眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

君はPayPayを許さない/誓いの助六

2023-07-26 09:05:00 | コーヒー・タイム
「右ですか? もう一度よく見てください」

「左」

「はい。結構です。いつも通りですね」

 一旦待合室に戻りしばらくすると名前を呼ばれ診察室へ入った。瞼から検査のための液体を注ぎ、医者はレンズをのぞき込んだ。しばらく黙り込んでから、先生は半年振りなので写真を撮らなければと言い出した。(どう考えても半年振りのはずはないのだが)診察室の外には誰もいなくなっていた。しばらくして慌ててスタッフが戻ってきた。写真を撮って再び待合室へ戻った。5分くらいして名前を呼ばれた。診察室へ戻ると先生は写真はちゃんと撮れていたし病変はないと告げた。検査が1つ抜けていると指摘すると先生ははっとして僕の目にレンズを向けた。

「はい、右を見てください」


 ローソンに入り伝票をカウンターに置くと店員が駆けてきた。

「PayPayで」
「PayPayはお使いいただけません。現金のみになります」
 店員は即座に言い返した。何でもPayPayで済むと思ったら大間違いだ。

「じゃあいいです」

 僕は自分の間違いを認め、素直に引き下がった。
 しばらく歩くと郵便局があった。受付は閉まっていたがATMが開いていた。コンビニ店員が切り離しかけた右端を完全に切り離して、伝票投入口に伝票を入れた。

「現金か残高か」

 機械は二択しかないと言った。そこにPayPayが映ると思ったら大間違いだ。現金は小金くらいしか持っていなかった。残高はあってもカードを持参してなく、残高を使うこともできなかった。仕方なく取引を中止すると伝票がまっすぐ返ってきた。僕は何もできない人のようだった。あきらめて郵便局を出た。
 すぐ隣にお寿司屋さんがあったので持ち帰りの窓を開けた。

「いらっしゃい」

 お店はまだやっているようだった。助六を注文すると女将さんは、助六だけはもうできないと言った。稲荷がすっかりなくなってしまったのだ。思い直して僕は海老の箱寿司を注文した。それはそれで美味しそうだ。

「お待たせしました」

 僕は小銭20円と千円札を出した。おじいさんが握っている古くからあるお寿司屋さんだ。PayPayなんて言うのは野暮というものだろう。

「何時までですか?」

 だいたい6時半くらいだと女将さんは言った。僕は再びこの窓に戻ってくることを胸に誓った。(今度は助六を頼んでみせる)

「またお願いします」

 北に歩き始めると雨が降り出した。降水確率は10%。降り出しても決しておかしな話ではない。僕はもう一度南へ戻った。お寿司屋さんの先は、もう商店街である。


 夕暮れの商店街は、すっかり廃れて人影も疎らだった。けれども、西へ歩くと少しだけ(相対的に)活気を感じることもできた。通り過ぎようとしたところで足を止めて、僕は八百屋さんに入った。

「いらっしゃい」

 3秒ほどして奥から店主の元気な声がした。小さな八百屋さんだった。高いところに青梗菜が見えた。欲しいのはそれではない。東側から店内を見回す。あれか? 西側にあるポップに手を伸ばして裏返すと100円だった。僕は小松菜を手に取って店主のいるレジの元へ向かった。

「小松菜で?」
 店主は小松菜を確認した。

「はい」

 僕は小銭入れから500円玉を用意した。その途中でレジに貼りついているPayPayシールを見つけた。

「PayPayも使えるんですか!」

 僕は感動のあまり声に出して言った。
 すっかり廃れかけた商店街にある小さな八百屋さんにPayPayを使うことができるところがあっても別に不思議でも何でもないにも関わらずにだ。

「使えますよ。よろしいですか」

「まあ」

 僕はもうそこまで出掛かっていた500円玉を引っ込めることは、あえてしなかった。(そこまでPayPayのことが好きじゃない)それに、いずれまた訪れることがあるに違いない。何しろあのお寿司屋さんから遠くない場所だ。
「ありがとうございます」
 ありがとう。清々しい八百屋さん。

 箱寿司と小松菜で荷物がいっぱいになってしまった。古民家カフェもまもなく閉店だし、処方箋を薬局に持って行かなければならない。僕は家で飲むカフェラテに期待することにした。(家ほどゆっくりできるところがあるだろうか)


 とんでもない思い違いをしていたことに気がついた。コンビニも郵便局も必要ない。必要なのはスマートフォーンだったのだ。僕は伝票のバーコードにスマートフォーンをかざし情報を読み取った。残高がチャージされていることを確認して、今すぐ支払うをタップした。

