折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

風とポメラ

2020-10-28 04:42:00 | 短い話、短い歌
風を受け書き出せば今日実になった
一首は君を示す全文
(折句「鏡石」短歌)


 扇子からは特別に優しい風が送られてくる。
「なんて優しい風でしょうか」
「特別な紙を使っておるからな」
 風の送り手は言った。
「どんな紙なんですか」
「風と親交の深い紙を特別に折ってある」
 秘密は紙の周辺に隠れているようだ。
「どう親交を得るのです? どう折るのですか?」
「何が知りたいのだ?」
「風のことです」
「根ほり葉ほりきくなー!」
 そう言って送り手は、扇子を振りかざした。
 優しかった風は厳しくなり、僕を押し戻した。


膝の上にあった
pomeraはまだ少しあたたかい
短い旅を終えて
ふりだしに戻る
このまま風化して行くの
化石となった手のひらを
誰が掘り起こすだろう


もう眠ったの
威勢はいいけど
構想がないのねいつも
おやすみ 
私も眠ろう
膝の上
少しあたたかい


風下に風の便りが満ちた時
行こうみんなの知らない街へ
(折句「鏡石」短歌)

コメント

秋の課題図書

2020-10-27 19:29:00 | ナノノベル
 あるところでは、ふーんと思い、大変感心させられました。もしも自分だったら、それと同じことができただろうか。そのようなことを思わずにはいられませんでした。またあるところでは、ははーんと思わされるところがあり、大変勉強になりました。もしも自分が同じような環境に置かれたとして、その時に実際に自分ができることを考えたら、何か気の遠くなるような思いがして、胸の奥がわさわさとすることがわかりました。なのでしばし手を止めて、お茶を飲みました。また、あるところからは、何か辻褄が合わないように思われて、今までに感じたことも全部うそだと思われました。
 それ以上先へ読み進めても無意味でした。本を閉じて自分を見つめると、風が自分に向かって吹きつけたので、その時は秋を感じることができました。いったいこれがどうして課題図書だったのだろう……。

「ちゃんと与えてくれないとちゃんと読めないよ!」
 本を持ってソムリエに抗議しました。
「いい本だよ。もっと腰を据えて読んでごらん」
 まるで僕の読みが足りないように言うのでした。
「きつねばっかり出てくるじゃない」
「そうですよ」
「きつねしか出ないじゃないか!」
「そういう本です」
「つままれてばかりで筋が通らない!」
「きつねはそういうもんです」
 僕は人生の機微に触れたかった。読書を通して成長するきっかけをつかみたかった。出会いがあり、別れがあり、はじまりがあり……。

「これははみ出し本じゃないか!」
「ふふふ」
 ソムリエは不敵な笑みを浮かべていました。
「デタラメじゃないか!」
「そうとも。お前みたいなはみ出し者には、はみ出し本で十分だ!」
「やっぱりそうか!」

(見くびられていた)

 古い課題図書を置いて、僕は落ち葉の上を歩き始めました。
 今度は、自分の足で歩き回って探そう!

コメント

Aボタンのリクエスト

2020-10-26 20:25:00 | 短い話、短い歌
 Aボタンを押すとジャンプ。
 ジャンプ、ジャンプ。
「飛べ! 飛べ!」
 飛べー! 
 ばかになった?
 主人公はかたまっていた。
 凹んだままのAボタンが、ゆっくりと戻ってくる。
「もっと押して! もっともっと!」
「飛べ!」
 主人公は眠り込んでいる。
「凝ってるの私」
 このバカコントローラー!
「そうそう! もっともっと!」


Aボタン
押してはなして
真夜中の
E少年は
明日の代表

(折句「エオマイア」短歌)

