じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

ドキュメンタリー「連合赤軍の崩壊」

2019-09-19 23:17:17 | Weblog
☆ 「ニュードキュメンタリードラマ昭和 松本清張事件にせまる」(1984年)から「連合赤軍の崩壊」を観た。制作はテレビ朝日。

☆ この時代のドキュメンタリーは面白い。「あさま山荘」「リンチ殺人事件」が1972年だから、それからおよそ10年後に事件を総括した作品。当時は民放でもこうした作品ができたんだね。制作サイドのジャーナリストとしての気骨を感じる。

☆ 安田講堂が落城し、急速に学生運動が冷めていく時代。先鋭化していった一部のセクトは武力闘争をめざしていく。首相官邸への攻撃を目論んだ赤軍派が大量検挙された背景には公安の内定があったんだろうね。

☆ それにより有力な指導者を失った赤軍派と革命左派(京浜安保共闘だったかな)。集団リンチの背景には、セクトの合同による文化の違いもあったんだろうね。結局は、少数化し「あさま山荘」へと進んでいく。番組が「連合赤軍の崩壊」と根付けた意味合いがよくわかる。

☆ 松本清張さんは、当局が一連の動きを知っていたうえで「放置していた」と指摘されていたが、鋭い見方だと思う。国家権力(当時の政権、あるいは警察機構)のしたたかさ、強さを感じた。彼らに言わせれば学生運動など幼稚な革命ごっこだったのだろうね。

☆ それでも1995年の「サリン事件」はさすがに肝を冷やしたのではなかろうか。2001年の「同時多発テロ」、テロではないが「阪神・淡路大震災」「東日本大震災」など、振り返ってみればわずか数十年のうちにいろんなことがあったなぁ。

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松本清張「火の記憶」

2019-09-19 17:39:44 | Weblog
☆ 「松本清張傑作短篇コレクション下」(宮部みゆき責任編集、文春文庫)から「火の記憶」を読んだ。

☆ 以前に別の短編集で一度読んでいるから再読になる。短くても松本清張の作品はワクワクする。

☆ ある女性が結婚を決意する。相手の戸籍を見て兄が渋い顔。相手の父親が失踪したことになっている。そうネタ振りをしておいて、次にその結婚相手の男の物語へと続く。

☆ 男には父親の記憶がない。ただ何か見知らぬ男の記憶が残っている。彼は謎をめぐってかつて居住した九州まで赴く。すでに多くの時間が経過しているので、関係者は亡くなり、生存していても詳しいことはわからない。無駄足だったと落胆、ところが帰路の車窓から見たぼた山の風景、赤く染まるその風景を見て、彼は自分なりの結論を得る。

☆ 男がたどり着いた結論が正しいのかそれは判らない。一つの推論に過ぎない。

☆ 妹の結婚に渋い顔をしていた兄も、事情を推察し、結婚を快諾。妹に手紙を送る。そこには兄なりの推理が描かれていた。その手紙の末尾に記された「女の気持ちはそんなものであろう」という一言がいい。森鷗外の「最期の一句」のようだ。

☆ その言葉を受けて、その手紙を細かく裂くところ。「泰雄がどんな人の子であろうが、も早、私には問題ではないのだ」(456頁)。この言葉が力強い。

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