渓流は霧が漂い神秘的な空間だった。白樺も肌はひたすら白く、それが晴れるときつい太陽の光が差し込む。東京に向かっています。ボンドの音楽を聞きながら、七笑にマッタリです。第二バイオリンの彼女はとてもいい。
薄日がさす新宿をこれから出発。隔離されたホームの喫煙所はラッシュ状態。ホームは蒸し暑く、無風で電車の排熱が漂っている。松本もこの季節市内は清々しいとは言い難いだろう。それでも東京よりはまし。登山靴が重い。
1882年、最初の馬車電車が新橋から日本橋間に開通。
1884年、鉄道の上野から高崎間の開通式挙行。
1950年、朝鮮戦争が勃発。
1959年、長嶋が天覧試合でサヨナラホームラン。
1936年、イタリアの有名なデザイナー、アルマーニが生まれる。
そんな一日が始まる。
月曜日と違い,朝早くから人は動かない。遠くに箱根山の稜線が朝日によってくっきり見える。登山靴,ストック、写真機材、荷物はそれなりだが、スーツ姿。昔の集団…の様だ。
休日なので、一気に書き上げてしまった。短編だが、情景が浮かんでもらえればそれで幸せです。(注)この物語の登場人物、場所はすべて架空です。
十三
時が過ぎ、短い夏が終わろうとしていた。公介は病院にいた。美智子は着替えや必要なものをもって病院の通路をそわそわ歩いては止まっている。山下は、待合所のソファーに腰を下ろし、公介となにを話す訳でもなくタバコをくゆらしていた。
「公ちゃん。生まれたわよ」美智子がうれしそうな声を上げて待合所にとんできた。
「どっちだね」
「元気な子よ。かわいいんだから」美智子は母親のように喜んでいる。
「だから、どっちなの」山下は美智子を落ち着かせ再度聞いた。
「男の子よ。元気いいわ。公ちゃん良かったわね」
美智子は、公介の手を引くと、分娩室脇のガラス越しに自分の子供を探した。看護婦が置くから真っ赤な顔をした赤ん坊を抱いてきて、籐で出来た小さなベットに寝かせた。山下と美智子は孫が出来たように喜んでいる。公介は看護婦につれられて病室に入った。
「公介さん」
「大変だったな。かわいいよ。男の子だ。ありがとう」
「ううん。よかった。きっと公介さんに似ているわ。あなたが生きていてよかった」そういって、久美子はくしゃくしゃに泣いた。
「公介さん。ダムは」
「順調さ。調査はほぼ完了し、悪さしていた場所もわかった。改良設計もほとんど終わるので、春から工事がはじまるよ」
「東洋一なの」
「そうだよ。また巨大な貯水池ができるさ」
「そしたら、彼とボートに乗れるのね」
「彼って」
「あなたの息子よ」
後藤が知らせを聞いて階段を駆け上がってきた。
「所長。おめでとうございます。孫が生まれましたね」と冗談交じりに声をかけた。山下はまんざらでもない顔をして、「ありがとう」と答えた。
「所長。明日でここも最後ですね」
「ああ。ごとさんには世話になりっぱなしで、先に退職するとは思ってもいなかった」
「赤ん坊は奥様に任せて、今日は暇ですよね」
「ああ」といって、美智子の顔みると、「邪魔よ。行ってらして」という顔して笑っている。そして公介に向かっては、「お父さんが一緒でいいね」と聞こえるように赤ん坊に声をかけ、二人でゆっくりさせてあげたい気持ちを伝えた。
「上松に飲みに行きましょう。送別会と初孫の祝いですわ」
そして、公介と後藤は病院をあとにした。後藤はいつになく上機嫌で、駅の改札を抜けると、いつものホームの乗り場にたった。これから紅葉がはじまる。一年前揺れを心配して後藤と飲んだことが思い出される。上松につき、末広に向かった。末広の入り口は相変わらず白熱電球がともっていた。しかし、見慣れた暖簾はない。後藤がガラス戸をあけて入ると、すでに数人の男たちが待っていた。
「親父、所長さんをつれてきたよ」
「こんばんわ」と挨拶して山下が入ると、懐かしい顔ぶれが目の前にいた。