「PayPay♪」

 あまりに大きな声が支払いの完了を告げた。金額が多少大きかったからかな? 小さな部屋は、音がよく響く。

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マルチワーク時代のタイムシフト・オペ

2023-07-23 09:13:00 | ナノノベル
 私たち人間の時間は飛躍的に長くなった。例えば同じ時間であっても、その中でやれることは圧倒的に増えた。幸運なことに、昔の人と比べ私たちはたくさん生きられるようになったのだ。かつてはこれと決めた一つの職に生涯かけて打ち込むことが普通だった。今は興味さえ持てばより多くのことに挑戦できる。言ってみればゲーム感覚で。何をするにも特別なスキルは必要ない。あるいは習得時間が短縮された。AIやアプリが人間を助け、足りない部分を補ってくれている。私は寿司職人であり宮大工であり将棋の棋士であり弁護士であり画家であった。そして……。
 今、私は手術台の上に横たわっている。
 まもなく私のオペが始まる。あるいは終わっている。
 昨日、既に私の手によってオペは完了した。これよりここでその結果が再現されるだけだ。AIは99.99パーセントの成功と診断した。

「大丈夫。自分を信じて」
 私は目を閉じた。

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投了包囲網 ~投了もやむなし

2023-07-21 09:06:00 | アクロスティック・ライフ
荒廃した自陣
時計の針は戻らない
持ち駒はとっくに尽きた
乗り遅れた将たちは王様よりも
飛車の方を囲っている


駒台にハエがとまった
床の間で猫が寝ている
もやしの切れ端が落ちている
のどが渇いた
日はすっかり沈みきった


コーヒーカップの底がみえた
どこにも誇れるものがない
モバイルは井戸に落ちた
狼煙は上がらない
評価する者はだれもいない


古代文明が崩壊した
ドローンが主人になった
モップのように使われる
ノックをしても返事がない
秘書がすべてをぶちまけた


黄砂で一歩先もみえない
ど素人に戻ったようだ
もしもしと普通に出てる
脳波に物語性がみえない
日傘も雨傘もない


炬燵は獣に奪われた
トレイにのせるものがない
もつれた糸がほどけない
のど飴舐めてものどが痛い
冷やし中華が終わってる


コオロギが飛車に乗っている
とめどなくあくびが出る
もっと出来たと今なら思う
のた打ち回ってハエが落ちた
髭ばかりが伸びた


ここに手段は尽きた
投了もやむなし
もはやこれまで
残るのはあなたです
ひれ伏すのが私です

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選択の楽しみ

2023-07-20 04:33:00 | いずれ日記
 うどんと言えば天ぷらだろうか。いや、うどんと言えば焼き鳥だ。いやいや、うどんと言えばフライだろう。いやいや、うどんと言えばパンだよ。うどんの隣に置いておきたいものは、人それぞれかもしれない。
 メインのうどんを注文すると先に進み、小皿の上に何かしらの天ぷらを選んで置く。並んでいる天ぷらは、適当な数と種類があることが望ましい。(少なすぎては残り物のようで寂しく、多すぎてはアマゾンの倉庫のようで手に余ってしまう)数種類みえる天ぷらの中から1つ、2つと自分の意思で選ぶことが楽しい。前はこれだったけど、今日は(今日も)これにしよう。今日はこれだけども、今度はあれにしよう。目に映るものは多くとも、すべてを置けないことはわかっている。何かを選ぶということは、何かを選ばないことでもある。喜びの中には切なさも含まれるということだ。これは職探しでも、パン選びでも、共通して言えることかもしれない。

「dカードはお持ちですか? 楽天ポイントはお持ちですか? gooアカウントはお持ちですか? 目覚めの悪い日はありますか? 現在の回線速度に満足してますか? 殴ってやりたい上司はいますか? 暑くないですか? 該当するところに丸をつけてください」

 うどんを食べるだけでも、ある程度の意思表示は必要になる。それが現代的な飲食・サービスのあり方なのだろう。

「ぶっかけと、海老、かしわ……、1300円とちょっとになります」

「おーい! 出汁はどこや?」

「か、かえるが出たー!」

 店内は外国人観光客の姿も多く、活気にあふれている。所々にセルフならではのカオスもあって、それも含めてうどんの醍醐味であるかもしれない。いずれにしろ、僕はまた日曜日にうどんを食べに来るだろう。あの角の街中華が定休日だから。

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喫茶店の終わり/もっと普通にみてほしい/美濃が崩れても

2023-07-18 15:49:00 | コーヒー・タイム
 ランチタイムの終わった王将はあっさりと詰んでいたので向かいの喫茶店に向かう。外からでも硝子の向こうに空席が確認できる。入った途端に閉店時間を告げられた。誰もいないのはそのせいでもあるのだ。

「ピラフかカレーになります」

 もはや食べられる物は限られた。あまり迷わずにカレーにした。(今日はナポリタンを食べたかったのに)案外すぐには出てこない。何度かレンチンの音が響く。レトルトよりも手間がかかっているなら少しうれしい。女性客が入ってきてまだ大丈夫かと聞いたあとで、カフェオレと玉子サンドを注文した。お待たせしました。カレーは熱々で所々に見えるビーフの塊はそれなりに旨いと思えるものだった。ごちそうさまでした。腹ごしらえを終えて席を立つ。今度はカフェで陣取りゲームが待っている。