コメント

西日の千日手

2020-10-26 16:58:00 | 将棋の時間
おじいちゃんの部屋は
特別離れた場所にあり
いつでも西日の中にあった

僕が右に銀を繰り出すと
おじいちゃんは金を寄せた
ならばと左に銀を繰り出すと
おじいちゃんは金を寄せた
同じ手順が十回以上続いた

おじいちゃんは
僕に似て意地っ張りだ

攻略を図れば防御を固め
どこにも隙を作らず
突破口を与えてくれない

銀を繰り出せば金を寄せ
目先を変えてもついてくる
譲れない中盤に
僕は数え切れない銀を繰り出した

苦い顔をしたおじいちゃん

「まいった」

突然
小さな声で
負けを認めた
(まだ駒もぶつかっていないのに)
だから局面はずっと止まったままだ

おじいちゃん
お腹空いたんか

あれは千日手だったのに
コメント

創作オムレツ

2020-10-25 18:48:00 | ナノノベル
「オムレツ!」
 ナナのリクエストは絶対。
 だけど卵がない。
 スーパーはもうどこも閉まっている。

「オムレツ! オムレツ!」
 ナナのリクエストはキャンセル不可。
 パパはフライパンを見つめている。
 そこに割り入れる卵はもうないのに……。

「よし! 創るぞ!」
 パパはゼロから始めることを決めた。
 赤ピーマン、乾電池、軍手、布団、トマト、ビニール傘、白ネギ、トランジスタラジオ、ビー玉、鷹の爪……。
「確か昔習ったことが」
「あなたどうするの?」
 心配げなママの横でパパは家の隅々から集めた素材を用いて必死の創作活動に没入している。ここは手、ここは頭、ここは羽、ここは心臓……。

「ニワトリから創るのね」
「一度授業でやった覚えが」
「確かなの? あなた」
 骨組みができ、皮膚ができ、羽が震えて、瞳が光り、鶏冠が立ち上がった。
 覚えある手がリクエストをかなえるために休みなく動き続けた。徐々にそれらしく、それでいてどこか不気味な生き物を創り出そうとしていた。

「パパもうやめて!」
 立ち上がる命にナナが待ったをかけた。
「ハンバーグでいい」

「どうした? 簡単にあきらめちゃいかん」
「もういいの」
 パパは手を止めない。最初のリクエストが絶対だ。
 苦心の羽を広げてニワトリは今にも羽ばたきそうだ。窓の向こうを見つめていたニワトリの首が回って、ギョッとナナを見た。

「ニワトリ嫌い!」
「ナナ……」
 強い言葉にパパは驚いて手を止めた。

「ハンバーグがいいの!」

「そうか……」
 パパは少し残念そうだ。

「あなた。私もそれがいいと思うわ」
「じゃあ、オムレツはまた今度だな」

 
コメント

リア充不思議体験日記

2020-10-25 11:19:00 | 幻日記
 今日は朝から口を開けて朝食を食べました。また、朝が終わってからも1日を通して色々なものを口にしました。野菜を食べたりトマトを食べたりしました。チョコを食べたりアポロを食べたり、お菓子を食べたりポテコを食べたり、おやつを食べたりパイの実を食べたり、アイスを食べたりピノを食べたりしました。
 それから寝転がったり横になったりしました。ロックを聴いたりアジカンを聴いたりしました。
 それから歩いたり前に進んだりぶらぶらしたり、散歩したり街の中を移動したりしました。少しずつ景色が変わったのが不思議でした。


よくできました!
あなたの不思議体験に先生ははんこをあげます!
明日も頑張りましょう!

コメント

燃えるクーポン

2020-10-24 10:38:00 | 夢追い
 悪夢にもからっとしたものと、ねっとりとしたものがある。見ている時には恐ろしくても覚めた瞬間、「あー夢でよかった」と思えれば、悪夢も清々しい。しかし、覚めてもまだ夢世界から抜け切れないで、恨みや気がかりが半分向こうに残っている。(夢というのに納得がいかない)そういう悪夢は精神的に疲れるし、後に引きずってしまう。

 少し前は船内だった。ちょうど船の外でUFOショーが始まって、カメラを持って近づくが、ガラスに反射して上手く撮れない。外に出ようということになり、ワイングラスを持った芸能人がいて……。

 次の場面では酔っぱらいに責められている。クーポンの扱いを巡る手違いで、2人の料金に200円の差が出てしまった。半分は僕のミス、半分は仲間との連携ミスだった。動揺する中で僕は「クーポンどこいった?」みたいなことを言ってしまった。それが爆発のスイッチになった。
「出したじゃないかー!」
 酔っぱらいは怒鳴った。そうだ。クーポンはすべて僕の手元にあるのだった。
「申し訳ありません」
 酔っぱらいが爆発してから、スタッフ一同が頭を下げ始めた。ミスに関与した男は無言を貫いている。

「どうなってるんだ!」
「申し訳ありません」
 皆が詫びるために図式が定着してしまった。
 勿論、主犯格の悪者は僕だ。
「申し訳ありません」
 誰が何度頭を下げようと酔っぱらいの怒りは、最終的には僕の前に帰ってくるではないか。申し訳ないにしても、そこまでか?

