折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

未確認スラッシュ

2021-01-08 04:09:00 | 短い話、短い歌
 成長曲線の先に未来を見た。楽観的観測によれば、未来は大きく開けているはずだった。夢、希望、創造にあふれて徐々にカラフルな風景が広がっていく。考えるほどにわくわくする。それはなんて素晴らしい世界だろう。
 突然、歪んだスラッシュが降ってきて順調な広がりを遮った。視界不良。暗雲到来。待ち焦がれていた未来に水を差したスラッシュの正体とは……。
 文房具、音楽記号、フリーランス、宇宙物質、比喩的な何か? あるいは、そのいずれにも当たらないものか?
 軽はずみに結論づけることはできない。世界的な知見を集め、落ち着いた上で冷静に調査しなければ。
 未来へと飛べない今、ここで一旦、noteを閉じるべき時がきたようだ。
 そして、言葉を差し控えよう。
(みんな差し控えている)
 きっとそれが正しいことなのだろう。


改行を重ねてのぞむ未来図を
一旦寝かせ下書き保存
(折句「鏡石」短歌)
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こんなものでどうなんだい

2020-12-24 03:52:00 | 短い話、短い歌
「こんなもの書いても誰も読まないよ」「こんなものとは失礼だ!君」


作品未満の下書きをみつけ
君は得意げに言い放ったものだ

もしも
僕のしていたことが
パズルだったら?
球蹴りだったら?
君は何と言ったのだろう

どうして
「書く」はすぐ
「読む」とリンクされてしまうのだろう

僕は物書きのようにみえただろうか
今を楽しんでいる人には
みえなかっただろうか

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サムシング/なんやねん

2020-12-18 05:26:00 | 短い話、短い歌
「何かいいことないかな」
 問いかけているのか。完全な独り言なのか判断がつきかねる。それに対する僕の答えは、無言だ。反応すれば戦いになる。不毛な論争の中に亀裂と矛盾が広がった末に、互いが敗者となる虚しい戦いだ。時間が経たないなとおじいさんは時間に文句を言った。

「何かいいことないかな」
 そしてまた同じところへ戻ってきた。
 何か……。サムシング……。
 それは現状に突きつけられた問題だ。
(お前何かつまらないなと言っているのだ)
 ため息をつき、誤って起動したSiriに挨拶をして、時間が経たないと文句を言った。

「何かいいことないかな」
 答えるな。答えはない。
 僕だって心の奥では、まあまあ同じことを思っている。うそつきだから、言葉にして表には出さないでいるけれど。

 はー……。
「何かいいことないかな」
 おじいさんは歌っている。
 きっとそういう歌があるのだろう。


何かいいことないかなってなんやねん何も不満はない言うくせに

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ラーメン・ストア

2020-11-24 10:27:00 | 短い話、短い歌
 よくラーメンを買ってしまう。昨日は引出の2番目に、その前は冷蔵庫の上に、その前は缶詰と缶詰の隙間に、その前は頭の片隅に。ラーメンを買ってはしまった。ラーメンは世界中のどこにでもあるにしても、やっぱり自分の近くにしまっておかないと不安で仕方がない。
 いつか困った時に取り出すことを「楽しみにする」。困らなければそれもよし。でも、楽しみはあった方が生きやすい。


あごだしや
自家製麺に
フィットした
ラーメン店に
いきる大将

(折句「アジフライ」短歌)

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渋滞ヘブン

2020-11-16 17:55:00 | 短い話、短い歌
 わからない時には、みんなについて行けばいい。幼き日より身につけた心強い処世術だった。それにしても大勢の人。年の瀬の賑わいを思い出す。この列は……。どこへ行くのかまだ聞いていなかった。胸の奥の望みは、何か温かくて美味しいものにありつけるところ。

「天国よ」
 よかった。地獄じゃなかった。もしかしたら地獄かもしれない。ずっとそれだけを気がかりにして生きてきた。それなら、よかった。

(えっ? 終わったの?)