 狭いテーブルの上ではポメラを開くのも気が重い。メモや、ボールペンや、ポケットティッシュや、色んな物がごちゃごちゃとして、コーヒーをこぼしてしまうことも考えられる。その時、僕はフリック入力とエバーノートで断片を練っていた。「ポメラだけあればいい」なくてはならないと思われたことも、なければないで何とかする。環境に合わせて生きていくのが生き物だ。そう考えれば、世の中に絶対になくてはならないものなどないのかもしれない。愛も、心も、手放してみればどうということはないのかもしれない。先のことはわからない。

 ポメラを置いて活動していると、手を骨折した時のことを思い出す。その時には、ポメラを開いても仕方がなかったのだ。ポメラと離れて過ごす寂しさの中で、ノートを開き、片手でペンを持たなければならない。(それはどこか、故郷を遠く離れて新しい街で暮らすことに似ていた)ノートでできる範囲は限られてしまう。最初は無力感ばかりがつきまとったが、色々と工夫を重ねて取り組む内に、ノートにはノートなりの良さがあって、ペンにはペンの可能性が広がっていることに気づかされた。(新しい風景が見えた)それは折れていなければ得られなかった経験だ。
 骨折は骨が折れる。当たり前のようにつながっていたところに空白ができ、そこに恐怖や不安が入り込んでくる。だからと言って悪いことばかりだとは限らないし、一度折れてつながったことでより強くなるものもある。何が「幸い」か。そういうことは簡単に決められるようなものではない。だから、安易に人を憐れむことは浅はかだ。

「かわいそうに」

 幼年の頃、上手く歩くことができなかった僕に、大人の人が言った。他のどんな言葉よりも、それが一番僕を傷つけた。色んな葛藤を乗り越えながら現実を受け入れ、そこをスタートラインにしようとしてるのに……。(何も知らないで)勝手に決めつけるなよ。くやしくて、怒りがこみ上げて、泣きたい気持ちだった。僕はもっと普通にみてほしかったのだと思う。
 言葉を発した大人は、その言葉が誰かにダメージを与えるなんて、夢にも思っていなかっただろう。悪気はあってもなさすぎても恐ろしい。きっと、その人は何も考えていなかったのだ。


 何も考えない方がずっと楽だ。確かにそれは1つの真理かもしれない。楽を望むならそれも本筋だ。
 何のためにやっているのだ? 目的意識を持つこと、再考してみることも、上達を望むとするなら有意義なことだ。勝ってうれしい。負けてくやしい。勝ち負けに一喜一憂するのもいいが、あなたが将棋ウォーズを指す時、目先の勝利の他にも求めているものはたくさんあるのではないだろうか。
 勝負強くなりたい。上手く切り返せるようになりたい。もっと手がみえるようになりたい。臨機応変に指せるようになりたい。読み筋を外れても動じないようになりたい。常に動じていないようにみせたい。迷い、躊躇いから放たれたい。成長したい。今の自分より、昨日の自分よりも強くなりたい。勝ち方が上手くなりたい。見切りが上手くなりたい。もっとわかりたい。もっと理解したい。もっと真理に近づきたい。もっと名人に近づきたい。もっと神さまに近づきたい。すべては望み通りにはいかないが、望みを持つことは素敵なことではないだろうか。

「この戦いが何の役に立っているのか?」
(何の訓練になるのか? どこを鍛えているのか?)

 勝った負けただけでも十分に楽しめるかもしれないが、日々テーマを意識して戦いに向かうことも楽しみの広げ方として有力ではないだろうか。壮大なテーマを持って目的に向かっている人間は、心を強く持つことができる。(その状態では目先の勝負を超越できる)目前の一局の勝ち負けなんてどうでもいいのだ。だって、あなたはもっと長く険しいけれどももっと夢のある道を進んでいるのだから。

 空中分解将棋のすすめ  ~堅さ=正義との決別

「あなたは居玉で戦ってみたことがあるか?」

 勝率を上げる近道は玉を堅くしておくこと。確かにそれは一理ある。(弾丸等極端に短時間の将棋ではより説得力もある)だが、勝率を上げること、勝つことと、強くなることはまた別だ。底力を上げるために、あえて手痛い経験を積むことも1つの考え方だ。

 堅陣に組んだ玉は必ず無傷で終われるのか?