「あれ、斉藤。小川。」と山下は驚きの声をあげた。
「おう。やま。今日は貸し切りだ。あとでおまえのお気に入りもくると思うがね」と斎藤が振り向いて答えた。
「やま。ご苦労さんだったね」
「ありがとう。息子のこと。本当にありがとう」
「孫は見てきたかい。かわいいぞ。おまえもお爺さんか」
「ああ、さっき小川と一緒にのぞいてきた。俺にとっては外孫かな。やまの孫みたいなものだからね。お前のほうがそわそわしているんじゃないか。奥様にも世話になって、本当に済まん」
後藤が七笑の酒が注がれた杯を挙げ、「所長。長い間ありがとうございました」と深々頭を下げ、皆それに続いた。テーブルには、漬け物とホルモン焼きが並べられた。
むかしのダム仲間の飲み会のように、ただ々飲んだ。気持ちがいい。こんな酒は高山ダムの竣工式以来だと山下は思った。
「山下さんの送別会はこちらでしょうか」
こんな、田舎のしかも薄汚い飲み屋に、あか抜けた声が聞こえた。後藤以外の連中は振り返った。後藤は入口まで出向き、狭い店だが案内した。
「俺はカウンターにいく」と親父に告げ、後藤が山下の前の席をあけ、自分もコップと皿をもってカウンターに移った。二畳ほどの座敷は、山下と斉藤そして小川と恵子が座った。
「おしさしぶりです。山下さんの送別会があるということを後藤さんから連絡ありまして。丁度一時帰国中だったのでおじゃましました」
「小川です。いろいろお世話になりました」
「斎藤です。お元気でしたか」
「こちらこそ。その節は失礼いたしました」
「恵子さんはいつ戻るのですか」山下が問いかけた。
「来たばかりなのに、もう帰る話」
「失礼。今日は遠くからありがとうございます。ダムも落ち着きました。あなたには本当に感謝しています」
「いいわね、男は。いつまでもこんな仲間がいて。私もダム家さんの仲間にしてほしいわ」
「十分いけますよ。うるさ方の女所長でね」後藤が横から口をだした。
「そうね。その時はみなさんが部下よ。そうすれば、毎日魚釣りできますから。でも独り身だと寂しい寮生活です」
「その時は、私か後妻にもらってあげますよ」
「あれ、後藤さん。奥さんおられるんでしょ」
「鬼の女将がね」
「それならお断り、おなじ後妻なら山下さんのほうがいいわ」
「ごちそうさま」後藤がわらった。笑いの絶えない宴会は遅くまで続いた。
「ごとさん。いろいろありがとう」ガードをくぐって官舎に向かう坂道で山下は後藤に頭をさげた。後藤は酔った振りして、ふらふら歩き満天の星空をみあげて、作業服の袖で涙をぬぐった。それから二人はだまって歩いた。
「おとうさん。晋平も起きたようですし、寒くなってきますのでそろそろいいですか」久美子が諭すように公介に話しかけた。「ああ、そうだな」といって目を拭った。公介には新たな人生に檄を飛ばす三人の面影が湖面に映り、渓谷を吹き抜ける風の音が、残りの人生を祝福する山下と後藤と父親の声に聞こえた。
ダム湖のほとりには、父親の直筆の「無窮」と題する石碑が建立されていた。
無窮 : 永久なる仲間たちへ
ダムは嫌いだ。人の欲を駆り立て、自然を乱すダムは嫌いだ
ただ、私を育ててくれたダムと人々はいつまでも其処にいる
貴方たちと造ったダムはわが子のように
完
(注)この物語の登場人物、場所はすべて架空です。
十二
小川はテレビのスイッチをきって溜息をひとつついた。山下が全ての責任を表明したことに安堵したが、それよりも、公介に矛先がむいたとき、一切の敵を排除したその姿に感謝した。暫くして、課長を呼び、臨時点検をすぐ実行するようチームを編成するよう指示した。課長は係長以下を召集して今夜現地に出向く旨を小川につげ部屋を出ていった。小川は今回の問題が解決したら、辞意を表明する気持ちに傾いた。
「ごとさん。水位低下を始めるよ」
