折句ラッシュ・クリスマス

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

再生クラブ

2019-10-17 23:28:00 | 忘れものがかり
一度だけチームに入ったことがある
僕が適当に考えてつけたチーム名は
英文法として正しくはなかった
発足当初のチームはギリギリの戦力で
リーグ戦で初勝利した日は泣きそうになった
メンバーの一人が友人を誘う形で
戦力が充実していくにつれて
僕はだんだん幽霊になっていった

「解散することになりました」
主力メンバーから知らせを聞いて
僕のチームプレーは終わった



数ヶ月して新しいリーグが始まっていた
ネットにアップされた集合写真には
解散したチームの主力の顔が並んでいた
(新しく始めたかったのかな)
新しいチームの名前は「FC……」とあった
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校長先生の話

2019-10-16 16:13:47 | 忘れものがかり
校長先生の話は長い
 
大事なことが3つあると言い
1つ目辺りであくびが出る
2つ目の途中で喩え話が始まり
途中で迷子になって抜け出せない
鴉が降り立って現実にかえる
3つ目の半ばで逃亡者が多数
 
それでもまだ
熱心に耳を傾ける生徒もいるのは
校長先生はレアキャラだから
 
節目節目の挨拶だけに顔を出し
それ以外の時間は謎
(みんなは知らないけれど校長先生の本当の正体は世界を股にかける大泥棒なのだ)
 
オチも感動もないけれど
終わることによって満足できる
それが校長先生の話だった
 
他のどんな先生よりも
愛されて、リスペクトされていた
 
ただ校長先生だけが
何のハラスメントとも
結びついてなかったから
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みんなのマスクマン

2019-10-11 05:30:28 | 忘れものがかり
ぼくはマスクマン
トウモロコシを食べる時も
ブルースを歌う時も
ヒーローと戦う時も
ぼくのセンスは譲れない
 
顔を決めるのはぼく
 
ぼくはマスクマン
ハーモニカを吹く時も
愛と平和を歌う時も
マシンガンに対する時も
デザインばぼくのマインド
 
感情をみせるのはきみ
 
ぼくはマスクマン
うたた寝をする時も
未来の自由を歌う時も
独裁者に立ち向かう時も
クールにみせたマスク
 
心を決めるのはぼく
 
 
ぼくはみんなのマスクマン
大観衆がコールする
1、2、3
さあ 行くぞ!
 
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デジャビュ・コンタクト

2019-10-10 23:42:00 | 忘れものがかり
引きずってしまうより
あったことはみんな
忘れてしまうようにした

「おはようございます」
1時間前にあったかな
そんな気もするがまあいいや
(言わないよりは何度も言おう)

「相変わらずですね」
そんな台詞は慣れっこだ
「成長しませんね」
多分それもね

近頃は似たような人が増えた

前にもこんなことを書いた
そんな気のする10月の日記は
やっぱり3月頭の日記と
まるでそっくり

色々とあって
またあなたにあった
「どうも。はじめまして」
もう何度もあったかな
そんな後ろめたいところもあるけど
(また新しい気持ちで)
そういう意味であってもいいね

(恥も感謝も)
どうせみんな忘れるのだから

やっぱりここで言っておこう

「はじめまして」

どうぞよろしく
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放課後の海賊船

2019-10-02 14:34:13 | 忘れものがかり
夕暮れの豪華客船に乗り込むと
大勢の人がくつろいでいる
 
二階へ上がると
突然そこは海賊船の中だ
 
背中の教科書を下ろした子供たち
腰を振り
軽やかにステップを鳴らし
カーテンを引き伸ばす
即興が冴えるパーカッション
流行のギャグが頬を張る
 
ゴミ箱の前に散らばった
弾丸と紙屑はいつまでも手がつけられない
治安をコントロールする
クルーは誰一人上がってはこない
 
ここでは子供たちの自由が何よりも尊重される
 
闇が巨大な船を呑み込んでなお
宴の勢いは衰えをみせることはない
 
あなたが放課後への階段を上るなら
広い心を持っていくこと
海のように広い心を持って
上がるがよい
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ドクター猫

2019-09-13 02:23:22 | 忘れものがかり
「30分押しとなっております」
 
ファイルを手にして待合所に行くと
100人程の患者が既に待っている
 
これはとてもじゃないぞ
 
複数の科が混在しているにしても
人が多すぎる
 
窮屈な長椅子が
果てしなく伸びて見える
いつまでも名前を呼ばれないまま
時間は過ぎていく
 
小さな子の泣き声
1時間経っても人の多さは相変わらず
みんな昼ご飯食べないの?
 
耐え切れなくなって
僕はpomeraを開いた
 
ボランチとサイドハーフが
議論を交わしている
ドーナツの穴の向こうに
もう一つの居場所はあった
 
つながるパス
優れた戦術
心強いチャント
見えないゴール
ファールを告げる笛
13時
 
アナウンスの声が
がたつくpomeraを閉じさせる
 
「……さん。3、5、2好きな番号にお入りください」
 
僕はドーナツの絵を引きずりながら
2番の診察室の扉を開けた
 
「お待たせしたにゃー!」
 
しまった!
 