 攻めている時にはやたら強いが、攻められ出したらそうでもないという棋士は多い。穴熊が無傷で王手がかからない時には調子がよいが、穴から追い出されたらもう無茶苦茶になる。そういうのは棋力のバランスが偏っていると言える。将棋は複雑なゲームである。(攻めたり受けたりすることが必要)攻めたら強い、受けたら強いというより、攻守のバランスに優れている方がいい。とは言え、受けというのは難しく、薄い玉形で攻められながら勝つというのは、それなりの経験/訓練が必要だ。
 相振り飛車の囲いは常に迷う。あまり囲いに手をかけていると先に攻められやすい。慎重にバランスを取っていると手詰まりに陥りやすい。思い切って「囲わない」という戦術もある。(「流れ弾に当たりつつ勝つ」という訓練の意味を兼ねる)相手が居玉に近いとみると、狂ったように攻め込んでくる棋士は珍しくない。実際に狂っている場合は間違いなく形勢はよくなる。

「流石に無理すぎだろう」みたいな強襲に対して一旦優勢にはなるものの、何だかんだとやっていう内に、火のないようなところからも煙が上がり、流れ弾に当たって最終的には負けてしまう。
 あれ? 変だな。やっぱり固めておかないと駄目か……。目先の対局に勝つための結論は、強くなる上では逆である。負けてもよいからだ。負けるのは実力だ。それを玉形のせいにするのは簡単だが、本当は薄い玉形での戦い方/勝ち方を知らないからだ。そこを反省し、改善しながら鍛えていけばよいのだ。居玉や薄い玉形での戦いにも慣れておくと、いざ穴熊から追い出された時、美濃囲いを削られた時にも、そう動じなくなる。「あの玉形を耐えたのだから……」そうした苦労や経験が自力になるのだ。

(空中分解将棋)
 それは「美濃が崩れても勝つ」ための訓練だ。
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ピコの冒険(体験学習)

2023-07-17 03:41:00 | ナノノベル
 表に出たらめまいを覚えた。やけに視界がぼやけている。あの大空に飛び立つことが想像もできなくなっていた。できそこないの朝のように、すぐ先にある看板の形さえもぼやけて見えるのだ。ずっと閉じこめられていたせいか、栄養が足りていないためか。もしも自分が機械なら、スイッチが入らないまま、壊れてしまうのかもしれない。歩道をはみ出しても霧は晴れない。もう戻れないのか……。(いったいどこへ)

「そんなところにいたらひかれちゃうよ」
「いい。僕は飛べないから」
「危ない!」
 乱暴な猫に突き飛ばされる。
「何するんだ」
「そっちこそ!」
 わからない。自分が何をして生きてきたのか。
 現在地だってわからないのだ。
「一緒にくる?」 
 猫の足は速すぎる。


「ここは安全よ。理解のある人しか来ないから」
「ここで働いてるの?」
「まあ見ればわかるわ」
 猫の業務は微妙な形態だった。
 じゃれ合いの中、気まぐれの中、眠りの中、つまみ食いの中、愛嬌の中、それぞれの孤独の中にあった。時々、人間たちがやってきて、気まぐれの中に入り交じった。喉を潤したり鳴らしたりしながら、背中を撫でた。夢から醒めた三毛猫が古宿を捨て、新しい本棚に飛び移った。
「あなたもやってごらん」
「僕は飛べないから」
(それは僕の領域じゃないんだ)

「この子は無理なの。ゆっくり歩いて来たのよ」
「ねえ。僕もいていいの?」
「もういるじゃない」
 そんなことじゃない。立ち位置についてだ。
「何が働いているかわからないものよ」
「僕は何もしていない」
「何より愛想が大事なの。指名を得るにはね」
「指名?」
「人に興味を持ってもらうこと。誰かのお気に入りになることね。だんだん好きになってもらって、やがて最愛になるの。生活が変わるわ」
「どんな風に?」
「さあ、もう次に行かないと。ママまたね」


 次の職場に向かう猫の後をついて行った。
 猫は歩くのが速い。
「かけもたないとね。これで食ってるの」
「いつから?」
「ずっと昔からよ」
 日が落ちかけていた。
 昔……。何か懐かしい響きだった。

「僕、もう行くよ」
「思い出したの?」
「うん。たぶんね」
「そう……。やってごらん」
「ありがとう」
 陸の生き物に別れを告げた。
「飛べるのね。やっぱりあなたは鳥の一羽ね」
 
