ディーセントワークって？

ゆかり　　ILOが提唱している「ディーセント・ワーク」って
　　　　　　知ってる？

千津子　　なあに、それ？

ゆかり　　「人間としての尊厳、自由、均等、安全の条件で、
　　　　　　男女が生産的な好ましい仕事を得る機会を促進
　　　　　　すること」、つまり『人間らしい労働をめざす』
　　　　　　というILOの２１世紀戦略ですって。　　　

千津子　　ふーん、なるほど・・。つまり長時間労働や過労死、
　　　　　　パワハラや不平等のない、人間らしい労働ができる
　　　　　　社会にしていこうという事ね。　　　

ゆかり　　そう、この「ディーセント・ワーク」は具体的には
　　　　　　次の４つの内容をもつ仕事の事を言うそうよ。

　　　　　①人間らしい生活をおくることの出来る十分な所得
　　　　　　があること。

　　　　　②社会保障によって労働者が守られていること。

　　　　　③労働基本権などの労働者の権利が守られている
　　　　　　こと。

　　　　　④ジェンダー平等（男女平等）を実現していること。　　

千津子　　うわ～、これが実現できたらすばらしいわね！

ゆかり　　私達客室乗務員も今は、長時間不規則労働、低気圧・
　　　　　　低湿度・低酸素の機内で休憩の明示もない働き方で、
　　　　　　どんどん人が辞めていくような職場だけどね・・。

千津子　　本当に・・、「ディーセントワーク」からは程遠いわね。

ゆかり　　いつかみんなでこの『人間らしい労働』を実現させたいわね。　　　　　　

千津子　　そっか～、ILOはすごいこと目指してるのね！もっといろいろ
　　　　　　勉強しなくちゃ・・。

ゆかり　　国際的な「はたらくルール」をめざして頑張りましょうね。

明日からILO本部訪問？

美紀　　　JALの解雇された原告団が、ILO本部に行くって聞いたけど？

百合子　　そう、ジュネーブに行って条約違反の訴えをしてくる
　　　　　　んですって！

美紀　　　ILOってそもそもなあに？

百合子 　政労使の国連の機関だそうよ。　　

美紀　　　セイロウシ？

百合子　　政府と労働者と使用者、それぞれの代表で構成しているって
　　　　　　こと。

美紀　　　そうなんだ。でもILO条約は政府が批准してないと効力がない
　　　　　　んでしょ？

百合子　　それがね、批准してなくても加盟国が守らないといけない
　　　　　　「コア条約」っていうのがあるんですって。

美紀　　　コア条約？

百合子　　そう、強制労働・児童労働の禁止、平等原則、それと労働者
　　　　　　の団結の自由と尊重。この「労働者の団結」の分野が８７号
　　　　　　条約で、ILO条約の中で一番大事なものなんですって。

美紀　　　労働者は労働組合をつくって団結しないと、権利を守れない
　　　　　　からってこと？　　

百合子　　その通りよ！今回のJALの165名の解雇者の中に労働組合の役員
　　　　　　が多数含まれているでしょ？それはこの条約と９８号条約に　　
　　　　　　違反するそうよ。

美紀　　　９８号条約って？

百合子　　組合員であることを理由に解雇されたり、不利益な扱いを受けたり
　　　　　　するような差別待遇から守るという条約よ。

美紀　　　そういうのが国際条約にあるのね・・。

百合子　　客室乗務員の雇用形態による差別や、評価制度による差別なども
　　　　　　ILO条約との関係で興味あるわ。原告団には頑張ってきてほしい
　　　　　　わね・・。

美紀　　　本当に・・。JALの解雇問題を国際的にも広めていく機会にも
　　　　　　なりそうね。








　　　　

職場のいじめってパワハラなんでしょう？

美香　　今、職場のいじめがいろいろな会社で問題になってるけど、
　　　　　そのパワーハラスメントって、法律上はどう問題なの？　

圭子　　パワハラは、「職場で自分より弱い立場にある者に対して
　　　　　一方的に精神的、肉体的苦痛を与えること」を意味するもの
　　　　　だけど、「人格権の侵害」にあたり、不法行為になるのよ。

美香　　人格権の侵害？

圭子　　そう、日本の民法1条の２や、憲法１３条で「個人の尊厳」
　　　　　が保障されていて、「個人は、人間たる尊厳にかかわる
　　　　　人格的利益の主体として保護されており、その侵害は違法」
　　　　　とされてるのよ。

美香　　ふ～ん、やっぱりコンプライアンスにかかわることなんだ・・。

圭子　　仲間はずれにしたり、無視、悪口、差別だけでなく、役割や
　　　　　情報を与えない、といったこともパワハラに含まれるわ。

美香　　パワハラって、怒鳴るとか暴力をふるうとかのイメージだけ
　　　　　だったけど、差別もパワハラになるのね。

圭子　　そうよ。例えば「村八分」なども「職場における自由な人間
　　　　　関係を形成する権利」の侵害になり、違法になるんですって。

美香　　差別は？

圭子　　主観的評価による差別は、「公正な処遇を享受する権利」、
　　　　　つまり「公正評価義務」の侵害になり、労働契約法に違反
　　　　　するそうよ。

美香　　他の法律では？

圭子　　労基法1条、２条、３・４条、７条が公正評価義務を保障して
　　　　　いるのよ。

美香　　いろいろあるのね。みんなでもっと勉強して、パワハラを
　　　　　なくしていきたいわね・・。