眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

素晴らしき秋

2020-11-15 22:03:00 | 忘れものがかり
おー秋よ
おー素晴らしき秋

それらしきものはなくても
どこまでも歩きたくなる

薪を割ってよし
牡蠣を食ってよし

陽気な秋
メキメキと腕が伸びる秋
先の見えぬ秋
直に冬

おー秋よ
素晴らしき秋

貼り紙の多い秋
繊細な秋
絵を批評する秋
敵を作る秋
行き先不明の秋

もう暑くない秋
少し寒くなった秋
薄手のカーディガンを持って行きなよ

おー秋よ
素晴らしき秋

泣き言も言わずに
どこまでも独り歩き

好きに占ってよし
柿を食ってよし

去るものを
訪れるものを
教えてくれる秋

おー秋よ
おー何か
うきうきとなる秋よ

やっぱり四季は
秋がよい

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読書演技

2020-11-15 12:09:00 | ナノノベル
 本体では本を開いていたが、本心では別のことを考えていた。身近なところにこそ歌うべきことはあるのではないか。猫がきた。お腹が空く。UMAがきた。星が消える。狸が出た。宇宙が膨らむ。日常のドアを通って人々が進んでいく。立ち読みの人、コーヒーの香り、浄水器を売る人、風船を膨らます人。食品コーナーの前はシャッターが下りて行き止まりになっている。人々は足を止めて改装工事の貼り紙を見つめている。開いているようで、閉ざされている。

「そんなんでは秋が終わってしまいますよ」
 傍目には読みあぐねている人に映ってしまうのも仕方ない。
「秋……」
 先生への義理を立てて、僕は本心を本体に合わせた。

パラパラパラ♪ 

 焦点が合えば書は軽やかにめくられていく。
 十月の終わりには、元から読み返して感想文も書いた。

「休んでいるようで動いている。
困っているようで楽しんでいる。
満ちているようで不安でいる。
人の心はわかりません」

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