「はい。自動放流モードに移行します。運転主任。十時半放流開始で体制をとってくれ」
「わかりました」
「公介はいないか」後藤が執務室にもどって久美子に聞いたが知らないといった。
「久美ちゃん。遅くなってしまった。帰してあげたいがまわりはマスコミだらけで、運転手もいない。ここから家に電話をしてください」
「それと、公介がきたら観測室にくるようにいってくれ」
「わかりました。お電話かります」
「課長。通知通報はすべて完了しました。主ゲートを通常開度運用と緊急運用のどちらのモードで制御しますか」
「緊急運用モードでいいよ。ただ下流水位は十分監視するように」
「はい。現在発電取水も最大となっていますので、朝までには二米程度は低下できるでしょう。それからは無害放流量にまで上げれますので、かなり低下できます」
「決して規程を逸脱してはだめだ。ただ、限界ぎりぎりまで放流量を増加させていけ。とにかく急ごう」
「わかりました」
運転主任は、制御画面に刻々と表示されるデータをみながら、熟練した技能をひけらかすことなく、実に巧妙にダムゲートを開けていった。
「小川ですが」
「山下です」
「いろいろすまなかった。明日には本省の特別チームが現地につく。ただ、指揮権は所長にあるとしている。何にでも使ってくれ」
「助かる。十時半より放流を開始した。独断専行ですまん。少しでも早く水位を下げたい」
「わかっている。明日のマスコミ対応はしんどいと思うよ。ただ、水位降下時の計測記録は確実に測定してくれ。それがなによりの証拠だから。公介をこき使ってくれ。頼む」
「いろいろありがとう」
血相を変えて久美子が計測室に飛び込んできた。
「あっ。うぅ」言葉になっていない。
「どうしたんだ。久美ちゃん」
「公介さんが・・・」
久美子に導かれて、当直休憩室の脇の計測ケーブル中継室にはいった。
「公介。久美ちゃん。救急車だ」後藤は真っ赤になった公介の右手を押さえ、シャツを切り裂いた布で止血した。吹き出した血で、計器板の端子はみえない。
「馬鹿野郎。しっかりしろ」後藤が公介の首筋に手をやった。かすかだが鼓動が伝わる。
「おまえの責任なんてない。なにを考えているんだ。もっと大事なことがあるだろう」大声で、公介をしかった。遠くでかすかに救急車のサイレンが聞こえ、こちらに近寄ってくる。久美子の連絡で、山下も飛んできた。当直あけのスタッフも部屋のまわりをとりまいた。
「所長。私の指示でケーブル確認と補修を一人でやらしたのが原因です。ケーブルの補修の載、道具が滑って手首を切ってしまったようで」後藤は大声で謝った。その服はすでに真っ赤に染まっている。
山下は職員に命じて、報道関係を排除させ、玄関先に横付けされた救急車に、泣き崩れている久美子と当直あけの同じ血液型の主任を同行させ、公介を乗せた。玄関の蛍光灯は、公介の顔を死人のように照らした。久美子の紺色の事務服の胸元のブラウスは朱にそまり、真っ赤な手は、公介の左頬をさすっている。
救命士は血圧と脈拍を測定し、まだ期待があることをエンジンの音をかき消すほどの声で久美子に伝えた。久美子は、涙を浮かべすがる思いで頭をさげた。主任とは、発見があと五分遅ければだめであったろうとはなしている。
「久美ちゃん。だいじょうぶだよ。公介君は体力がある。昔はラクビーの選手だったんだ。君が早くみつけて良かったんだ。だいじょうぶだよ」久美子は、頷くばかりだった。
木曽病院までは、通常どんなに急いでも二十五分かかる。途中からは、木曽警察の白バイ隊が先導した。木曽の白バイ隊は全国でトップクラスの腕前を持っている。彼らが先導した救急車では一人の死人も出ていない。五台の白バイ隊は完全に交通路を確保する。救急車はすべてセンターラインをまたいでありったけのスピードで走れる。
