待合室には、犬種大図鑑があるが、猫図鑑はない。Jerryを探すことにした。
ふむふむ、犬の身体の名称はちゃんと決まっているのか、じゃ、お手、はダメだな。
残念、和種は載っていなかった。
なんで鰻のコーラなんだろう。ワインセラーを覗くだけでは寂しすぎる。階段を上がり、癒されるディスプレイで一息。さて帰って自宅で昼食。秋の軽いツーリングです。
素晴らしいパスワーク。フランスの機敏なパスも素晴らしいが、オールブラックスの変幻自在の攻撃は目を見張る。
昔、プロップポジションの選手の取材をしたことがある。それ以来友人としてたまに食事をすることがある。プロップはフロントローの要。スクラムとラインアウトで、ジャンパーを支えるサポート役など縁の下の力持ちで忍耐強さが求められる。彼は寡黙で、本当にいい男だ。身体も大きく飲みっぷりも最高で、振り返ると大きなジョッキは空になっている。首を痛め、現役を退いたが、ラクビーをこよなく愛している男である。
源太郎には肉体的に絶対無理なスポーツであるが、スポーツの中ではアメラグに次いで大好きだ。
NL開催のワールドカップの前年にニュージーランドを訪れた時、オールブラックスの試合を見たかったが、残念ながらチャンスはなかった。観戦できなかったので、彼らのトレードマークのシルバーファーンがデザインされたバター缶をたくさん買ってきて、これはMihoちゃんには喜ばれた。そういえば、ニュージーランドのバターは美味しい。なぜ日本で買えないのか不思議だが、PPTがまとまったので、もう少しすれば、あのマークのバター缶がいつでも手に入るだろう。
あのバターで作ったクッキーやケーキ(Mihoちゃんお手製)は、本当に美味しい。ちょっと買いに行ってくるよと言って、もう一度NLに行ってきたい。それにしても、オールブラックスは強いなぁ。
源太郎が留守中に、カード会社から「AUTUMN-WINTER 2015/2016」というカタログ送られてきていた。いつものことだが、今回のカタログを見ていると、Mihoちゃんが「あなたの好きなタイプだわね」という。それは否定しないが、しっかりとしたファッションのカタログ。値段は別冊に小さな写真とお値段が書かれている。おっと、この金額はルピアか間違っている。こんな桁は勘定できない。
お値段は関係なく、プロの写真家の写真は実に綺麗だ。送られてきたカタログ写真から気に入った写真をスキャンさせてもらった。怒られそうなので、カタログの表紙はちゃんと掲載します。この写真の版権はあくまでカタログ会社です。見るだけですよ。
一応建前で、カタログの表紙です。
じゃここから、ベストショットをご覧あれ。Laura良く見なさいよ。おまえはちょっと太りすぎ娘だからね。
という、結末でした。本当にプロには脱帽。でも、源太郎は楽しませてもらいました。
昨日からの雲が徐々に去って、富士山はやっと姿を見せた。
初冠雪の雪は、北東よりやや東側に残り、南東斜面は消えている。
太郎坊付近は、紅葉がピークに達しているが、南側には積乱雲が上がり、夏の雲のよう。そして、秋特有の1500から2000m付近に水平の雲がたなびいている。ところが、上空を見ると不思議な雲の穴がある、その奥は青空だ。これは異次元の空間を結ぶタイムトンネルか、ブラックホールだ。
広角レンズ一本で、撮影した写真です。ブログ写真のアップ容量制限で大きなサイズを掲載できません。少し残念ですが、朝の上高地の空気感が伝わればいいなと思う。レンズはEF17-40mm f/4L USMです。
深夜2時ごろから、Jerryが淋しくなり、泣いているので、結局起きて相手をして、あいつは今爆睡している。Mihoちゃんが、「あなた、お願い」と言って、結局リビングで、小さい音でこのCDを聞きながら、このブログを書く羽目になっている。信州で撮影した写真をMACに取り込んだり、まあ、仕方ない。MihoちゃんとLauraは爆睡中。今横にEmmaが遊びにきた。
話を戻してこのCDには、彼女の歌のうまさをじっくり味わえる曲が多い。
Un'estate fa
Mi parlavi adagio
Mente
Over The Rainbow
E penso a te
La canzone di marinella
などなど。間もなく夜明けがやってくる。
公園前のホテルのロビーは、天井が高く、通りに面した窓はショーウィンドウの様に大きなガラス張りになっている。ロビーに源太郎は降りて来ていた。約束の時間にはまだ間がある。ロビーの中央のバールで、グラスビールを頼み、カウンターで飲みながら道路を渡り公園に向かう人波を眺めていた。