「もう帰れないの?」
「みんないい人だったわ」
 お酒は飲めないの、メッシは見れないの、祭りに行けないの、お肉は食べれないの、寝っ転がったりできないの、未来を案じたり……

「どうして教えてくれなかったの?」
「死は教えられるものじゃない」
「もうこれで……」
 お酒は飲めないの、ボールは蹴れないの、雨は見れないの、お寿司は食べれないの、炬燵に潜ったりできないの、未来を案じたり……
「大丈夫。みんないる。独りじゃない」
 おかしい。どうしてそんなことがわかるのだ。
 この先はどんな生より未知なはずなのに。


天国に渋滞をみた人々が「希望」を持って来世へ渡る

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アジフライラブ

2020-11-13 03:15:00 | 短い話、短い歌
 いくら待っても私の料理は運ばれてこない。
「あの、まだでしょうか」
「お待ちください。順番にやってますんで」

チャカチャンチャンチャン♪

 待っても待っても運ばれてこないのだ。
「あのー……」
「もう少々お待ちください」
「どれくらいになりそうですか?」
「お待ちください。順々に……」

チャカチャンチャンチャン♪

 いったいいつまで待てばいいのだ。
「すみませーん! すみませーん!」
「お待たせしました。何しましょう?」
「いや、そうじゃなくて……」
「いえ、それが、お客様の注文は通ってないようです」
「はい?」

「ご注文は、何しましょう?」
「いやいやずっと待ってるんですよ。待てと言うからずーっと待ってたんじゃないですか。注文してるでしょ」
「通ってないんですね」
「待てと言うから待ってましたけど」
「ですから注文せずに待たれても無理ですので」
「だから、注文はしてるでしょう。1時間も待ちましたよ」

チャカチャンチャンチャン♪

「通ってないようです」
「だから……」
「で、何しましょう?」
「その前に何か言うことはないんですか」
「注文をしていただかないと始まりませんので」
「だから、注文は最初にしてますよね」
「だから、それが通ってないようなんで、ご注文は何しましょう?」
「だから、何で通ってないんだって……」
「だから、改めてご注文は何しましょうか?」
「だから、改める前に何かないのかよって」

「ご注文を繰り返します。ご注文は何しましょう?」
「アジフライ定食」
「かしこまりました。お待ちください」

チャカチャンチャンチャン♪

「すみませんお客様。アジフライ売り切れました」
「もうええわ」


逢いたいの字体が乱れふしだらに
裸体に添っていたいパッション

(折句「アジフライ」短歌)
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風とポメラ

2020-10-28 04:42:00 | 短い話、短い歌
風を受け書き出せば今日実になった
一首は君を示す全文
(折句「鏡石」短歌)


 扇子からは特別に優しい風が送られてくる。
「なんて優しい風でしょうか」
「特別な紙を使っておるからな」
 風の送り手は言った。
「どんな紙なんですか」
「風と親交の深い紙を特別に折ってある」
 秘密は紙の周辺に隠れているようだ。
「どう親交を得るのです? どう折るのですか?」
「何が知りたいのだ?」
「風のことです」
「根ほり葉ほりきくなー!」
 そう言って送り手は、扇子を振りかざした。
 優しかった風は厳しくなり、僕を押し戻した。


膝の上にあった
pomeraはまだ少しあたたかい
短い旅を終えて
ふりだしに戻る
このまま風化して行くの
化石となった手のひらを
誰が掘り起こすだろう


もう眠ったの
威勢はいいけど
構想がないのねいつも
おやすみ 
私も眠ろう
膝の上
少しあたたかい


風下に風の便りが満ちた時
行こうみんなの知らない街へ
(折句「鏡石」短歌)

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Aボタンのリクエスト

2020-10-26 20:25:00 | 短い話、短い歌
 Aボタンを押すとジャンプ。
 ジャンプ、ジャンプ。
「飛べ! 飛べ!」
 飛べー! 
 ばかになった?
 主人公はかたまっていた。
 凹んだままのAボタンが、ゆっくりと戻ってくる。
「もっと押して! もっともっと!」
「飛べ!」
 主人公は眠り込んでいる。
「凝ってるの私」
 このバカコントローラー!
「そうそう! もっともっと!」


Aボタン
押してはなして
真夜中の
E少年は
明日の代表

(折句「エオマイア」短歌)