 いったいいつまで頭を下げているつもりだ。
 他にないのか。もっと前向きな提案をしないのか。
「目を見て謝って」
「申し訳ありません」
 謝罪の一方通行に追い込まれて視野が狭くなっていた。
 酔っぱらいの体がまとう怒りの炎だけが世界を照らしている。
 いつまでも、いつまでも、消えない炎。

コメント

吊り橋交差点

2020-10-23 10:50:00 | 夢追い
 信号機よりもまだ高いところに細い吊り橋がかかっていて、僕らはそこに跨がって交差点を見下ろしていた。交通調査の仕事だ。
 最初は見ているだけだったが、誰かがハンカチを落としたりしたら叫んでしまう。しつこい勧誘につきまとわれている人を見ると口を出してしまう。おかげで僕らは目立つ存在だった。たすきを巻いたおかしな政治家みたいなのがやってきて、文句を言い出した。

「下りなさい! 危ないじゃないか!」
「うるせーな!」そういう仕事なんだよ。
 ずっと平気だったのに、地上のある一点を見た途端に恐怖心があふれてきた。
(高いところはだめだったんだ)
 震えている。それが伝わって吊り橋も揺れ出した。

「真ん中から下りられるかな?」
 吊り橋を端まで渡りきる自信がなかった。徐々に震えが大きくなり、もう一歩も動けそうにない。
「落ち着いて! まずは深呼吸しよう」
 隣の先輩が前向きな言葉をかけて励ましてくれる。
 その時、交差点にあおり族がやってきた。

「何やってんだ!」
 からかうような目がいくつもこちらを見上げている。
「仕事だー!」
 先輩が叫んだ。
「お前も言ってやれ」
 そうだ。恐怖に打ち勝つには怒りの熱が必要だ。
「こういう仕事なんだよ!」

コメント

【折句】夏空散歩 和歌、短歌、いかがでしょうか

2020-10-23 05:58:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
お歌などもうたくさんだ手を引いて
夏に冷たい白浜の水

(折句「おもてなし」短歌)



箱庭に夏の課題をみつめずに
滑れはあとがきまで音速

(折句「ハナミズキ」短歌)



お留守番もぬけの殻の底流に
夏が伸び行く詩情階段

(折句「おもてなし」短歌)



ハルをつれ夏空散歩道遥か
頭上には箒星の軌跡

(折句「ハナミズキ」短歌)




春は行き夏は続いた三月ほど
過ぎてみえない君らしき秋

(折句「ハナミズキ」短歌)

コメント

ポプラの詩(ポエトリー・ポメラ)

2020-10-23 05:33:00 | 忘れものがかり
詩人さん、私を打て
打ち始めれば生まれるものがある
私たちはそういう関係だ

不安と不安定から道はなる

今日が逃げ切ってしまう前に
言葉を口実にして
私を打て

寝たらおしまいだ
寝たら消えちまう

詩人さん、私を打て
ためらいの向こうには
晴れ間がみえる

触れて離れての繰り返し
それが私たちの関係

「そんなの虚しいだけだよ」

「いいえ。君の詩は麦茶なの。
国中のコンビニに流通して、
街街を流れて行く。
人人を潤して行ける」

「そんなキャッチーなものかね」

「ポップでなきゃ生きられないのよ」

「とけすぎてわからない飲み物になった。
冷やしたいだけで薄めたいわけじゃなかったのに」

「君が早く飲まないから」

「ゆっくりじゃないと意味がないよ」

「氷がとけてもう秋になるわ」

詩人さん、私を打て
1、2、3、
その先で終わってしまうことを
恐れないで

打ち始めれば奏でられる
台本にいない君を
偶然が運んでくれるから

寝たらおしまいだ
寝たらさよならだ

詩人さん、私を打て
考えるよりも速く
君の思う先に行くために

コメント

業務日誌「ヤモリ」

2020-10-23 00:38:00 | 幻日記
「さっき食堂の隅にヤモリが出ましてね」
「ヤモリ? それでどう対処しました?」
「……」
「まさかそのまま放置したのでは」
「ヤモリと言っても本当にヤモリかどうか。まるで動かなかったし、影のようでもあったし」
「いやいやいや」

