Jerry Emma Laura Piano

Mina, Dalida, Barbara, Laura, Lara....美人大好き! あっ、Mihoが一番好き

文字の傾き

2013年07月31日 | 毎日の話
文字の傾き
前から新幹線のアドバンスのデザインされた大きなA文字の右側のラインの傾きが気になって仕方なかった。朝回送電車が止まっていたので、測って見ると、右に22.5度だった。だいたいあっているだろう。直角の半分、その半分。いい値だ。


源太郎(20)

2013年07月31日 | 腰折れ文
【源太郎】登場人物や設定は全て架空です。

一義の院長就任は、理事会で反対されることなく、思いのほかあっけなく無事承認され、その後、篤と共に婦長など全ての職員の辞令発令を終えて院長室に戻った。源太郎は、戻った一義に明日富山に出向くことを伝えにきた。一義は「外国に行くわけでもなし、何時でも会える。だから送別会でなく壮行会を今日したい」と言った。源太郎は、篤から既にこのことを聞いていたので、快く一義の申し出を受けた。

今日は、「男だけだぞ」と篤が言うと、源太郎は寂しいとおどけたが、篤の根回しと配慮にはいつもながらに感謝した。一人を呼べば、必ず一人増え、一人増えれば又一人増える。それよりも、源太郎が全てを託す男たちの飲み会が何よりの餞別だった。

それでも、男たちだけの飲み会は時が過ぎると寂しい。それは篤も解っている。篤は二次会用に小さなクラブを予約していた。見付駅の路地裏の店は元芸能人のママと女優の卵たちがいた。源太郎と篤はカウンターが好きだが、一義が話しやすいようにボックスに座った。ここのママは従業員の躾けが厳しい。勝手にお客の隣りに座ることはなかった。

篤とママが小声で話し、ママの目配せで二人の女の子が席についた。篤は最も離れた位置に座り、一義と源太郎が話しやすいように位置した。飲み物は篤が既に手配し、それぞれの前に、二人が好きな酒が置かれた。篤が、院長就任と源太郎の副社長の就任の音頭を発しグラスを少し持ち上げ、二人もそれに従った。

「一義、富山は近いがお腹の大きい玲子は今連れていけない。といって俺のお袋は当てにはならない。結局、お前と香さんに面倒かけるかもしれないが、頼むよ」と言うと、一義は任せろといい、源太郎は頭を下げた。そして、吹き切れたように、篤と共にいつもの遊び人に戻った。「篤さん。こんなに若い娘がいる店を知っていたとは。しかも赤坂だよ。篤さんは一度も僕を連れて来なかったじゃないの。ママ、いつから」篤はたまたま入った店で、ママと気があっただけと答えたが、明らかに違うことは、源太郎はすぐに理解した。

十一時を過ぎ、源太郎は玲子に電話をいれた。一義は先に帰るが、篤さんと飲みに行くので、朝帰るから先に休むように話し、明日夕方の便で富山に行くので、午前中に一度自宅に戻るといった。玲子は信頼している篤が一緒なので安心し、篤によろしく伝えて欲しいと頼み電話を切った。源太郎は、一義を店の前まで見送り店に戻った。すると、席は好きなカウンターに移動しており、篤の隣に座った。「やっぱり。カウンターが落ち着く」と源太郎が言うと、篤もそうだと答えた。

「富山の店は明日から使えるから大丈夫。桜木町の大通り側だから、心配ないし、彼女のマンションも市電で一駅と掛からない。お前のマンションも近くだから安心だろ。先のことだが小児科も近いから、玲子ちゃん来ても大丈夫さ」と篤は鍵を渡した。
「ありがとう。何から何まで世話になりました。本当に感謝しています」「こっちこそ、弟のことをよろしく頼むよ。無理言って申し訳ない」
しばらくすると、篤が「早く行ってやれよ。俺はここで飲んでいく。セレナには言ってあるから」と源太郎の予定をさしはかって言った。「じゃ。お先に失礼します。ご馳走になっなりました」と挨拶すると「早く行ってやれよ。気をつけてな」と篤は急き立てた。源太郎は、残りの酒を飲み干し、もう一度頭を下げ店をでた。

絵里香はマンションを既に引き払っているので、東京の最後の夜は小高い丘の上のホテルに泊まるように手配していた。彼女の荷物は既に送っているので、小さい旅行バック一つだった。それを入口側の荷物テーブルに置き、絵里香は窓脇のソファーに腰掛けて夜景を見ていた。「早かったわね」と玲子が立ち上がった。源太郎は何も言わずに絵里香を抱きしめた。煙草の匂いと酒の匂いが絵里香を包んだが、優しい源太郎の匂いは思い出多い東京を離れる絵里香にとって、最高の贈り物の安心感だった。

