折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

タイム・コントロール

2019-01-31 22:29:32 | 短歌/折句/あいうえお作文
人足がふっと途絶えた真夜中はいつもの猫が通る時間だ

愛を問い愛に答える永遠をクリエイターがまとめた5分

コーヒーが熱い間に一仕事終えるか君の高速pomera

壮大な旅を控えて2時間の大長考に沈む座布団

季節の変わり目に猫は手を置いてもう一度だけ待ったをかける

トライアル期間をすぎてやすやすと離せなくなる人間の身

何度でも人生をやり直させる君は奇跡のタイム・キーパー

ミュージックビデオの君がつれだした4分15秒の船旅
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運命の人

2019-01-30 00:03:36 | リトル・メルヘン

 昔むかしのことを考えながら歩いているとどんどん体が軽くなってゆくように感じられて、ますます弾むように先へ先へと歩いて行くと、時折風が吹いてかなしみが落ちて、かなしみが雨を降らせると、虹がかかりふわふわと虹の橋を歩いているとちょうど同じ頃に向こうからお姫様が歩いてきたので、結婚しました。
 めでたしめでたし。
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書くというのに

2019-01-29 23:48:52 | 好きなことばかり
届いていないでしょうか。
至急、年賀返信状をお送りください。
なお、行き違いになった場合には、失礼をお許しください。

くそ、またか!
年賀催促状がまた届いている。
「書くというのに!」(書かぬとは言わぬのに)

今、イノシシの頭をちょうど描いたところなのに……
勢いを持って進む気が削がれてしまったようだ。
今夜はここで筆はおやすみ。イノシシの本体を描き終えたら、ようやく本文に入れるはずだったが、今からしようとすることを先に言われてしまったら、それもままならぬというものだ。何も言わずにただ待っていてくれたら、明日にも送れたというのに……。
好きな時に好きなようには書けないものだ。
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ティータイム(折句)

2019-01-29 21:25:06 | 短歌/折句/あいうえお作文
茶柱は
立つや立たぬや
手作りの
むすびが秘めた
しそ梅の赤

「チャタテムシ」


妖しげな
ラテ回転が
色めいた
くびれとなって
マグへいざなう

「アライグマ」


茶のともに
太陽を食う
天体の
無慈悲に触れて
シンバルが鳴る

「チャタテムシ」


栄冠に
王手をかけて
マカロンへ
一歩踏み出す
甘やかな時

「エオマイア」
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私たちのクリームパン

2019-01-29 01:15:11 | 自分探しの迷子

 自分探しの旅を続ける内にいつしか僕は自分自身を見失っていたようだ。俺はまず自身を再構築することに決めた。歯ブラシに歯磨きをセットする。これでよし。それから蛇口を開き水を出す。水を受け取る。水を吐き出す。繰り返す内に再構築は完了する。これが俺だ。いいえ。私は物心というものがついた時の記憶についてずっと訝しく思っているのでありました。私は私という存在を認める者も認めない者も同じように、訝しい目で見なければならなかったのです。そう、旅というのは生まれた瞬間に始まるものだけれども、遡ってみればそれよりも遙かに前に始まっていたとも言えるのですから。そして、僕はコーヒーを注文した。その中に自分の姿を映すためだった。あるいは、小さくても自分の欠片のようなものを見つけるために。わしはそうすることを望んでおったのかのう。いや、それにしてもじゃ、わしにとって12月とはお前にとってのこの夏にも似た存在と言えるんじゃ。だってごらん、炬燵だってみかんだって、あの冬のまんまなんだもん。俺にしてみりゃ、それはまたどうでもいいことだ。俺のやり方はいつもシンプルだ。棚の上から素早くクリームパンを取る。それをレジに持ち運ぶ。行列に恐れをなして引き返す。棚の上にクリームパンを戻す。着想をリセットする。ここから私は落ち着いた心を取り戻すことができるでしょうか。突然、私は居心地が悪くなり、感情の起伏をコントロールすることが難しくなってしまうのでした。俺は俺を知らない。誰だってそうだ。俺はクリームパンを戻した。もはや俺のクリームパンではない。当然のことだ。俺は手を引いたのだ。だから俺のではない。俺のものであったこともない。俺のクリームパンになる未来は確かにあった。未来に近づいた瞬間は存在した。だが俺は進まなかった。引き返すことを選択した。その時の感情は定かではない。俺はここに。僕は自分探しの旅の中でそれぞれの自分を見つけ、それぞれの自分と別れなければならなかった。真っ直ぐに進むだけの道だったとしても、常に迷子と隣り合わせだった。自分探しの旅とは、そういうものだった。僕のそばにはいつも僕を認める者と少しも僕を認めない者とがいた。そのいずれもが僕に似ていて、僕はいつも心を許せずに長い旅、あるいは訪れる本編のための助走を取っていたのだ。私を追いかけているのは10月下旬に吹き抜ける風に似たスランプのようだと思えました。別の見方をするならば、びっくり箱の中で眠り続ける鰐の抱える慢性的なブルーと言うこともできるのでした。種々の見方を試しながら進んでいく道の中には飢えた獣が潜んでいるのも、既に学習済みの問題とも言えたのですが。俺は自分を見失いかけていた。それは俺の好みでもある。俺は俺を憎む。誰よりも愛する俺を。
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ピッチサイドの通りすがり