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抱き合わせ調査員

2020-10-06 07:46:00 | 短い話、短い歌
「充電か? 何パーセントだい?」お父さん、それは私の個人情報


「こんにちは、国勢調査を語る者ですが」
「はい、どうぞ」
「どうも。おひとりでお住まいでしょうか」
「はい、そうです」

「涼しくなりましたね」
「今くらいがちょうどいいですね」
「本当ですね。座右の銘を教えてもらっていいですか」
「果報は寝て待てです」

「なるほど、いいですよね。因みにiPhoneですか、アンドロイドですか」
「今はiPhoneです」
「私もなんですよ。今ちょうどキャンペーン中でして、うちのネット回線に切り替えていただけると、本日より快適にご利用していただけます。早速ですが、こちら必要書類にご記入お願いしてよろしいでしょうか」
「いいえ、それは結構です」

「えっ? 何かご不満があったらお聞きしますが、何か……」
「こいつは抱き合わせじゃないか!」
「はい?」

「おしゃべりと契約の抱き合わせだー!」
「その通りでございます」
「もう帰れー!」
「失礼しましたー!」
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詩のシャワー(おやすみ)

2020-10-05 06:16:00 | 短い話、短い歌
 心ない一言が胸に突き刺さったまま抜けない。やさしいものたちを忘れた時。好きだったものを忘れた時。自分の中にあった大切なテーマを見失った時。ささくれほどのものがどこまでも存在感を増していくそんな夜は、すべてを置いておやすみよ。回復のための「詩のシャワー」をたっぷりとあびて、ゆっくりおやすみ。


空色の光沢をみせカナブンが
修理を終えたコインパーキング

(折句「そこかしこ」短歌)

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凶悪不倫事件

2020-10-04 10:12:00 | 短い話、短い歌
 裁判員に選ばれた。事件は凶悪な連続不倫である。そう聞いただけで気が重かった。いや面倒くさい。行きたくない。しかしこれという事情もなく、行かなければ自分の身が心配だ。
「国外追放が妥当でしょう」
 気づくと私の体は激しい議論の中にあった。
「前例はそうではないでしょう」
「前例?」
「時代が違うんだよ、時代が」
 裁判ではまず前例が重視されるはず。私の認識も既に古い可能性があった。口を開くのが恐ろしい。できることなら何も言いたくない。(早く帰りたい)

「被告は当時4日もろくに寝てなかったのですよ」
「責任能力を問えるのか?」
「問えるでしょう」
「あなたいつも寝てるんでしょう」
 かなり踏み込んだ議論だ。
「私はもっぱら昼寝でして」
「昼夜逆転ですか」
「それは罪深い」
「それのどこが罪なんです?」

「ところで、あなた……」
 あっ。気づかれた。
 やっぱり何も意見せずに済むということはない。

「あなたはどういう立場ですか?」
 あー、えーと、えーと、えーと。
「一旦話を整理しましょう」
 そうだ。少し論点がずれているじゃないか。

「そうですな」
「犠牲者は何人でしたか」
「えーと、現在わかっているのは……」


アンテナを芸能面に尖らせた
うちの国では不倫がニュース

(折句「揚げ豆腐」短歌)
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パーカーが欲しい(スーパー・ドクター・カー)

2020-09-30 08:55:00 | 短い話、短い歌
何もかもがぼんやりとしている

つかむことができないのは
世界の輪郭

いつになっても
認めることができない

きっと
認められないのは
自分の方だ

自分が認められないから
未だ世界が目覚めないのだ

さまよった末にみつけた
希望の端くれは
もう

夕暮れの中に溶け始めている

あれからずっと


 どうも冴えなかった。頭の中が思うようにまとまらない。まとまったとしても動けない。動いたようでずれている。届かない。あてが外れることばかりが続いていた。時間に弄ばれている。1時間が過ぎたはずと思っていると、時計の針は止まっている。けれども、次の瞬間にはもう闇に包まれているではないか。もはや自分だけの力ではどうすることもできない。
 思い詰めて家を出た23時。街を行くドクター・カーに飛び乗った。

「いったい何事ですか」
「ずっとぼんやりとしてるんです」
「ふーん。いつくらいからですか」
「よくわかりません」
「お口開けて。腕を上げて。そんなに上げなくていい」