夕方、羽田空港の搭乗待合室に朝別れた絵里香が源太郎を待っていた。源太郎は保安検査場で病院関係者に出会い、話し込んだため、ギリギリに搭乗待合室に来て、右手を軽く上げた。絵里香はそれを見て安心し、先に機内に入った。富山便は離陸すると、すみ慣れた街が眼下に広がり、すぐに後方に流れていった。飛行機は一気に高度を上げ、北アルプスを過ぎると、着陸のために高度を下げ、富山湾を旋回して河川敷の空港に進入していった。搭乗時間は一時間足らずだが、陸路で移動すると、最も東京から離れた位置にある街が富山である。

空港に降り立つと、絵里香は源太郎のやや後ろを歩き「近いわね」と言った。
「ああ。この時間なら東京は恋しくないだろ」
「そうね」と言った彼女を振り返ってみると、源太郎は少し安心した。

いく度なくこの地を訪れた源太郎は、空港からバスで市内に向かうため並んでいる乗客を横に見て、タクシー乗り場に行き、絵里香の荷物と自分の荷物をトランクに入れて乗り込んだ。タクシーは直線だが信号の多い道を進み、大きな郊外の店舗を左右に見て市内に入った。彼女の荷物は明日届くので、源太郎は絵里香を彼女のマンションの場所に案内し、そしてすぐに駅前のホテルに向かった。チェックインし、荷物を部屋に入れ、夕食に出かけることにした。そして絵里香の新しい店の場所を案内し、いきいき亭の暖簾をくぐったが、魚を食べないことに気づき、近くの和食屋に入り直した。
「すまん。ダメだったよな。富山は魚が美味しいからつい入ってしまった」
「気にしないでいいのに。これからは、食べれるように努力します」と言って見たものの、源太郎は無理するなと諭した。

翌朝から、二人はそれぞれ、片付けや手続きに追われあっと言う間に時が過ぎた。それでも、知人が居ない彼女のために夕食は必ず一緒に食べ、その日出来事を報告し合った。まるで、あの頃の様な時が戻った思いだった。

週末に源太郎は東京に戻り、再び日曜日の最終便で富山に戻った。絵里香も店が忙しくなり、淋しさはなく日曜日の源太郎の帰りを楽しみに働いた。店は綺麗で長いカウンターが絵里香は気に入っていた。「少し広いわ。私だけでは無理ね。若い子もう一人雇おうかしら」と帰って来た源太郎にいうと、嬉しそうに「そうだな」と答える。その反応に「ダメ」と絵里香は口を尖らせた。笑いながら大通りを歩く二人の横を、市電がきしみながらゆっくり走って行った。



今年も土砂災害が起きてしまった

2013年07月30日 | 毎日の話
想像し難い雨が各所で降っている。二時間で250mmも降る雨。こんなことは誰も想像していなかった。昨年は阿蘇で大きな災害があった。今年も又山口や島根そして、石川県でも洪水や土砂災害が起きてしまった。
テレビ局は他人事の様に報道しているが、あの泥水の臭いを知っている人には辛いニュースだ。これ以上被害が拡大しない事を祈る。


雨の東京から長野に向かう

2013年07月29日 | 毎日の話
東京は、朝から雨模様。蒸し暑い。新幹線あさまに乗って移動しているが、最も早い電車で、上野、大宮、軽井沢、そして長野です。夏休みに入り、子供連れの家族(お父さんを除く)で車内は楽しそうな声があちこちから聞こえる。お父さん達。頑張って下さい。

iPhone/Jerry Emma


源太郎(19)

2013年07月27日 | 腰折れ文
【源太】登場人物や設定はすべて架空です。

絵里香の住み込み生活は二ヶ月を過ぎた。無精の源太郎は、都内で何する訳でもなく、時間を持て余していた。

源太郎が週末、久々に実家に帰ると、絵里香は晶子を見習い「坊ちゃん」と言って迎えた。源太郎は、「その言い方はやめてくれ」といい、「それより、今日は皆に話しているから、外食に出かけよう」と言って、年末の銀座に絵里香を連れて出かけた。