2019-01-28 21:48:23 | 短歌/折句/あいうえお作文
敬って
対戦すれば
行けるかな
密かに願う
トーナメント表

折句「うたいびと」短歌
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3人の子供

2019-01-28 21:38:04 | リトル・メルヘン

 昔々あるところに3人の兄弟がいました。
 ある日、長男が末っ子を抱き上げて高い高いをすると、それを見つけた次男が駆け寄ってきました。
「危ないことをするな!」
 次男は長男を見上げながら一喝しました。
 めでたしめでたし。
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なんだこの野郎

2019-01-28 00:13:01 | 好きなことばかり
「我が家のようなレストランへようこそ。さあナンでも食べてね」
「わーい。カレーください」
「さあカレーですよ。辛いですよ」
「わー美味しげなカレー」
「さあナンでも食べて元気になって」
「はーい」
「そう。食欲のない時はナンでも食べないとね」
「ほんとに辛そうだ」
「辛いから一緒にナンでも食べないとね」
「うわーほんと辛いね」
「ほら言った通りでしょ」
「水ください」
「ナンでも食べなさい」
「ライスください」
「まあそう言わずナンでも食べなさい」
「つけものくださーい」
「水くださーい」
「サラダくださーい」
「ナンを食べなさい」
「氷水くださーい」
「ナンを食べて元気になってちょうだいな」
「スープくださーい」
「水くださーい」
「わかめスープくださーい」
「ナンを食べなさい」
「くださーい。メニューくださーい」
「ナンを食べなさい」
「すみませーん」
「ナンです」
「ごはんとみそ汁くださーい」
「ナンを食べなさい。好きなだけ食べなさい!」
「わー変な店きちゃった」
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あけましておめでとうございます!

