折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

科学忍者隊

2010-11-30 19:01:43 | ショートピース
「ガッチャマンは何人ですか?」男は問うたが、人々は「何なんですか? あっち行って」という顔をするだけで誰も答えてはくれないのだった。「ガッチャマンは何人ですか?」そして、5人目の乗客(それはおばあさんだった)がようやく言葉を返した。「はい。抹茶町は次ですよ。」 #twnovel  

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12色の窓

2010-11-28 21:49:35 | ショートピース
夕暮れの街を歩けば、どこかの家から野菜炒めの良い匂いが初秋の風に乗って漂ってくる。12色のクレヨンを惜しげもなく使って描いた鮮やかな野菜たちの姿に、うっとりと吸い寄せられるように街角の小さな窓に足を止めて中を覗き込むと、お婆さんが顔を出す。煙草屋のお婆さんだ。 #twnovel  

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魔法の左足

2010-11-27 18:39:35 | ショートピース
立ちはだかる無数の黒い壁を前にして、ドクターは左足を振り抜いた。ボールは壁にぶち当たり、ぶち抜いた。血が踊り、細胞が驚き、魂が震えた。病魔は完全に吹き飛び、サポーターの歓喜と祝福の渦に包まれた。「ありがとう」。家に帰ると少年はドクターを真似て左足を磨き始めた。 #twnovel  

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落葉犬

2010-11-19 21:57:24 | ショートピース
さささささと誰かが後をついてくる。さささささ。ぴたりと歩調を合わせてついてくる。振り返ると誰かがついてくるのではなく落葉が足早に遠ざかってゆく夜だった。さささささ。音は私の足元についている、風に揺れ流されて巻き付いた買物袋、行き場のない子犬のようについてくる。 #twnovel

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徳川家康

2010-11-18 21:48:03 | ショートピース
壮大なスケールの中で描かれる戦国の地は、エキストラの数が多すぎて、すべての武将はその中に埋もれてしまった。「家康はどこだ?」監督が問うと、「討ち取られました!」戦の中で軽やかな答が返ってくる。「なんだと? すぐに代役を立てろ!」早急にオーディションが開かれる。 #twnovel

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小学生日記

2010-11-17 15:25:32 | ショートピース
奈良県大発掘村の地層から、アルバートサウルスの子供時代の日記が発掘された。「今日は鬼ごっこをして遊びました。ずっとヒロ君が鬼だったのでヒロ君は怒って木を折りました。ヒロ君は怒らせると超怖いです」アルバートサウルスの凶暴性を知る重要な発見として脚光を浴びている。 #twnovel


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反転愛

2010-11-13 15:55:56 | ショートピース
女は穴が空くほど好きな男の方を見つめた後で、ごまかすように反対側を向き好きでもない男の方を見つめ、その内好きでもない男は振り返り互いに見つめ合って気がつくと結婚していました。好きでもない男と打ち解けてゆく努力の中で女はしあわせを手にしました。みてたしみてたし。 #twnovel  

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アバター

2010-11-13 00:52:14 | ショートピース
「アバターか?」と警官は訊いた。完全な人間ではないので写真は使ってはならないのですと丁寧に説明すると、「未人間か?」と言って警官は免許証を返した。まあ、年寄りだから仕方ないと僕は笑いながら、「アンドロイドです」と訂正し、原チャリを発進させ裁判所の方へ向かった。 #twnovel  

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グッバイ、ファーザー 

2010-11-12 17:50:09 | ショートピース
壁に向かってボールを投げた。真っ直ぐに投げると真っ直ぐに返ってくる。投げ損なってしまった時も、広い壁は受け止めて僕の元へと返してくれるので安心して力いっぱい投げ込むことが出来た。壁は突然崩れてしまった。粉々になった壁を拾い集めて、海へ撒いた。さよならと言った。 #twnovel  

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上の空文庫

2010-11-12 15:11:34 | ショートピース
読書は遅々として進まなかった。短いお話は、ほんの数行読み進めただけで何者かによって立ち止まらされ、そこに書いてないことを想像させられてしまう。2時間で10ページも進まなかった。本を閉じ上に肘を載せている時間も多くあったし、得体の知れないため息も多くつかされた。 #twnovel  

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亡霊と女将さん

2010-11-11 20:31:45 | ショートピース
今晩は忙しくなる。もしも、首の長い幽霊が泊まりに来たら、蛇の間に通しなさいと女将さんは言った。首が三つある幽霊が来たら龍の間に、首がない幽霊が来たら亀の間に通すようにと女将さんは言ったが、夕べは結局いずれの来客もなかった。女将さんが亡くなったのは三年前である。 #twnovel  

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恋人歌人

2010-11-11 00:47:24 | ショートピース
ツイッター恋人検索をかけたところ歌人がやってきて素敵に歌を詠んだけれど、僕は何も返せずにおろおろとした。8割の大人は歌人だし、ユーザーの9割は詩人だから仕方がないことだった。僕は指折り数えて最初の5文字を思いつこうとした。「こんにちは」そうだ、まずは挨拶から。 #twnovel  


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愛と死とウースターソース

2010-11-10 15:01:00 | ショートピース
圧縮保存してあった好きな人を3年振りに解凍すると、人は元気に息を吹き返したけれど、好きは完全に死に絶えており、私は絶望して好きの後を追いたくなって、最後の晩餐のすべてにウースターソースをかけたところ、色々あったものは、みんなウースターソース味になったのだった。 #twnovel  

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揺れている僕たち

2010-11-10 00:04:28 | ショートピース
ギリギリ通れそうなところを通ろうとするとおばさんは横に寄って通れなくなり、切り返して反対側を通ろうとするとおばさんは寄り直して来るので結局、僕はおばさんさえも抜くことができないで後ろについて歩いているけれど、おばさんは邪魔をしたわけでなく揺れているだけなのだ。 #twnovel  

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いい方

2010-11-09 17:00:25 | ショートピース
「虫は殺さないし、ボケは殺さないし、人は殺さないし、時々自分を殺しすぎてしまうところはあるけれど、あの人はとてもいい人だから、幸せになってほしいです」虫もボケも人も殺さない、時々自分を殺しすぎるけれどあの人はとてもいい方のようだ。今は少しは不幸せであるらしい。 #twnovel  


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