「深い寝起きですね」
 どうも根本的な治療はないらしい。
(私で駄目ならもう医者なんてあてにならないということだからね)

「スープを出しときましょう」
「ありがとうございます」
「餅とアジカンも出しときましょう」
「はあ、どうも」
「ゆっくり聴いてください。夏が暑かったからね」
 寝ぼけ眼のまま私はドクター・カーを降ろされた。
 アジカンを頭に流し込みながら、夜の街を歩いた。
 もう10月だ。パーカーが欲しい。


アジカンをショートショートに振りかけた
落書きは名医の処方箋

(折句「アジフライ」短歌)

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できるかな(作業員の逆襲)

2020-09-24 04:47:00 | 短い話、短い歌
「これだけやって5円か」
 私たちの仕事は下請けだ。
 製品に欠かせないかけらの何かを作っている。
 それは何か? それを知る者はいなかった。
 発注に従って寸分の狂いもなくそれを作る。
(世界の大事な何かしらを作っている)
 私たちの手に自負はあった。
 私たちはいつも未来を作っているのだ。
「夢がある仕事ですね」
 響きのいい言葉。だけど、その目はどうも疑わしい。

「今を作ってみないか?」
 工場長は唐突に切り出した。
(一つの世界を作ってみよう)
 それは薄々皆が秘めていた想いだったが。
「そんなことはやったことがない!」
 心からの反対ではない。恐れからくる疑問だ。
「私たちにできるのでしょうか」
(神さまみたいに大きな仕事)

「できるに決まってんだろ!」
 工場長の言葉には寸分の疑いもなかった。
(自分たちの手をよく見ろよ)
 皆が我に返ったように自分たちの手を見た。
 これまでの作業はすべてここにくるためにあったのかもしれない。
「そうか……」
 あらゆる部品を作り、あらゆる部分を生み出す間に、それぞれの手の中に途方もない技術が培われていた。
「できないはずがない」
 確信の笑顔が工場の中に広がっていく。
(私たちの今がはじまる)

「我々は誰よりも先を行ってるんだから」


かみさまのかけらをつくる未来より
今に目覚めた下請工場

(折句「鏡石」短歌)
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夢のサイズ変更

2020-09-03 04:10:00 | 短い話、短い歌
 大きくなったら詩人になりたかった。コーヒーカップの中から妖精を引っ張り出す。未知の森に入り木漏れ日をたくさんあびて翼をつける。クジラに乗って異国へ渡る。異なる文化と魅惑の酒と触れ合って絵画をかじる。新しい繊維に身を包んで宇宙に飛び出して言葉を解放したかった。だけど、なりたいものになれるものは稀だ。
 今の私は毎日テレビの前にいる。職業はまわりまわって賢者である。


神さまの
カテゴライズが
実を弾く
一編さえも
詩人になれず

(折句「鏡石」短歌)
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銃身上の自由形式

2020-08-12 12:06:00 | 短い話、短い歌
「どこへ行く?」
「ちょっとコンビニまで」
「だめだ!」
 大きな手にはね返されて部屋の中に押し込められた。
 やっぱり今日もだめだった。だめだと思うほどに募る欲望はある。
 劇場に行って大きなスクリーンで映画を見たい。夏の太陽をあびながら潮の匂いのする熱い砂浜を歩きたい。巨大書店の中を隅から隅までまわって迷い疲れて眠りたい。妄想の先でふと我に返る。

「自分では何も選べないのか」
 進みたい道が私にはたくさんある。
 けれども、ドアの向こうでは奴らが銃を構えて私を脅すのだ。
「どこにも行くな! ここで自由に書け」
(まったく狂っている)
 銃身の向こうに自由を命じるとは……。
 奴らはいったい何をそんなに恐れている。私をいつまでここに閉じこめておくつもりか。だが、私の魂まで縛りつけておくことはできないぞ。

「読者よ」
私の声が届いているか
あなたの魂はまだ自由か
私を救え
声をあげろ
小さくまとまるな
魂に従え
自分たちの力で
未来を変えろ
不条理な物語を
決して許すな


襟のない
独裁勢が
詩をつかみ
首をとらえる
猿の惑星

(折句「江戸仕草」短歌)

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