2019-01-27 20:42:40 | 自分探しの迷子

 滞空時間の長い12月に浮いているのが好きだった。みんながきれいに見える。「忙しい、忙しい」そんなことを言いながら、餅をついたり、部屋を片づけたり、愛を追ったりしている。今までだって時間はあっただろうに、急に世界が始まったように(終わってしまうように)躍起になっている、そんな人々を見ているのが好きだった。前はもっと長い時間、12月の中に浮いていられた。そんな風に僕は思う。(もっと、色んなことをできたんだ)「よいお年を」なんて挨拶をしたり。だけど、そんなことを言い始めたらきりがない。そいつは危険な挨拶に違いない。「よいお年を」会う人会う人みんなにそれを徹底することができるのか。あるいは、それを適当に使い分けるのか。そんな器用なことが僕にできるのか。それはとっても疲れることじゃないか。「よいお年を」だいたい、よいわるいって誰が決めるのだ。ずっと前なら、滞空時間の長い12月の中に浮いていられたように思う。もう一度、昔のように飛んでみたい。時々、そのようなことを思う。12月の高揚の中に浮き止まったままで、いつもよりも一つ高い視点から、みんなを許したい。みんな忘れたい。だけど、今では、12月さえも、ほんの一瞬だ。「あけましておめでとうございます」
 いま目が合いましたよね。あれ、女は私の前を素通りして行ってしまいました。「本年もよろしくお願いします」向こうの方で、女の改まった声が聞こえます。女は神妙な顔で頭を下げています。見ていなくても私には女の姿が、腰を折る角度までもが見えているのです。できる人です。あなたはちゃんとするべきことができる。ちゃんとするべき人にはできるのです。よくできました。忘れます。もう、完全に忘れるとします。私は何も言いませんでした。おめでとうなんて大げさなことなど言ってません。いいえ、私はいませんでした。めでたいなんて露ほどにも俺は思わない。俺は暦なんかに振り回されるのはごめんだ。
 俺はいつもようにショッピングモールに歩いていく。いらっしゃいませ。(元旦も休まずに営業いたします)いや、休め! 靴屋も、書店も、カフェだって開いている。休めってんだ。こんな時に休まなくていつ休む。俺は日常に感謝を捧げながら、エスカレーターに乗って上を目指す。エスカレーターは一時も休むことなく、俺の体を上へ上へと運んでくれる。お前も休め。フードコートはいつものように開いている。いつものおばあさんが、いつもの席で、いつもと同じ姿勢で新聞を広げてくつろいでいる。いや、休め! ああ、休んでるのか。それでいい。俺は日常にエールを送りながら、コーヒーを注文する。「おめでとうございます」ああ、「おめでとうございます。よろしく……」かけられた挨拶は返すのが俺の流儀だ。そんな風に挨拶ばかりちゃんとしてたら、きりがない、とわしは思いながらも、猫に竹輪をやったもんじゃ。
 今では猫はわしのことをちゃんと覚えていて、わしの顔を見ると寄ってきて「何かくれ」と言うようになった。寄ってこない時は、お腹が空いてない時じゃ。何かくれと言われたら、わしは何かをやらねばならん。そうするまでは、猫は去らんのじゃ。最初にわしが間違えたのかもしれん。最初の接し方を間違えてこうなったのかもしれん。「よーし。お年玉じゃ」今年もよろしくしてくれんさいな。おーそうか。旨いかの。
「あけましておめでとうございます」
「あれ? 初めてだったっけ?」
 あーそうですか。随分と色んな人に会われたのでしょう。さぞかし面倒臭かっただろうな。僕は愛想笑いを浮かべながら、新年の挨拶を済ませる。(よしっ!)これでよし。もう、すべての人に言ったぞ。挨拶が終われば、お正月も終わりだ。特別な12月に向けてまた日常が始まる。
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さよならカール

2019-01-27 11:18:27 | 短歌/折句/あいうえお作文
軽はずむ
カールの足で
三毛猫が
石を蹴飛ばす
新春の道

「鏡石」


永遠を
お口に求め
マーブルの
居場所を探す
アーケード街

「エオマイア」


あんちゃんは
獣じゃなくて
トイプードル
うちの立派な
ファミリーじゃけん

「揚げ豆腐」


それにつけても
小腹が空いた
カールなき
深夜に閉じた
コンビニのドア

「そこかしこ」

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無台

2019-01-27 04:10:44 | 気ままなキーボード
ずっと楽しみに取っていた
自陣に埋めて無敵の城を構築する
中盤に放って制空権を確保する
ぎりぎりまで引きつけて
大将を一気にしとめる

