じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

藤沢周平「闇の梯子」

2019-09-25 19:21:42 | Weblog
☆ 藤沢周平さんの「闇の梯子」から表題作を読んだ。江戸の庶民を題材にした物語。文のうまさは言うまでもない。

☆ 板木師、清次。活版印刷やオフセット印刷などなかった時代。謄写版さえなかった時代。印刷は彫師の手に委ねられていた。清次もそんな一人だった。修行を積んで独立。生活は豊かではなかったが妻と共に、将来を夢見て暮らしていた。かつての同僚、酉蔵が来るまでは。

☆ 酉蔵は清次を訪ねてはカネを無心するようになる。人の好い清次も度重なる要求に遂に堪忍袋の緒が切れるが、極道の道に入った兄の面影を酉蔵に感じ、なかなか手を切れずにした。

☆ そんなとき、妻・おたみが病に倒れる。

☆ 保険制度などない時代。治療費にカネは底をついていく。清次の前に「闇の梯子」が現れる。兄や酉蔵のように、この梯子を彼も下りていくのか。

☆ 「なるようにしかならないときってのも、世の中にはあるんだから」(115頁)

☆ なぐさめにかけられたこの言葉、辛い心に突き刺さる。
コメント

伊坂幸太郎「死神の精度」

2019-09-25 17:24:16 | Weblog
☆ 伊坂幸太郎さんの「死神の精度」(文春文庫)から表題作を読んだ。

☆ ある人が寿命まで生きるのか、それとも不慮の死を遂げるのか、それは死神が決めるという。死神にとっては散髪屋のオヤジ同様「仕事だから」、「可(つまり死を実行する)」なのか「見送る」のか、淡々とこなしているという。

☆ 今回の担当は22歳の女性。電器会社のクレーム処理係。

☆ 彼、つまり死神はいつもと同じようにさりげなく彼女に近づき、調査を始める。

☆ さて、彼の下した判定は・・・。

☆ 死神にとっては人の死などどうでもいいらしい。しかしその「死」を通して、「生」が見えてくるから不思議だ。懐かしいところでは、映画「生きる」(1952年)、胃がんで死を目前にした役所の市民課長が「生きること」に目覚めていったね。

☆ 死神と言えば、映画「シティ・オブ・エンジェル」(1998年)。死神というか死を告げる天使の話だった。ニコラス・ケイジとメグ・ライアン。砂浜のシーンが印象的だった。

☆ ともかく、白い手袋をはめた人に声をかけられたら気をつけないと。その人(?)がミュージックを好きならなおさらだ。
コメント

道尾秀介「ケモノ」

2019-09-25 10:51:23 | Weblog
☆ 道尾秀介さんの「鬼の跫音」(角川文庫)から「ケモノ」を読んだ。ホラーサスペンスとでも言おうか、好き嫌いが別れる作品だと思う。こういう作品て怖いもの見たさで読み進めてしまうから不思議だ。

☆ ふと転んだ拍子に壊れた椅子、その足に彫られていたメッセージ。その謎を追って「僕」は40年以上も前の一家惨殺事件にたどり着く。話の展開はかなり強引だけれど、読んでしまうのは「僕」の切羽詰まった雰囲気のせいらしい。

☆ 事件の謎が解き明かされ、最後に大きなオチがある。読み終わって再び前半部を読むと、背筋が寒くなる。
コメント

映画「憑神」

2019-09-25 00:16:32 | Weblog
☆ 「読んでから見るか、見てから読むか」なんてキャッチコピーが昔流行った。浅田次郎さんの「憑神」(新潮文庫)を読み始めたら、なかなか面白いので、先走って映画「憑神」(2007年)を観てしまった。

☆ 時は幕末、代々将軍の影武者を務める家柄の次男坊・彦四郎、養子に出るも子どもができるやうまい口実をタネに離縁され、再び実家に居候の身になった。

☆ ふと転んで出会ったお稲荷さんのお社に祈願をしたところ、神々に憑かれることに。よりにもよって、貧乏神、疫病神そして死神というからたまったもんだじゃない。彦四郎、持ち前の生真面目さでこの難をどう乗り切りますやって作品だった。

☆ 彦四郎役には妻夫木聡さん。主題歌は米米クラブの「御利益」。サビはどこかで聴いたことがあるような・・・。
コメント