折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

かかる 

2011-08-30 04:16:45 | ショートピース
ボールを先に送り出してからその後を追おうとした瞬間、誰かの足が僕の足にかかり、僕の体はふわり宙に浮く。自由を失った体は後はただ成すがままとなって地面に落ちる。「大丈夫?」誰かの声がかかり、僕は笑顔になる。膝に新しいすり傷が生まれる。それは前に進もうとした証し。 #twnovel

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J さん 

2011-08-30 03:26:54 | ショートピース
何の音だといって驚くJさんにただ電車が発車する合図だよと告げるとぎょっとした様子だ。「黙って出ると乗り遅れてしまうからね」Jさんが納得したのも束の間、「今度は何の警報音だ?」といって驚くので、携帯電話の充電が終わった知らせだよと告げると更にぎょっとした様子だ。 #twnovel   

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チェンジ 

2011-08-30 03:07:33 | ショートピース
いつもの場所にいつものモカが見えなくなって数日たったある日、いつもの場所に見覚えのある影を見つけて近づいて行った。「おっす。もう、元気になったの?」私はモカの名前を呼びながら駆け寄っていくけれど、モカは下を向いたままだった。モカは、本当はモカではなかったのだ。 #twnovel   

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アンダーグラウンド

2011-08-26 16:06:42 | ショートピース
心待ちにしていたソロパートに差し掛かったところで先生はギターの上に絨毯を引き「休憩にしましょう」と提案し、皆がその上にお弁当を広げ始めたけれど、僕だけは絨毯の上に身を伏せて微かに聴こえる音に耳を澄ませた。「どこか具合でも悪いの?」しばらく死んだふりをしていた。 #twnovel   

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待つ子供

2011-08-26 03:59:57 | ショートピース
生憎の雨だった/歌う人々がいる/予定を持った/まとまりの中で/着飾った大人たち/レインコートの子供たち/真ん中の大人たち/華麗なステップを踏む/容赦ない雨の中で/前列の子供たち/力ない手拍子を打つ/笑顔/雨/今だけの/早く/早く/早く/「終わればいいのに」 #twnovel

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ここにいるよ 

2011-08-26 01:16:38 | ショートピース
日が落ちて、おじいさんは畑の四隅にある細木に手袋や長靴を突き刺していた。何をしているの?「こうしておくと奴らが恐れて近づかんのじゃ」長靴で?「架空の人間だからな。奴らにはこれで十分なんじゃ」すると私にも少し、人間のように思えてきた。「ほら、ここにいるよってな」 #twnovel  

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ワールドカップ 

2011-08-24 01:55:31 | ショートピース
熱く煮えたぎっていた頃もあったし、冷め切っていた時期もあった。ドロドロの状態が長く続くこともあったし、あっさりと澄んでいた時もあったけれど、いつでも自分は浮いていたものだった。今、初めて外の世界に飛び出して自分のいた世界をクルトンは知った。「カップはまるいね」 #twnovel   
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餃子の母

2011-08-22 14:49:41 | ショートピース
絶対に何にも包まれないという具と、どんなものでも必ず包んでしまうという皮が真っ向勝負をするという。わくわくする勝敗の行方が鉄板の上で燃えていたが、その時、お腹を空かせた一団がどこからともなくやってきて一本の矢を放つと、勝者はあっさりと日本のお母さんに決まった。 #twnovel

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お日様のプレゼント

2011-08-19 14:37:07 | ショートピース
集めても集めても足りなかった。明るい内にもっと言葉を拾い集めたかったけれど、気がつくと闇にすっぽり包まれている。土や落葉と同化して文字を見つけるのは困難だった。「明日にしよう」それはまだ疲れを知らない僕たちに区切りをつけるために、お日様のくれた1ページでした。 #twnovel   

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エンドロールの後で 

2011-08-19 03:16:42 | ショートピース
勲章を下げた勇者がお姫様のキスと人々の祝福に包まれる頃、エンドロールは流れ過ぎて現実の人々が一斉に席を立った。静寂の後、突如現れて祝勝会を破壊し尽くした本物のボスが勇者の死体を踏みつけながら、じっとこちらの方を見ている。周りには、誰もいない。明かりもつかない。 #twnovel   

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fly 

2011-08-12 03:02:02 | ショートピース
たくさんの傷跡を残してあいつは旅立った。その時私の視線は手の甲の一点に留まっていて、それは最後に良い思いをさせてあげるためではなく、より確実に仕留めるために時間をかけたのだった。いよいよ左手を振り下ろすとそれは無残に潰れた。赤い血が、私から盗んだ血が飛び散る。 #twnovel   

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愛読書 

2011-08-10 13:16:57 | ショートピース
一つのことが気になって追いかける。一つの理解が得られる頃には、必ずまた別の何かがひっかかり次の探求が始まるので、僕は君の中から抜け出せなくなってしまった。「少しの間、身を引くべきだ」そして、先生は僕の手から君を奪った。今、僕は英和辞典と遠距離恋愛をしています。 #twnovel   

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休業の知らせ 

2011-08-08 17:06:12 | ショートピース
「都合によりしばらく休業させていただきます」店の前に足を止めた客はしばしその貼り紙を見つめて動かない。本当は、そのシャッターのすぐ向こう側に私はずっといるのです。お客さんが来てくれるかどうか不安でただ開けることができなくなったのです。今すぐ開けてもいいのです。 #twnovel   

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少年時代 

2011-08-08 16:16:11 | ショートピース
新しい魔法を覚えた日には早速それを敵に向けて試してみたかったけれど、通学路にはスライムばかりが出てきた。「駄目よ。おじいちゃんに魔法を使っては」でも、僕はがまんできずに、おじいちゃんは死んでしまった。ごめんなさい。甦生の魔法を覚えるより早く、僕は大人になった。 #twnovel   

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冬の文法 

2011-08-05 04:53:12 | ショートピース
「3時間しか眠れなかった」と言うと彼は「あなたは眠らなくていいだって冬の間眠れるんだから」と言い、その文法は何となく熊を浅く傷つけた。自分の生活を勝手に見透かされ決め付けられたような、熊はそんな人間との暮らしに疲れまだ冬は遥か先だとしても山に戻ることに決めた。 #twnovel   

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