「公介さん。病院についたわよ。しっかりして」握った手を救命士にはずされ、久美子は台車の脇を走った。大きな処置室のドアがしまり、ぽつんと長椅子にすわった。しばらくして、美智子が知らせを受けて駆けつけた。美智子に採血を終えたばかりの主任が状況を説明した。
「久美子さん。大変でしたね」
その声に振り返った久美子は、美智子にすがりついた。その体はふるえている。
「こんなことになる前に公介さんの気持ちを私が察していなければ・・・。思い出をいっぱい作ってくれた公介さんなのに、私はなにもしてあげられない。輸血さえ血液型が違うの。奥様、おとといから嘘をついていました」
美智子は、公介の好きな女性が久美子であることは、山下からも話を聞いていて察していた。ただ、彼女の献身的な姿をみるとかわいそうで言葉にならなかった。処置室のドアが開き、当直医がでてきた。
「本当に発見が早くてよかった。大丈夫ですよ。心臓の強い男です。大丈夫」といって久美子の肩を叩いた。久美子は、美智子にすがって全身でうれしさを表した。
「良かったね。久美ちゃん。将来の旦那様がこんなに早く死んじゃっては困るよね」
美智子が精一杯のうれしさを伝えると、涙でぐしゃぐしゃになった顔から真っ白な歯が見えた。
「山下です」
「はい。小川です」
「公介君が事故でけがをし、病院に運ばれましたが、安心して下さいだいじょうぶです」
「どのような具合ですか」父親の声に変わっている。
「出血がひどかったのですが、心配いらないとのことです」山下は家内が病院で付き添っている旨を伝えた。
「迷惑ばかりかけて申し訳ありません」
「彼も疲れていたのでしょう。とりあえず連絡まで」
山下は、病院名と電話番号を伝えると電話を切った。
シャワーを浴びて、着替えて観測室に戻った後藤は、なれない手つきで計測データの監視を行った。旨のポケットに手をやってタバコをとろうとしたとき、真っ赤になった作業服と一緒に洗濯機にほりこんだことを思い出した。
「ごとさん」といって肩越しに山下がタバコを差し出した。頭を下げ一本とると山下がつけたオイルライターの香りの方向にタバコをむけた。大きく吸い込むと、しばらくして監視機械の前は煙が漂った。
「所長。良かったですね」
「ああ。彼には悪いことをした。彼はこの問題を事前に把握できなかったことに責任を感じてしまったんだ。彼は被害者なんだよ。本当の罪人は、我々とエゴで出来たこのダムさ」
「そうかも知れませんね。でもダムは誰かが作らなければなりません。こんなことで誰もが臆病になってしまったら、二度とダムなんて出来ません。私はもう少しで定年です。でも所長や斉藤さんとダムを作ってきたことに誇りがあります」
「そうですね。我々の青春や人生そのものですね。こんな断層の一つぐらいで、我々の軌跡が消されるはずはない。公介やこれからの技術者が育つには、試練がいるがね。ただ二度と年寄りのエゴの後始末だけは彼らにさせたくない」
「はい。こんなことは二度とないことを祈ります。しかし本当によかった」
木曽谷の南駒ヶ岳の方向がうっすら明るくなった。机の灰皿はハイライトのフィルターが山のように盛り上がっている。山下は恵子に連絡を入れた。マイクからはダム放流の水の音が聞こえる。
「放流は順調です。あなたのおかげで危機は脱しました。ありがとう」
「所長さん。熱いコーヒーでもお持ちしましょうか」
「ありがとう」
ステンレスのポットをもって、恵子が現れた。使い捨てのコップにコーヒーを注ぐと、表を見ている山下に差し出した。
「山根さん。あなたは明日から渡米するんですね。そんな忙しいときにいろいろ申し訳ありませんでした」
「いいえ。私たちはすべての人を守るために働いていると思っているのです。ですから今回はいい仕事ができたと思っています」
「そうですか。ただ私はあなたに謝らなければなりません」
「どうしてですか」