チャカチャンチャンチャン♪

「いやずるいよ。ヤモリが出たのでしょう?」
「ヤモリに似ていたかも」
「言いましたよね、ヤモリが出たって。事実をねじ曲げるのはなしでしょう」
「事実というか主観ですから」

チャカチャンチャンチャン♪

「主観といういうのは信用が置けません。特に私の業務上のは」
「それで撃退もしなかった。見逃したのですね」

チャカチャンチャンチャン♪

「そうです。確信がなかったからです」
「確信ね」
「撃退するかわりと言っては何ですが」
「ん?」

チャカチャンチャンチャン♪

「ヤモリの似顔絵を描いてきました」
「暇か」
「これが私の見たヤモリです」
「これはわしじゃないか!」

チャカチャンチャンチャン♪

「まさかそんなことが」
「そろそろ森へ帰る時がきたようじゃ」
「店長、おつかれさまでした!」
コメント

あー、なんだ、そんな手か

2020-10-22 02:21:00 | 将棋の時間
「……すぎてみえない手」

 例えばそれは素朴すぎてみえない。当たり前すぎてみえない。間近にあるけれど、みることができない。みえない手を読むことはできない。
 そういう時には一定期間、目を離してみることだ。
 穴があくほどに睨みつけたからといって詰み筋は湧いてこない。時には振り出しに戻る勇気を持ちたい。
(問題が間違っているのでは?)
 一見単純な図形で行き詰まったら、問題を疑う場面も出てくるだろう。そんなケースがないとは言えない。しかし、確率的には低い。
 調子の悪い時には、単純な一手がみえないのだ。


「詰将棋慣れした人の死角」

・取る、取り返す、俗手

 詰将棋が上達するにつれて捨て駒の手筋をたくさん吸収する。鮮やかな捨て駒の醍醐味! それにばかり慣れすぎると、逆に普通の手がみえなくなってしまうことがある。
(詰将棋は捨て駒ばかりではない)
 それを理解しておかないと読者の心理を逆手に取った問題に苦しんだり、実戦でも無駄に捨て駒をしすぎて寄せを誤ることがある。
~正確な寄せとは、捨て駒(軽手)と取る手(俗手)との正しい組み合わせである。~

・合駒請求(合駒を打たせて取る手)

 実戦では当たり前に現れる合駒請求。大駒や香で王手をかけて「さあ、合駒はどうしますか」という手だが、詰将棋となると妙に泥臭く感じられる。(あるいは面倒くさい)特に実戦型の場合、意外にみえにくくなるのではないだろうか。しかし、これも詰将棋を攻略していく上で、決して避けて通れない筋である。

~合駒請求の効果…持ち駒を変える、増やす、玉位置を変える~
 合駒請求ができるのは大駒と香のみ。それが持ち駒にある場合は、視野に置こう。「もしももう1枚何かがあったら、持ち駒がある駒に変わったら……」そうしたIFを描くことも大切な姿勢となる。

~狙え! 伸びた歩の背後~
 これは実戦での応用範囲も広いが、一番安い歩の合駒が使えないということは、守備側にとって致命的弱点になる場合も多い。
 守備の歩の後ろのスペース、または底歩が打ってある筋などは特に狙い目なので常に意識しておきたい。


「手順の死角」 人間的思考の癖・弱点

 人間の思考(感覚)には癖がある。(これは個人差も大きい)
 感覚を磨くことによって、あらゆる手の中から考えなくていい手を最初から除外することができる。その働きのおかげで時間や体力を節約できるし、上級者ならばその感覚は80%以上正しい。
 しかし問題は残りの20%だ。
 基本を超えたところに正解がある場合、普段の効率的な思考にストップをかけなければならない。一連の流れの中に疑問を挟まなければならない。(優れた感覚は、厄介な先入観になり得る)

~実は一手前に好手があった~
 1つのブロックを必然の手順として、その局面が不詰めだったとする。通常はそれで読みを打ち切ってしまう。しかし、その一手前に好手があって詰むとしたら……。必然を壊す発想がないと、その一手にたどり着くことは難しい。それには「ひょっとしたら……」というIFの閃きも必要かもしれない。