 さようなら。
 私はこの道を、あなたはあの空へ。

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個展の自由

2023-07-14 15:16:00 | アクロスティック・ライフ
個展を開くと
どこからともなく
「ものはためし」
のこのこと
人や獣が集まってくる


子ぎつね
都会の人
森のくまさん
野ネズミ
控えの投手


ここはいったいどこ?
当惑の瞳を持った旅人
求めるべき何かがあって
逃れたい何かがあって
人の様子をうかがっている


コンプライアンス重視の人
ドブ掃除に飽きた人
もう一度始めたい人
のそのそ歩く巨人
ひょろひょろの狐


恋人たち
都会に疲れた人
モノクロの人
濃紺シャツの人
平野の人


こんなはずじゃない
どれもこれも退屈だ
もううんざりだ
残りもどうせつまらない
一言で言ってクズ


攻撃的声が
どこからともなく漏れる
物語の否定
呪いがかった順路の奥から
拾ってくれるものも現れた


これなんか素敵
どこにもないみたい
もっと他のもみてみたい
伸びる余地がありそう
密かなブームの予感がする


コバンザメ
どさんこの人
モール街の猫
ノコギリクワガタ
平野宮町の人


コーラの泡をつけた紳士
ドライフラワーに乗ったリスザル
もずくの殻をつけた海賊
後の大統領
肥後橋の方からきた人

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みそ汁を買いたい

2023-07-13 23:04:00 | いずれ日記
 みそ汁を買うつもりだった。しじみのみそ汁だ。ずっと買うつもりで頭の片隅にみそ汁を置いているはずだった。特にメモにして持ち歩くほどではない。そこまでしなくても自然に街に出て戻ってくれば大丈夫なのだった。商店街の外れで助六を買って、その近くで小松菜とミニトマトを買った。小松菜は手で千切って使えるし、ミニトマトは暑い季節には爽やかでよい。キリン堂に寄った時に、チャンスはあったが、蒟蒻畑に目が行った。それからポカリが安くてすぐに手に取った。ミツカンのフルーティスをカートに入れたが、結局みそ汁のことを思い出さなかった。今日もみそ汁を買えないままに帰宅することになった。だが、今日は駄目でも明日はちゃんと覚えているかもしれない。明日になればわかることだ。
 いずれにしろ、近い内にみそ汁を買うことになるだろう。しじみのみそ汁、あるいは、あさりになることもあるのかもしれない。

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雨がいい訳/暗黒のナス 

2023-07-13 01:24:00 | コーヒー・タイム
 コーヒーを注文する。
「ポイントカードはお持ちですか」
 忙しくても欠かせない一行がある。gooブログと連携されますか。今はやめておくと丁寧に伝える。コーヒーだけなので注文は繰り返さない。

 時に部分は全体を語ることがあるか? ポスターの下15センチの隙間から道行く人を推測してみる。彼の身長、職業、趣味、目的地、好きな食べ物。彼女の理想、目的地、座右の銘。
 雨に濡れたアスファルトに反射するヘッドライトが光と影を生み出している。18時30分。雨の日ならではの風景がある。毎日同じようで全く同じにはならない。それが日常だ。

 寝不足に伴う疲労は解消されないままだ。いつからか。とめどない鼻水。なかなかとまらない咳。「どうせ遠出はできない」
 そんな時の雨は、むしろ恵みの雨だ。ほんの15分の道も歩くことは偉い。近場であっても何か「やって来た」感を感じることができる。


 ナスは魅力的だ。何が旨いのか説明がつかない。しかし、旨いのだ。積み上げられたナスの前で、迷いに迷う。松ナス、竹ナス、梅ナス。選んでいるつもりでも、選ばされているのかもしれない。
 迷った末に買って帰ったドレッシングが、結局いつも同じだったという経験はないか? 「DNA手帳に最初から書き込まれていたのだ」
 気になったナスを手に取ってみる。一度戻してまた選び直す。前よりいいともわからないが……。一回切り返してパスを出すと少し上手くみえる。そのような感じでナスを決定する。

「こんなまずい野菜が……」
 それがナスとの出会いだった。多分あれは腐ったナスだったのだと思う。暗黒の記憶を払拭するまでには随分と長い時間がかかった。暗黒に足を踏み入れるのも、暗黒から抜け出すのも、ほんの些細なきっかけなのかもしれない。

 ナスを選び終えて安心していると、すぐ横に5本入りのナスを発見した。セール! 198円。なんと3本でも5本でも同じ値段だ。しかし、5本入りの方は、幾分ナスのサイズが小さいようだ。とは言え5本である。その時、更にその向こうに長ナスという、また新たなナスが出現した。名前の通り長い。ナイフに対して長槍のようだ。こちらの方がより強いモンスターを倒せるかもしれない。しかし、僕に扱えるだろうか……。(タジン鍋からはみ出してしまうかもしれない)今日のところは長ナスのことは忘れることにした。セールのナスをカートに入れるともやしコーナーに向けて歩き出した。

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ドラゴン寿司

2023-07-12 23:55:00 | ナノノベル
 カウンターにかけると一間竜ほどの距離で大将と向かい合った。

「二枚銀を」

「あいよー」

 まずは小手調べに二枚銀だ。

「へいお待ち、二枚銀です」

 よい腕だ。早く、正確で、味も申し分ない。

「銀矢倉と銀冠を」

「あいよー」

 順番だ相性だと気にする者もいるが、寿司は自分の好きに頼むのがいいだろう。

「へいお待ち、銀矢倉と銀冠です」

 くーっ、利かせやがったな! いくら山葵が強く刺激してきても、表情なんて変えるものではない。寿司はデュエルではないか。安易に弱みは見せられない。

「腰掛け銀と早繰り銀を」

「あいよー、銀がお好きですかい」

「まあそうね」

 今日は銀尽くしといこうじゃないか。

「へいお待ち」

 おっと、これは何だ?