観光客のグループは必ず一人がマップを持ち、指を指し仲間を誘導している。そして指の方向には、黄金の塗料に輝く、一度見れば、もう結構という像がある。なんて音楽家だったか、どうでもいい事だった。ガイドブックに掲載されたその像の前に多くの人垣が出来て、落胆の声が聞こえる様に思えた。シンガポールのマーライオンや、札幌の時計台の様に期待を挫いてくれる。それでも、高知のはりまや橋ほどひどくないので、とホフォローしても事実は変わらない。
二杯目のグラスビールがなくなった頃、絵理香はロビーに降りて来た。すでに約束の時間は過ぎていた。
「お待たせ。待った」
「いや、待つ気はないよ。そろそろ出掛けるところだった」
「いきなり嫌みなの。15分遅れただけじゃないの」
「電車なら、すでに出発だよ」
「ここは、日本じゃないし、電車は何時も遅れているでしょ」
こいつ、「ごめんなさい」がなぜ言えないと思いつつ、源太郎はカウンターにチップを置いて振り返った。
ドレスアップした絵理香は、ドキっとするほど美しい。
「時間掛けてこの程度かよ。だったら、さっきの女性を誘った方が良かったかな」源太郎はその気持ちがばれないようにあえて言葉を変えた。
「あらそうなの。かわいいでしょ」と身体を半分捩り、ロングスドレスの斜め後ろの腰の線を源太郎に見せた。彼女の言う「かかわいい」という表現は理解できないが、本当に綺麗だ。そして、アップにした黒髪が長身の彼女を引き立てている。源太郎は改めて絵理香を年甲斐もなく、いい女だと思った。
「さあ、行こうか」入り口のドアが開き、源太郎にエスコートされ、彼女が表に進むと、ホテルマンはタクシーを車寄せに誘導し、車のドアに手を添えて、絵理香を乗り込ませた。絵理香は、スカートの裾を気にしながら、長い綺麗な足を車内に収めた。源太郎は運転手に「Loca」という店の名前を告げると、直ぐに車は走り始めた。
店は近いが、ロングドレスの彼女を歩かせることなどできない。そして程なくして、車は白を基調とした店の前に止まった。
車から出てきた絵理香は、店灯りに照らされたように一際輝いて見える。通行人は立ち止まり彼女に視線を向けているのがはっきりわかる。彼らは皆、絵理香を「綺麗だ」そう思っているに違いない。
予約をしていたが、席の希望を告げていない。智子ときた時は、窓際から二つ目だった。店のオーナーは、絵理香を見て、樹々がみえる特等席に案内し絵理香の椅子を引いた。絵理香はドイツ語でなく「Merci beaucoup」とオーナーに微笑みながら答え、席に座る。店の中でも視線が痛いほど絵理香に注がれている。焼き鳥の彼女とはまったく別人になっている。そして、女優のように、立ち振る舞いがこなれているのに見とれていると、「何か」と言う顔をして絵理香は源太郎を見た。絵理香は、「私の本当の姿がわかったでしょ」と言いたげに微笑み返した。この時、源太郎の敗北は決定的になった。
ワインが運ばれ、オーナー自らサービスに努めている。
「あなた、ステキなお店ね」「ああ」
上機嫌な絵理香を見ていると、源太郎は不思議とそこに智子がいる様な錯覚に陥った。そして、「あなた」と言う絵理香の声さえ、智子の様に思えた。
「何を考えているの。奥様との思い出の店だから、その時の事考えていたんでしょ」
絵理香は、グラスを掲げて、源太郎を現実に戻そうと思ったが、それ以上、深入りはしなかった。
「すまん。ちょっと考え事していた」
「いいのよ。私、女優になった気分。さっき、通りすがりの男の人が、手を振ってくれたので、小さく、グラスをあげ、挨拶したの。私、魅力的なのかな」
「ああ、綺麗だよ」と源太郎は正直に答えてしまった。絵理香はその言葉だけで、思い出に浸っている源太郎のすべてを受け入れられると悟り、「ありがとう。うれしいわ」と素直に答えた。
ファドの店は近い。「大丈夫か」と絵理香の手をとり、石畳にハイヒールが取られる事がない様に源太郎はサポートに徹した。絵理香は時折、強く握り返し、バランスをとっている。そういえば、手など握った事も無かったし、こんなに近く彼女と接した事など無かった。
店に入ると、源太郎は女将に挨拶すると、彼女は懐かしがり、柱脇のプライベートが確保できる席に案内した。そして、飲み物が運ばれて程なくすると、店の計らいで、Barco Negro と言う名曲の歌が始まる。この曲は Amalia Rodriguesの歌で、智子が好きな曲で、源太郎がこの地で初めてファドに触れた曲だった。
ファドは暗い。酒蔵のようなこの空間に、悲痛な心の叫びがつたわってくる。隣の国なのにスペインのフラメンコに比して、ポルトガルの曲はあまりにも物悲しい。そして、ギターラの響きがその気持ちをさらに高める。源太郎は元々タンゴが好きだったが、智子に教えられたファドは智子と同じように好きになった。