絵里香は、源太郎の後ろを只管歩いた。「絵里ちゃん、妹さん幾つだっけ」と源太郎はいつしか自分の妹に語りかけるように、絵里香ちゃんから絵里ちゃんに言い換え聞いた。

源太郎は大通り沿いの店でお揃いのスカーフを選んで購入し、耕治から絵里香姉妹へのプレゼントだと言って渡した。絵里香はこんな高価なものもらえないと断ったが、親父の気持ちだと言って渡した。そして、幸子が仕立てを依頼していた呉服屋に行き、絵里香の晴れ着を受け取ると、これは幸子から絵里香にプレゼントだといってそれも持たせた。絵里香は、両手に抱えたプレゼントを大事そうに持って歩き、こんな私にこの家族は、なぜここまでしてくれるのだろうかと思いいつつも、突然の贈り物は嬉しかった。

源太郎が、実家からアパートへ戻り際、絵里香に「妹が成人式だから。兄がお祝いしないといけないが、学生だから気持ちだけ」といい小さな箱を渡した。「源太郎さん。ありがとうございます。何てお礼したらいいかわかりません」とお礼を言うと、「じゃあ。妹をやめて、俺の嫁さんになるか」と笑い、振り返って右手を軽く上げ戻って行った。


年が明け、絵里香が故郷に帰る日がきた。夕方、土産を抱え東京駅のホームに登る階段を上がると、源太郎がそこに待っていた。絵里香は、源太郎が見送りに来てくれたと思い、「源太郎さん。見送りにきてくださったの。ありがとうございます」と言う、絵里香に近づき、そして耳元で「自分も九州に旅する」と言った。絵里香はその言葉に驚いたが、それ以上に、髪の毛が触れるほどに近づいた男の源太郎に戸惑った。

源太郎は、「女の子、一人で寝台列車に乗るのは心配だからね。護衛だよ」頭を軽く叩いた。「大丈夫ですよ。来た時も一人だから」と絵里香は胸を張った。その時、胸元にパールのネックレスが見えた。「気にいってくれて良かった」というと、絵里香は顎を下げ、見えはしないが、ネックレスを見る仕草をして、「ありがとうございました。この真珠綺麗なんです。似合いますか」「まあな。だから心配なんだよ。田舎から出て来た時は緊張していただろ。でも今は、おしゃれ出来る余裕がある。女の一人旅だと思われて、言い寄られたら困るだろ。だから晶子さんに車両を聞いて、切符とったんだ」女と言われ、絵里香は大人扱いしてくれた源太郎を見つめた。源太郎は「なんてね。本当は九州にいって見たいだけだよ」と言って、又頭を軽く叩いた。源太郎の本当の目的は、彼女の故郷を見て見たいこと、絵里香の晴れ姿を見たいこと、それと素直な絵里香を育てた父親に逢って見たいということだった。それを悟られないように、絵里香が抱えている重い荷物を源太郎が持ち、B寝台の車両に乗り込んだ。「この人は、一体何を考えているのだろう」絵里香は荷物を座席に納めている源太郎を見て考えていたが、この人を父親に合わせて見たいと思う心がある事に気がつき、そして驚いた。

寝台列車は定刻に走り始めた。次第に暗くなって景色を見ていると、源太郎が用意してきた、お弁当を開きお酒を取り出し、飲もうと言った。絵里香はまだお酒を飲んだことはなかった。「成人したからいいんだよ。チョットだけだよ」と言って初めて口にした。源太郎は、そんな絵里香がとても可愛く見えていた。時折車窓に映る絵里香の横顔は大人の女性だった。

絵里香は、グラスを片付け、店の灯りを消し鍵を締め、もう一度鍵を確認して、大通りに向かい、自宅に帰っていった。帰り道もあの頃に戻りたいと思い、時折涙がこみ上げてきた。




源太郎(18)

2013年07月26日 | 腰折れ文
【源太郎】登場人物や設定はすべて架空です。

源太郎は、十月の終わりの日曜日に、いつものように店に来た。すると、先に来ていた絵里香に元気がなかった。源太郎がどうしたのかと尋ねると、何でもないと言った。絵里香は故郷を離れ、既に二年郷里に帰っていなかった。

絵里香のもとに郷里での成人式の案内葉書が昨日届いていた。しかし、僅かな仕送りと、勉強の合間のアルバイト収入だけでは、東京で生活するのはやっとで、冬休みに故郷に帰ることなど無理なことと解りつつも、郷里が恋しかった。源太郎は、派手な生活もせず、絵里香とさほど変わらない生活をしていたが、お金には苦労してはいないので絵里香の気持ちをすぐには理解することはできなかった。「帰りたいけれど、田舎に帰る余裕もない」と心を開いて言葉少なげに話す彼女を前にして、源太郎は初めて彼女に提案をした。それは思いつきだった。

