じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

吉本ばなな「キッチン」

2019-09-04 11:05:27 | Weblog
★ 調子に乗ってパイナップルを食べ過ぎた。最後の方で、急に舌がピリピリしだしてびっくり。病気か、食中毒か、それとも化学物質が付着していたのか、といろいろと慌てふためいた。ネットで調べてみると、どうやらパイナップルのタンパク質分解酵素とやらの仕業らしい。

★ 分解された舌の粘膜も朝には唾液によって回復されたようだ。

★ 吉本ばななさんの「キッチン」(角川文庫)を読んだ。映画(1989年版)は観たが、原作は読んでいなかった。映画では川原亜矢子さん、松田ケイジさんの初々しいカップルと橋爪功さんの女装が印象深い。

★ 「キッチン」はとてもみずみずしい作品だった。両親に早く先立たれ、祖父母に育てられた桜井みかげ。祖父、そして祖母も亡くなりいわば天涯孤独の境遇に。祖母の葬儀を終え、住んでた家も出なければならず、次の住居を探していた時、突然、田辺雄一が訪ねてきた。「一緒に住まないか」というのだ。彼はみかげの祖母と親しかったらしい。

★ 深く考えずに雄一の住むマンションを訪れたみかげ、彼の母親(元男性)のえり子さんとも気が合い、田辺家の居候になるという話。

★ 随所に新鮮な表現が輝く。「祖母が死んで、この家の時間も死んだ」(32頁)、「透明にしんとした時間が、ペンの音と共に一滴一滴落ちてゆく」(41頁)

★ 「キッチン」に続く「満月ーキッチン2」、えり子さんが殺されたという急展開に。この作品にパイナップルが出てくる。えり子さんが男だったとき、末期がんの妻(つまり雄一の母)を見舞うシーン。えり子さん(当時は雄司という名前)はパイナップルの鉢植えを持って病室を訪れたのだった。

★ 舌のピリピリを思い出しながら読み進めた。
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