「カニカニ銀、こちらはサービスで」

「あー、これはバランスが取れてますな」

 なんて素敵な店だろう。調子に乗って行くか。

「銀多伝を」

「……」

「金目鯛ですな」

「銀多伝を」

「お客さん、申し訳ない。銀が切れてしまって」

「何?」

 ウォォオォォーーーーーーーーーーーー!

 その瞬間、私は燃え上がる龍となり大将を丸飲みした。

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くやしい時間切れ

2023-07-09 17:43:00 | 詰めチャレ反省記
 詰将棋のよいところ。どこででもできるところ。何もいらないところ。頭の中でできるところ。変わらないところ。(定跡の進化、陣形の流行りとか関係ないところ)
 時間に追われるのは苦しいもの。一手もみえないまま秒がなくなっていく時の焦りようときたら……。
 例えばこんなケースはないか。第一感でぎりぎり詰みそうな筋がみえる。しかし、その直後により本筋の手がみえてより確実に詰みそうでもある。迷いながら読んでいる内に決断が遅れて……。
 また、駒をひっくり返して詰む形の時。自分では1秒間に合っているつもりなのに、なぜか切れてしまう。(成りの出てくるケースでは少し余裕を持とう)
 時間に追われ、時間切れに泣くのはくやしいものだ。だが、これも実戦を見据えるならば、必要な訓練ではあるだろう。実戦の終盤で時間に追われていないことなどまず考えられない。詰む詰まない以外に、実戦ではより複雑な思考・判断を求められる。しかし、詰めチャレの訓練によって、手の見え方や、読みのスピードは確実に養われる。

「いつも解いているのより簡単だ!」

 時間がない中でも冷静に詰み筋を発見できるということもあるだろう。

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何もしないカフェ/遊びの定義/王手の力

2023-07-08 17:38:00 | コーヒー・タイム
 ポメラを置いてきた日には、ノートが開かれることになる。
 ノートとガジェットは併用するともっとよくなるはず。それぞれに長所があるのだ。ノートは同期なんてしなくていい。電源やWi-Fiがなくても平気。つまりは環境を選ばない。チープなものには安心感がある。少しくらいコーヒーをこぼしてもいい。落としても壊れない。静かで他人の迷惑にもなりにくい。ペンを走らせる音など、落ち葉がすれて囁くくらいのものだ。
 風邪を引きずってコーヒーを注文する声に重みがある。新しい自分が現れた。このままでもいい。きっとそれは愚かな考えだろう。
 ポスターの裏地に逆さまのチキン。硝子を覆うものが何もなかったら、外の世界はもっと大きく見えるのに。この世界を支配しているのは広告なのか。バス停にかける腕組みの男。次の試合に向けて戦術を練っているのか。どこかのチームの監督、あるいはコーチだろう。


店内において以下の行為を禁止致します。

 すべてはお客様が快適に過ごされるためだと書いてある。眠ってもいけないし、トランプやカードゲームの類は禁止だ。目につくような遊び方をしてはいけないのだ。逆にノートやテキストを広げて、熱心に仕事や勉強に打ち込むことも禁止だ。娯楽も仕事も勉強もいけない。何もしないのはよいが、眠るのは駄目だ。ある程度はそういうことが許容されるタイプの店もあるが、建前上は禁止というカフェも多い。とは言え、やはりそれは程度の問題だ。テーブルの上でカードを切った瞬間に追い出されるわけではない。少しノートを開いたくらいで咎められもしない。コーヒーを飲むという本分を上回る生活の拠点をテーブルに置くくらいのことがなければ、実際には何も起こるはずもない。

 遊んでいるのか、働いているのか。一目でそれは見分けがつくものだろうか。フル充電したところからどれだけ持つか? 家電量販店でノートを選んでいた時、それは使用状況によると店員は答えた。印象的だったのはその次の言葉だ。

「ほとんどの時間は止まっているのです」

 人間はノートを開いて仕事をしている時でも、フルに動いてはいないというのが、彼の持論だった。首をひねったり、ため息をついたり、遠くを見つめたり……。そうした時間が、ノートと向き合う大部分を占めているのだ。当然、その間のノートはさほど電力を失わないというわけだ。なるほどそういうものかと妙に感心したことを覚えている。

 あのメッシだって止まっている時は止まっているではないか。ずっと動いてばかりではない。でもその時がやってきたら目覚ましい動きをして、決定的な違いを生み出してみせる。メッシはそれまで遊んでいたのか? 遊んでいるようにも見えるし、見せかけていたとも言える。止まっている時間も、先を見据えて準備していたとすれば、偉大な静止と解釈することもできるだろう。