絵理香は、一言も発せず、歌い手の絞り出す声を聞いている。その目に、テーブルの蝋燭の炎が反射していた。絵理香はそっと、源太郎の手を握り、源太郎もそれを許した。
お断り、「この文章は、架空であって、実在しない」ここを強調しないと、Mihoちゃんの角が伸びる。という事で、スタート。
七 河の話とファド
源太郎は、川が好きだ。と言っても、日本のような急流ではなく、ゆったりとした河がいい。このViennaには大河のドナウ川が流れている。「このドナウ川はドイツ語表記で「Donau」と書くが、スロバキア語ではドゥナイ Dunaj、ハンガリー語ではドゥナ Duna、クロアチア語ではドゥナブ Dunav、ルーマニア語ではドゥナレア Dunǎrea、ブルガリア語ではドゥナフ Dunav、ロシア語ではドゥナイ Dunai、そして、英語ではダニューブ Danubeと書く」(Windowsで読まれると文字化けが有るかもしれません)なんて話を智子に話しながら岸辺を散歩している。でも智子は時々相づちをするが、まったく聞く気はない。それでも、聴いていないのではなく「上流はなんて川なの」なんて質問するから、源太郎は得意になって講釈を続けている。智子は岸辺の周辺の景色を楽しみ、母ときた思い出の地を感じている。
「この河は、ドイツ南西部のシュワルツワルトに源を発して、ウルム,レーゲンスブルクを経てパッサウ付近でオーストリアに入るんだ。そして、リンツ、ウィーンを経てスロバキアのブラチスラバにいたるよ」
「へえ、スロバキアに流れるの」
「ああ、で、ここまではドナウ上流部と呼ばれていて、いろんな支流があって、右岸にレヒ川、イーザル川、イン川、エンス川がある。イン川は前に話したよね。インスブルックを流れているんだ」
「あのオリンピックが開催されたところよね」
「ああ。そして、左岸にナープ川、モラバ川が流れ込んでくる。」
「ねえ。左岸て、左側よね」
「違うよ、上流側から下流を見て左側。そう覚えないとダメだよ」
「そう言ってたわね」
「そしてね。スロバキアのブラチスラバの下流でドナウ川は三つに分枝するんだ。ここからがややこしいんだ。本流はスロバキアとハンガリーとの国境を流れ、バーツ付近で南に流れの向きを変え、ブダペスト、ドゥナウーイワーロシュ、モハーチを経てクロアチアの国境を流れる。そしてね、オシエク付近でドラウ川、ノービサード付近でティサ川、ベオグラードでサバ川を次々に合流したのち、ルーマニア国境をなすカザン峡谷に入るんだ」
「ややこしいわね」
「その峡谷入口のバジャスまでがドナウ中流部と呼ばれるんだ。その下流で難所として知られた鉄門を過ぎ、ブルガリア国境を東に流れを変え、ルーマニアのカララシ付近でさらに向きを変えて同国東部を北に流れ、ガラツから東にまた向きを変え、ウクライナ国境から黒海に注ぐんだよ」
「良くスラスラでるわね。そのくらい単語が分かるのに、何で英語が苦手なの」
「お前は、お母さんがイギリスだろ。俺だって、イギリスに生まれれば、スラスラはなせるよ。残念だけど、日本人だからね」
「失礼ね。私も日本人なのよ。勉強が嫌いだったと言いなさいよ」
智子は何時も、この話題に誘導して、源太郎の河の解説を終わらせた。
「あなた、Viennaで何が思い浮かぶの、川以外で」
「ウィンナソーセージ(Vienna sausage)かな。ウィーンでつくりはじめられたと伝えられたからでしょ」
「バカじゃないの。それはそうだけど。まったく夢ないんだから」
「それぐらいしか、浮かばないよ」
「あなたの生まれた年に、第三の男というイギリス映画あったでしょ。第2次世界大戦直後のウィーンを舞台に、謎の男をめぐるミステリーが展開するあれよ。まったく文化レベルが低いんだから」「今夜は何処で食事するの」源太郎は話題を変えた。
「今夜は、ファドを楽しみましょうね。すごくいいお店よ」
「ファドって、ポルトガルの暗い音楽か」
「ええ、あなた、きっと気にいると思うわ」
「わかった、ところで、明後日行くザルツブルクはイン川の上流のザルツァハ川が街を流下している。そこは綺麗だぞ」また源太郎は川の話しに切り替えた。智子は、呆れながら再び聞き役に徹した。
※寝てしまった。大宮から記憶がない。
これから信州を後にします。
一連の信州の雰囲気を再度。携帯写真で
アップします。
この寒さだが、浴衣一枚。寒くないのだろうか?
喫煙所で仕切りの親方と言葉を交わした。やっぱり、寒いですよと、言葉が返って来た。ちょっと散歩に出かけることにした。気持ちがいい。