掌と読みの中で
あふれるほどに
シャッフルしながら
ずっと楽しみに取っていた
主役を張る金や銀
とっておきの飛車
一枚一枚拾い集めてきた歩
数え切れないほどの歩

「先生。きれいにしておきましたよ」

離席している間にそれはきれいさっぱり片づけられていた
落ち葉を一掃したあとの道のように
駒台の上には何もなくなった

「もういらないだろうと思いまして」

彼は立派に自分の仕事をしただけだ

「ああ」

責めも感謝もしていなかった
五段はあぐらのまま窓の外をみた

もう一度風が吹いたら……

振り駒からはじめようか
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ごきげん将棋

2019-01-26 10:47:39 | 短歌/折句/あいうえお作文
雨降りの
軌道を読んで
振り駒が
高く弾けた
イギリスの空

「秋舞台」


明日を読み
棋士が歩いた
振り飛車の
旅路にみえた
一面の熊

「秋舞台」


AIが
駒をさばいた
まな板に
振り飛車党の
タコの吸盤

「エゴマ豚」


甘党が
気分を変えて
振り飛車を
試すは四間
いやごきげんだ

「秋舞台」
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遥かなるアルデンテ

2019-01-25 04:23:47 | 短歌/折句/あいうえお作文
アルデンテ
規定の12
分を待つ
畳の上の
イタリアンカフェ

折句「秋舞台」短歌
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消しゴムの旅

2019-01-25 01:26:08 | リトル・メルヘン

 昔々あるところにFの好きなおじいさんがいました。Fの駒音。Fの角出。Fのシステム。Fの文体。Fの端攻め。Fのお城。おじいさんはFの本を読み棋力の向上に努めました。好きと上手は別のもの。おじいさんは次第に自分の才能に疑問を持ち始めました。好きであることを疑うことは思いつきもしませんでした。その内におじいさんはまたFを好きになりました。Fの駒音。Fの角出。Fのよそ見。Fの文体。Fの端攻め。Fの地下鉄飛車。Fの注文。Fの消しゴム。
 消しゴムの回転を真似て詰将棋にも挑戦しました。最初は思うようにいかなかったものが、繰り返し練習する内にみるみる回転速度が増し、消しゴムはおじいさんの手の中を生き生きと回りました。まるで拡張されたおじいさんの身体の一部のようでした。おじいさんが命じるよりも早く、消しゴムは率先して回り始め、おじいさんが一休みした時でも、いつまでも高速で回り続けることがありました。
 けれども、消しゴムの回転とおじいさんの読みのスピードは、残念なことにつながってはいないようでした。7手の辺りに読みの壁があったからでした。おじいさんは気分によって消しゴムを数種類使い分けました。そのために、おじいさんは、いつでもポケットの中に幾つかの消しゴムを持っていたのでした。頭の中にFの問題を浮かべながら、ポケットの中の消しゴムに触れていることもありました。そうして好きなことを考え続けているといつの間にか時間が流れすぎています。
「お腹空いたな」
 おじいさんは消しゴムに乗ってF井寺までうどんを食べに行きました。
 めでたし、めでたし。
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もう知らない

2019-01-24 22:55:37 | リトル・メルヘン

 昔むかしあるところにおじいさんがいたのだけれど、今はいませんでした。
「御免ください」
 旅人はおじいさんの家をたずねました。
「おじいさんは今はいないよ」
 と奥から若者が出てきました。
「おじいさんには世話になってね」
 と言う若者は他の惑星から来た凄い男でした。
「今まで数え切れないほど地球のピンチを救ってきたし、人々から感謝もされてきたけれど」
 若者はもう十分だという顔で、空になった缶を右手1つで握りつぶしてしまいました。
「これ以上こんなところにいたら自分が駄目になってしまう」
 つぶれた缶を投げ捨てながら若者は言いました。
「地球はどうなるんだ?」
 旅人は、こんなところなんて言う奴はとっとといなくなってしまえと内心思いながらも、一応問いかけてみました。
「知らんがな」
 若者はそう言い捨てると飛んで自分の星に帰っていきました。
 めでたしめでたし。
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