 できない上司に限って動き詰めることを要求するが、それは物事の効率というものをまるで理解していないためだろう。ストップ&ゴー、パス&ゴー。課題をクリアし壁を越えていくためには、緩急をつけることが重要だ。人はロボットとは違い、傷ついたり疲れたりするものだ。同じ人でありながらそこを考えられない人が多いのも、悲しい現実だ。

 この人たちは何を求めてカフェにやってくるのだろうか。時間を潰すためか。談笑するためか。くつろぎを求めてか。コーヒーが生き甲斐なのか。何の目的もなくふらふらしながらたどり着いたのか。遊んでいるのか、遊んでいないのか、傍目にはわからない。あと少し。カップに残るコーヒーを飲みきらなければ……。だけど、僕はもう眠りたかった。(飲まなきゃ)(このまま眠ってしまいたい)2つのテーマの間で揺れている。その感じは、悪くなかった。


「いつまで遊んでいるの?」(いつになったらまともに働くの)
 あなたはそうやって誰かに責められたりしたことがあるだろうか。

 将棋には「遊び駒」という駒(状態)があり、形勢の足を引っ張る要因にもなる。

「遊び駒は作らない方がよい?」

 最初から最後まですべての駒が働いて勝つ。そんなことが可能だろうか。大山十五世名人の振り飛車では、最初は囲いから遠く離れていた金が戦う内にだんだん玉に近づいていくという棋譜が多く存在する。最初は遊んでいるようで、色々あって最後には働くようになっている。そこに物語性があるようで、何か面白く感じられないだろうか?

「玉から離れすぎた駒は遊んでいるのか?」

 将棋の盤は広いようで意外と狭い。遊んでいるようでも、働く時にはいきなり働き出したりするものだ。(それにはもう1つ理由がある)
 僕は世界の果てにあるようなと金でも、軽視しないように心がけている。

82飛車成(王手) 42飛車 66角?
82飛車!
 苦し紛れに打ったような飛車合が自分の竜に当たっているのを完全にうっかり。(弾丸ウォーズではよく大駒をただで取られる)
 投了が頭を過ぎった次の瞬間、敵玉にかなり王手が続くことに気がついた。(詰む形)になった時には、潤沢な駒台が物を言う。そして、左辺は案外に広くないようなのだ。
(あきらめるには早すぎる)
 王手! 時間も1分弱ある。
 玉を中央に追うと詰む形がみえてきた。(詰めチャレの成果だ)
 はるか昔にできていた71のと金が、収束形を作る最後の拠点として働いていたのだ。(遊んでいた駒が最後に物を言った)
 遊び駒が働きをみせるもう1つの理由。それは王手の力だ。王手王手と続くことによって、玉は強制的に長い旅をする。自ら動かさずとも王手の力によって(相対的に)、遊び駒は一気に重要な駒になり得る。そこに王手/将棋の面白さもあるのではないか。ほとんどの時間を眠っていても、最後の最後に値千金の働きをみせることがある。

「王手の可能性がある限りは、完全な遊び駒など存在しない」
 それが僕の出した結論だ。
 世界の果てと思えた符号も、気がつくと突然世界の中心になることがあるからだ。

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短冊鑑賞

2023-07-07 15:54:00 | アクロスティック・ライフ
なぞなぞが上手くなりますように

慎ましく暮らしていけますように

山登りに行けますように。

スリーポイントシュートが決まりますように

みぞれが食べられたらいいな


習い事が上達しますように

月まで早く行けますように

安らかに眠れますようおねがいします!

酢豚が食べられますように

ミドルシュートがズドンと決まりますように


何でもない日常が続きますように、

強くなれますように

約束が守れますように

水族館に行かせてください

味噌ラーメンも食べられますように


縄跳びを上手くしてほしい

勤め先に恵まれますように

優しい人になれますように

すももが食べられますように。

みたらし団子が食べれますように


習い事が上達しますように

罪を犯しませんように……

やんわりと断れますように

すき焼きが食べれるようにしてください

ミルフィーユがいただけますように


ナポリに行けますように(ぜったい)

蔦をたどって昇れますように

優しさに包まれますように

西瓜がたくさん食べれますように

水羊羹が食べれますように


南極ペンギンに会えますように

翼になれますように!