ここは猫の先生だ
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ハーフタイム・ジャーニー

2019-08-23 08:27:00 | 忘れものがかり
ハーフタイムに入ったら
羽を伸ばしてヨーロッパへ行こう

30秒で国境をまたいで
5分間のティータイム
3分で写真を撮って
5分で買い物を済ませて
30秒で国境をまたいで

10秒でホットドッグを手にしたら

さあ あらためて 
イニエスタをみよう
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おじいさんの焼き飯

2019-08-22 22:45:00 | 忘れものがかり
心身が疲れて始めることができない
疲れることは傷つくことだ
おつかれさまを繰り返す度に
随分と傷ついてしまった

何かの助けが必要な時に
おじいさんは焼き飯を作ってくれる

箸を持つことは億劫だけど
スプーンくらいは持つことができる
辛くとも一口をすくって口に運ぶ

「ああ。おじいさんの焼き飯だ」

ぎこちなくとも一口をすくって口に運ぶ
一口を味わうと自然ともう一口へと動く

「ありがとう。おじいさん」

おじいさんの焼き飯を口に運びながら
僕は少しずつ自分を取り戻していく

「ああ。やっぱりこれなんだ」

一口一口おじいさんの手による
作品を取り込みながら
僕は少しずつ元気になって行く

「ありがとう。おじいさん。思い出したよ」

一口一口
ほんの小さな仕草を繰り返しながら
生き物は生きていくんだね

「おじいさん。僕はもう大丈夫だよ」
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あられ花火

2019-08-13 04:17:00 | 忘れものがかり
「あられが好き」

あの子は言った
今ならその気持ちにも
寄り添うことができそうだ

一口あられを口に放り込む
一瞬の旨味を残し消えていく

なんて儚い 

夏空に広がる打ち上げ花火みたい
(ああ、生きてるんだ)
その刹那に生を実感するようになった

「あられが好き」

あの子はそう言って
僕の前から去っていった
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チャーハン・オードブル

2019-08-05 03:24:00 | 忘れものがかり
肉を回り野菜を回り
ごはんに帰ってくる
そんな道を通れば
どこかで迷いどこかで誤る
だからチャーハンがよかった
純粋に一気にかきこめる
チャーハンが一番だった



昼は焼きめしが好きだった
腕力が衰えてから
母は焼きめしを作らなくなった



キッチンにフライパンがあった頃
僕は自分で焼きめしを作った
最初に作ったのは
姉が教えてくれたシーチキン焼きめし



パスタが自慢の店の壁に
焼きめしを見つけた
カレーを挟んだ
三行下には
えびピラフ



初めて訪れる
町の中華屋さんで
a定食を頼んだ
(本当はチャーハンがよかった)
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思い出の味

2019-08-05 03:17:00 | 忘れものがかり
3日がすぎて
あの味のことが思い出された

普通のラーメン
ちっちゃなチャーシューにもやし
平皿に盛られた白ご飯
小海老の天ぷらに塩が添えられ
端っこのささやかなキャベツには
サウザンアイランドドレッシング

750円の日替わりランチ
6月の酷い雨の日に
町の中華に駆け込んだ
木曜日
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本は読まない方がいい

2019-07-24 15:59:49 | 忘れものがかり
本を閉じるのが好きだった
閉じた瞬間
現実の世界が帰ってくるが
意識の半分は本の中に残っている
そんな宙ぶらりんが心地よい
 
 昼休みに学校を抜け出して
 異世界に迷い込んでいる
 帰ることは帰るけれど
 そんなに急いで
 帰らなくてもいい
 無理をして
 帰らなくてもいい
 こっちが楽しければ
 こっちでもいい
 あちらに本当の世界が
 (もう一つの世界)
 あると思えれば心に余裕が持てる
 
読み終えてしまえば
そこにある世界は閉じてしまう
 
読まずにおけば
ずっと大丈夫
 
いつでもいつまでも
 
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シナプス

2019-07-12 04:13:09 | 忘れものがかり
「そこを通らせてください」
あなたは穏やかに言った
 
 通りたいの?
 そのために
 自分は何ができるだろう
 
(そこをどけ!)
もしもそう言われていたら
僕は動けなかっただろう
 
誰かの希望のために
自分の選べる答えを
導き出す
    0.5秒
 
あなたは
楽しい想像の時間をくれた
 
「どうぞ」
 
僕は自ら一歩動くことで
あなたの道をひらいた
 
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キスもできない

2019-06-24 01:35:39 | 忘れものがかり
一歩も動けないまま
ずっとソファーの上にいた
抵抗し難い魔力が
まぶたを重くし
全身を縛りつけていた
 
「ちゃんとしなきゃ」
 
奮い立つ魂のレジスタンスが
魔の手をすり抜けながら
淀んだ部屋の中に
細い人間の道を照らした
 
「正しい場所で眠るんだ」
 
公正なベッドの上に
ようやくたどり着けた
 
誰からも許される眠りが
与えられた時
もう完全に醒めていた
 
「僕はどこへ行ったのだろう」
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牛になった先生

2019-06-24 00:45:34 | 忘れものがかり
初めて牛歩戦術を見た時は
ショックだった
考え得る戦術があのようなものしかないのか
 
子供の目から見ても
優れた戦術には思えなかった
まとまって皆が同じ戦術をとっているのだから
その場においては最強と思われているのか
それが賢い大人たちの出した答えなのか
 
なるべく前に進まないように頑張りながら
それでもゆっくりゆっくり前に進んでいく
そんな消極的な前進が何かを決めるため
何かを決めないための有効な戦術なのだ
 
壊れた秒針のように挟まった昆虫のように
同じところに止まっているようで
よくよく見ればゆっくりとある方向に進んでいる
 
一度入ったら決して逆行することは許されない
得体の知れない輪の中に取り込まれた
大人たちの横顔がどこか悲しげに見えた
 
 
「嫌だよー!」
 
本当は行きたくなかった
保育園へと引っ張られる強い力
 
大きな手をふりほどくことは
 
とてもできなかった
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