~捨てた次は取り返したい、捨てた次は押さえたい~

 捨て駒は寄せを絞る手段/手筋である。しかし、駒を捨てるというのは、拠点を失うという側面がある。有効だと知っているからできるものの、捨てることに不安はつきまとう。捨てることは、どこかで取り返すこととセットになっている。拠点を手放した次には押さえたくなるのが自然な感覚(心の働き)ではないだろうか。
 捨てて、捨てて、(ここも捨てるのか!)
 捨てて、捨てて、取り返さず、(逆サイドから王手か!)
 常識的なリズム、(自分の中の)スタンダードなリズムからちょっとずれたところにある好手/妙手順というのは、なかなか発見しにくい。
 そうした意外性のある筋にも対応できるようになってくると、詰将棋のレベルは数段アップする。変化のなさそうなところにIFの目を光らせることも大事である。


「親しい仲にも礼儀あり」

 上達することは慣れることだ。
 慣れることは色々なことを飛ばすこと。一つ一つ考えていたこと、まっさらな気持ちで当たっていたことを、無意識の内にやってのけることだ。しかし、自然にできることと疎かにすることを混同してはならない。
 初めて駒に触れた時はどんなだった?
(はじめの道はどんな風に歩いた)
 どんな時も初心者の心を忘れたくないものだ。
 そして、謙虚な姿勢で盤面をみつめてはみませんか。

「お願いします」
コメント

君はロックを聴かないのだろうか

2020-10-21 03:25:00 | 幻日記
 猫が横切った残像に気を取られながら入ったタウンの通路で、ポケットティッシュをもらいそうだった。普段なら避けて通り抜けるところ、何となく受け取ってしまった。手に収まった瞬間、女はもの凄い勢いで話しかけてきた。しかし、僕はイヤホンをしていた。イヤホンをさしてロックを聴いていたのだ。だから歩を止めず歩き続けた。2、3歩行ったところで、彼女はあきらめた。受け取っておきながら、僕は聞かなかった。約束はしていない。

 ロックを聴いていた。恋をしていた

 もしもイヤホンなどしていなかったら、立ち止まって話を聞いただろう。だが、その時はティッシュを受け取ることもないだろうから、話が始まる理由もないのだ。彼女はイヤホンをした者にまで、どうして話しかけてきたのだろう。気配や勢いで足を止められると思ったのだろうか。きっと彼女は想像しなかったのだ。

 僕がまさかロックを聴いているなんて!
コメント

短歌の季節

2020-10-21 00:34:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
 近頃はどうも眠りが浅い。まだ起きる時間ではない時に、何度も目が覚めてしまう。最もよく眠れるのは、絶対に起きねばならないという理由はないが起きたいと思い、思いながらもなかなか起き切ることはできず、結局また眠ってしまったという時だ。そういう時の眠りは、少し深いように思う。そして、醒めたとしてもまたすぐに眠れそうで、ずっとずっと眠れそうに思える。しかし、その時は起きていたい時間でもあるのだ。眠るべきという時に上手く眠れず、起きていたいという時に眠れる波が訪れている。これでは理想と反対だ。

 ぼんやりと目覚めている時、小話を浮かべたくなる。
 眠ろうとして眠れない時間が続くと、話ではなく短歌や折句が作りたくなることがある。1つ浮かぶと少し救われる。そして、もう1つ作りたいと思う。その時は、短歌があってよかったと思う。(ああ、短歌の季節がきたなと思う)
 昨日は久しぶりにクリスマスの折句を作った。


編むことも気怠くなった時にただ
歌う絹豆腐の口当たり
(折句「揚げ豆腐」短歌)
コメント

黄金のゴールを求めて

2020-10-20 14:58:00 | 【創作note】
共感を求めるな
反応を求めるな
称賛を求めるな
脚光を求めるな
教訓を求めるな
感動を求めるな

これが終わったらチャーハンを食べよう
チャーハン、チャーハン、チャーハン

ただ純粋にチャーハンを求めて
言葉と向き合うことができれば

六角形の器の中に
黄金のゴールがみえる

さあ 行こう!

ショートショートを
落とせなくても

コメント