屋根より高く飛べますように

水曜日は休めますように

みんなでロイヤルホストに行けますように


名古屋一になれますように

角がぐんぐん伸びますように

「夜行列車に乗って旅に出る」

すやすやと眠れますように

見違えるようになれますように。


波乗りが上手くなれますように

作り話が作れたらいいのにな…

闇の向こうに光が射しますように

スタミナがつきますように

みかんがいっぱい食べられますように


無い物ねだりが直りますように

漬け物に打ち勝てますように

夜景が見れますように(一緒に)

スノボが上手くなりますように

水になれますように

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雨と地下街の苦労

2023-07-06 17:35:00 | コーヒー・タイム
「おひとりさま? テーブル席へどうぞ」
 重たげなリュックを背負っているせいだろうか。海鮮焼きそば1000円。旨い。見た目もありがたみがある。もしもこれをセットにすると1500円くらいになる。エビ、ホタテ、白菜。他にはこれと言って入ってない。とろみでごまかされてない? 冷静になってみれば500円で作れそうだ。豚肉を軸に、よりヘルシーな感じで。チキンラーメンをアレンジしてもいい。家ならご飯とスープをつけるのに300円もかからない! 昼はウエハースだけ、流石に空腹に耐えられなかった。


 いつもと違う元喫煙ルーム側にリュックを置いてどうにか席を確保できた。夕方前はよく混んでいる。満席か? 席を探しあきらめて帰って行く人もいる。この辺りの地下街ではコーヒーを飲むのも楽ではない。


 夢の中ではもう1つのロケ地のことが気になって食べられなかった。「次はつるぎ、つるぎ」車掌の低い声が聞こえる。つるぎ? それは正しくは『学芸会前』のことだった。窓から入ってきた風船に呼ばれて踏み切りの手前で飛び降りると、僕はもう車道を走りだしていた。まどろんでいる時は走ってもいいという特別ルールが浸透している。
ーー 805 ーー
 道路の真ん中に大きく書かれた数字。道の長さか制限速度なのか定かではない。(大胆なランナーの落書きでなければ何か意味があるはず)意気揚々と腕振り走り抜ける僕の姿勢に驚いたのか。ドライバーはハンドル操作を誤って柵を越えた。それに驚いた馬たちが急に駆け出す。軽く捻挫した馬がいた一方では、加速の勢いのままにレースに参加してしまう猛者もいた。春の陽気は記録的で初夏が訪れる前に風鈴を鳴らし、線香の煙る夜に台風を呼び寄せたという。周辺視野にとらえた人々の影は様々だった。唇を噛み、首をひねり、お腹をさすり、腕を組み、膝を抱え……。思い切る時は僕に相談してほしいんだ。(少なくとも一言)と願わずにはいられなかった。
 スニーカーは田中さんの忘れ物。田中さん、その服、そのカラー、似合っている。だけど、これを履いて走ったら、もっともっとかっこいい! まだ館内にいるか。(田中さんを呼び戻さないと)焦っていたので落としてしまう。パスタはアルデンテまでは遠く、ついた泥を払った。きっとこれも田中さんの忘れ物だ! 泥を被りすぎて絶望的な数本を見切る。けれども、今度はボリュームが不安になって絶望の基準を見直す。泡立つ鍋に水を差す。(大丈夫さ)多少欠けてもふやけても、それだって個性なんだよ! 田中さーん!


 17時。席の真上にある扇風機の存在に疲れた。空席が目立つ。本格的な夕方になると家に帰る人が多いのだろうか……。(夕食の支度、家族との時間などあるのかもしれない)今なら迷えるくらいに席は空いている。自分の居場所を確保できるかどうか。それはちょっとしたタイミング次第だとも言えるだろう。

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おすすめテイクアウト

2023-07-05 18:18:00 | いずれ日記
 ラーメンのテイクアウトはあまりおすすめではない。麺が伸びたり、スープがこぼれたりという心配がある。ラーメンは家でも作れるのではないか。トッピングを自在に工夫したりして、好みのままに、場合によってはお店よりも遙かに安く、そこそこ美味しくできるのではないだろうか。

 バーガーはどうだろう? 人々はなぜ並んでまでバーガーを持ち帰ろうとするのだろう? バーガーは家でも作れるのではないか。食パン(ちょっといいパンを使ってもいい)などに適当な肉や野菜を挟んで中に好きなだけケチャップやマヨネーズを入れればいい。熱くしたければ好きなだけレンチンすればよいだけだ。味もボリュームも自分の好きに変えられるし、お店よりも遙かに安く、十分に美味しくできるのではないだろうか。わざわざ行列に並んでまで持ち帰るほど、有り難いものがどれほどあるだろうか。

 だが、やはりテイクアウトは手軽だ。帰宅した瞬間に食べられるのは大きな魅力でもあるだろう。先日は商店街の外れで助六ときゅうりの細巻きをテイクアウトした。おすすめのテイクアウトは、お寿司である。「寿司だって自分で作れる」そう言ってしまえば、結局何だってそうなのだ。(自分でやってみることは素晴らしいことだ)ラーメンやバーガーと比べ、お寿司の難易度はどれほどのものだろうか。コスト、味、多様性、バランス、芸術点。総合的にみてお寿司はおすすめだ。

 いずれにしろ、僕はまたあの商店街の外れに古くからあるお寿司屋さんのテイクアウト窓口をたずねるつもりだ。いつ行ったとしても、行列に並ぶ必要なんてない秘密の名店だ。

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