「なあ。絵里香ちゃん。僕の家はこの近くだけど両親だけが住んでいる。お手伝いさんが一人いるけど部屋が空いている。そこに住みこんだらいい。そして母が何もしないから、庭の掃除などを手伝ってくれれば、ちゃんとアルバイト代でるよ。学校も近いだろ」と源太郎が何を突然言い始めたのか、絵里香は解らなかった。食堂の女将さんが、「源ちゃん。それいいわね。その話。そうよ、そうしなさいよ。あそこのお手伝いの晶子さんは優しいのよ」と話しに割り込んできた。女将は先程からの話を全部聞いていた。「この店で雇ってあげればいいけど、儲かっていないから。でもいい話よ。決めちゃいなさいよ」

首を傾げる絵里香に向かって源太郎は続けた。「僕の素性を知っている連中は、僕に頼るのではなく、親父の地位を利用したいだけだ。そして仕事を紹介して、彼らが稼いだ金は娯楽に消えている。でも、絵里香ちゃんは違う。普通医大生と解れば、素性を聞きたがる。そんな人を僕は信用しない。でも生活のために、しっかり働きたい思いがある人なら、僕ができることはしれているが、それには答えたい。絵里香ちゃんだけ特別じゃあないよ。ちゃんと働かないとアルバイト代はでないからね。住み込みだから家賃はいらないし、働けば故郷にも帰れる。いい条件じゃないかな。僕は世話になっているお手伝いの晶子さんにも休みを取ってもらえるしね」絵里香は真剣に話す源太郎を見つめている。「よければこれから家に行ってみるかい」絵里香は、源太郎の優しさが嬉しく頷いた。

「ただいま」「坊っちゃん。お帰りなさい」玄関先に出た晶子は、源太郎の後ろにいる素朴な絵里香を見て、丁寧に挨拶した。絵里香は「坊っちゃん」という言葉に初めて触れ、本当にそんな世界があることに驚いた。そして「はじめまして」といって家に入った。
「親父。お袋もいたの」「あら、源ちゃん元気だったの」と幸子が振り向いた。
「今日は頼みごとがあって来たんだ。紹介するよ。僕の知り合いの絵里香さんだよ」絵里香は緊張して頭を下げるのが精いっぱいだった。「はじめてかしら。源ちゃんが女の子を連れてくるなんて」と幸子は絵里香を眺めた。

「この子を住み込みで働かしてくれないか。客間か僕の部屋が空いているだろ。掃除洗濯、そして庭仕事も何でもやるから。ただ、まだ二年生だから昼間は学校に行く、土日は晶子さんの手伝いをさせるよ。だけど、ちゃんとアルバイト代は払ってくれよ」源太郎が唐突に頼みごとを話した。
耕治は「お前の彼女か」と一言、源太郎に聞いた。
「ちがうよ。彼女は日曜日に大学の傍の食堂で昼飯だけを食べる友達さ」
幸子は、その場の雰囲気と源太郎の機嫌だけ考えて、「そうなの。源ちゃんがいいという人なら私はかまわないわよ。あなたどうなの」と言った。冷え切った両親を象徴するように、そして幸子に振り回されている晶子を思い、「お前達がよければ、いいよ。土日に手伝ってもらえれば、晶子さんも少しは楽になるな。誰かいないかと前から考えていたところだ」と答えた。

話がどんどん進んでいく。晶子が困っている絵里香を見て、台所に連れて行った。しばらくして、晶子が来て「旦那様、奥様、僭越ですがあの子なら私も安心して頼めそうです」といった。


引越し当日に、源太郎は数人の友達を連れ、絵里香のアパートにきて、あっという間に片づけ、自家用車に荷物を積み込むと実家に向かった。その日から、絵里香は大和家の使用人になった。

晶子が母親のように振る舞い、絵里香は一生懸命働き、そして学校に通った。そしてその月末に耕治からアルバイト代をもらった。絵里香にとって初めての給金で、部屋に戻り封を開けて驚いた。当時のサラリーマンの初任給と同じ額が入っていた。あわてて部屋を出て耕治の所に行き、驚いたことを話すと、「晶子さんからしっかり働いていると聞いている、これからもがんばってくれ」と言われ、絵里香は深々頭を下げた。