少しも見つめていないか、タモリは偽のタモリと入れ替わっているのもしれない。家のテレビは、また風邪をひいたようだ。#twnovel

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空想の日

2011-10-27 01:05:21 | ショートピース
自分の足がやたらと長いと考えられた日、信号があってもなくても赤でも青でも点滅していてもあのローソンまで一跨ぎでたどり着けると考えられた。前提をちょっとだけどうにかすれば後はどのようにでも考えることができたのだった。今、自分は生まれたばかりで、まだ始まったばかりだ。#twnovel

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苺ショート

2011-10-26 23:31:48 | ショートピース
ハーイと苺が挨拶をした。「今日はひとり?」女は驚き苺を見た。「私はのってるの。のってもいるし、入りもしてるの」女は聞きながらフォークを入れた。「だいたいひとりだけど」苺は聞いているかわからない。「だから私の名が冠になってるの」無口になったのは女の口に溶けてからだ。#twnovel

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ほうき星

2011-10-26 03:01:57 | ショートピース
星の前を通りかかると、大気の中でイルカと交わるきみが一瞬僕の方を向いて静止したような気がしたのだけど、きみが見つめていたのは雪の一片だったのかもしれない。紹介状を持たない僕が、この星の中に入ることは永遠になく、ただ星の周りを掃除して行き過ぎることだけが僕の使命だ。#twnovel

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めでたしめでたし

2011-10-26 02:14:39 | ショートピース
おじいさんは山に強がりにおばあさんは川に詮索に行きました。色々あって長い話もついに終わりの時が「それでその2人はどうなった?」延々と暮らし延々としあわせだったということです。おばあさんがお話を読み終えると「そうか、それなら安心」おじいさんは永遠の眠りにつきました。#twnovel

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最後の一葉

2011-10-21 02:50:31 | ショートピース
この半日間、彼女はカレーのことばかりを考えて生きてきたのだ。煮立った鍋の中を見つめながら、「きみはいたよ」。心の中に玉葱がいたことを告げた。それから順に、人参にも、じゃが芋にもその思いを告げていった。ようやく成就の時がきた。最後の一葉、ローリエをそっと浮かべた。#twnovel

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準備はできている

2011-10-21 01:41:14 | ショートピース
「戦当日は手ぶらでお集まりください」言われる通り何も持たず決戦の地に赴くと、実は装備家が臨時休業で役立つ物は何も用意できないと言う。「おかしな話があるものだね!」と闘志に火がつき火だるま戦士となった。我々燃える11人は3千人もの敵を素手で倒し、立派な賞をもらった。#twnovel

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no name

2011-10-20 01:58:44 | ショートピース
舐めていると先っちょに何かのしるしが現れて、いつか一緒にたどった道を思い出して駆けた。「いらっしゃいませ!」ドアが開くと人の声がする。「まあワンちゃん」それは僕のこと? 縞シャツの男が恐る恐る近寄って僕の口から棒を奪い「外れ!」と言う。誰も、僕の名前を知らないの。#twnovel

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おやすみ

2011-10-19 00:06:04 | ショートピース
店先で盆休みを拾って持ち帰った。店は途端に大忙しとなり、「盆と正月が一緒にきたようだ!」と従業員一同は大騒ぎした。小さな休みに惜しみない愛情を注ぎ育てると、すくすく成長して抱え切れなくなったので、悩んだ末に元の店に返すことにした。店は、その日より長期休業に入った。#twnovel

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エコな夜

2011-10-18 22:40:55 | ショートピース
歩道の上を赤々と覆った林檎たちがバラードを歌い終え、一斉に翼を広げて飛び立ってゆくと、残った大木は、お弁当を渡し終えた時の母のように落ち着いて立っていて、間もなくして街中の電気がみんな消えてゆく。明らかになった夜空から、一つずつ星が落ちてゆく。まあ、エコですから。#twnovel

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看板剣士

2011-10-18 01:08:34 | ショートピース
どんな時も警戒を怠ることなく、私は剣と盾を持ち店の前を守り続けていました。侵入者は私の装備を一目見ると逃げていきました。皮肉なことに、私の首を切ったのは他ならぬ店長であった。死後の私に代わって置かれたのは「準備中」と書かれた小さな看板。言葉だけで守るというのです。#twnovel

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私と本

2011-10-14 02:04:08 | ショートピース
最後の銃弾が胸に吊り下がった本を貫き、私を突き刺した。「本はあなたを守らなかった」私は言い、それに対して私は「いいえ。本がなければ、今まで生きてもいられなかった」と答えた。「かばうつもり?」私は本に生まれた一筋の空洞を通して、しばらく眠りについた私を見つめていた。#twnovel

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首の下の猿

2011-10-13 02:04:16 | ショートピース
首の下に猿が浮いているのを見つけてその手を辿ってみると、顎の下に伸びた一本の長い毛に、猿はぶら下がっているのだった。根本を切り落とすと猿も落ち、おじいさんはベランダを開けて洗濯物を取り込むことにしたが、目前に昨日までなかったはずの高層マンションを見つけ手を止めた。#twnovel

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音のしずく

2011-10-07 01:43:40 | ショートピース
グラスから唇へとつながる専用の道筋のように、耳に当てられた通路の中で、人間たちはその詩や音律を独占していたけれど、人知れずその耳元に近づいて、そこから微かに零れ落ちる音の雫を拾い集めて、作曲を始める虫たちもいたのだ。抜け殻の消えた夜、月に向かって新曲が発表される。#twnovel  

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