「今回の件はすべて私たちが書いた筋書きにそって物事が進められたんです。もちろんダムが危険であることは嘘ではありません。ただ、我々一人の人間の力は限界があります。むかし斉藤がダムの高さを低くする提案をしたときは、私も小川も反対できなかった。斉藤の意見は正しかったんだ。でも我々には反対できなかった。今回の異常に気がついたのも斉藤が設置した高感度地震計が発端だ。今時ならすべてデジタルなのに、彼はアナログの出力を備えたものをあえて選択した。アナログは感性なんだよ。生き物はすべてアナログだから。ただ、単に危険ですといっても、お役所仕事では、一人の上申はどこかにすべて消えてしまうんですよ。そこで、あなた方の力を借りた。おいしい餌をまけばと思ってね。案の定くわえてくれた。あなた達の力をこちらの筋書きの上に走らしたのさ。悪いとは思ったが、小さな力を大きくするにはアンプが必要だった。でも、あなたは想像以上にすばらしかった。あなたでなければここまでにならなかっただろう」
恵子は、一口コーヒーを飲むなり口を開いた。
「気がついていたわ。話がうますぎるもの。でもあなた達は嘘をついていないと思った。正しいことをしたと思っている。あなたとは早く知り合いになりたかった。いい思い出になったわ。それより、さっき連絡で、小川局長が今回の責任を建設大臣から言及されたらしく、もうすぐ記者会見が本省であるようだわ」
恵子は立ち上がると、テレビのスイッチをつけた。いくつかのチャンネルを回すと会見場が写し出されている。
しばらくすると、悲痛な顔立ちをした次官がしゃべりだした。
「今回の問題は、技術者の良心にてらして問題がある。実現可能なダムの高さをねつ造し、問題を指摘した技術者を排除し、さも問題ないとしてダムを運用してきたことは、河川管理の長たる者は譴責に値する。建設大臣は今回の問題を適正に処理するため、独自の学識経験者による調査プロジェクトチームを編成した。今後ダムの健全性を徹底的に検討し、ダムの改修も含めた検討に着手する」つぎに小川がたった。
「今回のダムにおける問題について、これまでの監督不行き届きに責任を痛感し、先ほど辞任の意向を次官に説明し了解を得ました」簡単な挨拶であった。マスコミから幾人かの質問があった。
「インター問題について、大桑村村長との疑惑が取りざたされていますが」
「いえ。一昨日付けで決済されていますが、インターは南木曽町に決定しています。林野庁とも協議をかさね、国有林を広く観光客に解放し、今後の森林事業にも貢献できることで合意されています」
「お忍びで大桑村から招待を受けているとのことですが」
「知事からは特別な要請はあがってきておりませんし、来週は、学会出席が急遽きまっていますので、そのようなことはないでしょう」次官と関係者は手短に会見をすますと退席した。
「本当に、嘘の塊なのね。人間が信じられない」
「小川にはすまんことをした」
「所長。あなたはこれからどうするの」
「この処理が終わったら、退職する予定だよ。営林署の植林作業員の募集があったので、そんなことをしながら妻と二人でね」
「あなたのような技術者ないなくなると不安だわね」
「いや、けがをした小川君などいっぱい優秀な人材はいるよ。われわれより遙かに優秀な人間がね。彼らが嘘だけはつかないでいてくれたら、そして他人の意見を真剣に聞いてくれたら、バラ色さ」
いつになく遅咲きの露草。 露草は色々な呼び名がある。蛍草、帽子花、青(藍)花、鴨跖草、着草、そして万葉集では月草とも呼ばれる。可憐な花だが、これも雑草扱い。露草の花言葉は、尊敬という人が多い。誰が決めたのかな? 私なら carino,graziosoの様な可憐なとか愛くるしいとするな。そうすれば、草取りしない理由になる。 そして、左にはベニシジミがチョコンととまっていた。ベニシジミだと思う。