じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「坂道のアポロン」

2019-09-06 18:07:54 | Weblog
★ 映画「坂道のアポロン」(2018年)を観た。アニメ版は全編観ていたので、ストーリーは知っていた。

★ 横須賀から佐世保の高校に転校してきた西見薫。伯父の家に下宿するが、伯母や従妹から嫌味を言われ、居場所がない。学校でもクラスの空気に馴染めない。そんな彼が学校1のワルで先生もビビっている川渕千太郎と出会う。彼にも他人に言えない苦しみがあった。同級生で唯一彼を理解する幼なじみの迎律子を交えて、青春ドラマが展開する。

★ 昭和40年代の佐世保をどれだけ再現できるかと思っていたが、違和感は感じなかった。律子の家(ムカエレコード店)の地下室のレイアウトはアニメ通りだった。

★ アニメ版と実写版の違いと言えば、千太郎が兄のように慕う淳一と千太郎があこがれるお嬢さん、百合香との昭和枯れすすきのような恋愛劇場、それに薫が母に会いに行くシーンぐらいか。

★ 「坂道のアポロン」と言えばジャズセッションだ。

★ 文化祭の名シーン。実写版でも描かれていた。私はアニメ版の方が好きだ。実写版ではどうも空間が広すぎて、盛り上がりに欠けるように感じた。

★ 最後の再会シーンも見せ場だ。これも私はアニメ版の方が好きだ。アニメ版ではオルガンが効果的に使われていた。

★ それはそうとして実写に制約があるは致し方のないこと。薫役の知念侑李さん、千太郎役の中川大志さん、律子役の小松菜奈さん、みんな良かった。中でも、中川大志さんは原作の雰囲気をよく表していた。
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太宰治「グッド・バイ」

2019-09-06 12:18:01 | Weblog
★ 太宰治の「ヴィヨンの妻」(角川文庫)から「眉山」と「グッド・バイ」を読んだ。どちらも私小説的な感じがする。

★ 「眉山」は戦後間もなくの話。作家や画家などいわゆるクリエイターが通う「若松屋」という居酒屋が舞台。そこにちょっと出しゃばりで怪力の女性「眉山」がいた。あれこれと絡んでくるは、そそかっしく振舞うはで、「文人」仲間たちも少々辟易としていた。ところがその「眉山」が病に倒れ、どうも余名がわずかだという。居なくなってしまえば、どうも物足りない。男たちは「河岸」を変えることにしたという。

★ 「グッド・バイ」は未完の作品。表向きは編集者、しかし実際は闇商売でがっぽり稼いでる男がいた。カネはあるし優しいところもある。ルックスも良いときて、愛人の数も10人は数えるという。ところが、知人の葬儀に参列し、改心でもしたのか、闇商売から足を洗い、愛人とも別れるという。そこで悩んだのが愛人との別れ方。一策を思いつき「グッド・バイ」とキザなセリフを残して格好良く去っていくことにしたのだが・・・。

★ 太宰の自殺願望はどこからくるのだろう。心も体も病んでいたようだけれど。一人では死ねず、女性との心中を図ったのも興味深い。没落する家系や戦争に走る世相ゆえか。芥川のように自分の「将来に対する唯ぼんやりした不安」があったのだらろうか。二人とも東京帝大に入っているから、エリートゆえの悩みがあったのかも知れない。朝起きて、もし自分の才能がなくなっていたらといった不安があったのだろうか。

★ 頭が良い上に、二人ともかなりナルシストだったのだろう。
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