見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2014年2月@京都(京都市美術館)、奈良(大和文華館)など

2014-02-12 22:41:48 | 行ったもの(美術館・見仏)
広範囲に大寒波がが襲来した週末、金曜の夜のうちに札幌→名古屋に移動しておいてよかった。土曜の朝は、名古屋もうっすらと雪。東海道新幹線は上下線とも大混乱だったが、なんとか京都にたどり着く。京都も小雪まじりだったので、外を歩くことは避け、京都市美術館へ。

京都市美術館 開館80周年記念展『京の美・コレクションの美・明日への美~京都市美術館コレクション問わず語り』(2013年12月14日~2014年2月23日)

 昭和8年(1933)、東京都美術館に次ぐ日本で二番目の大規模公立美術館として設立されて以来の、コレクション形成史を振り返る。開館当時の趣旨説明に「現代美術を収集・公開する施設の必要から」みたいな言い回しがあって、「現代」だったものが、いつか「近代」に後退していくのを面白いと思った。「後退」と書いたけど、私は、ちょっと前の現代(と未来)を缶詰にしたような「近代」美術館や美術作品がとても好きなのである。

 気に入った作品は、入江波光『彼岸』、池田遙邨『南禅寺』、佐藤光華『大原の人』など。調べたら、みんな関西生まれの画家だ。知らない名前ばかりだった。丹羽阿樹子の『遠矢』は、一昨年『京の画塾細見』という展覧会のポスターになっていたもの。見逃した作品だったので、うれしい。あ、女性画家の作品なんだ、と初めて認識する。久しぶりに安田雷州(雷洲)の版画も見た。

京都市歴史資料館 テーマ展『愛宕信仰と山麓の村』(2014年2月1日~4月23日)

 ネットで情報を見つけて、行ってみることにする。初めて行く展示施設だ。すぐ近くに新島襄旧邸があって、びっくりした。愛宕神社(京都市右京区)の信仰と山麓の村々のかかわりに関する資料(主に文書・絵図)約50点を展示。「どこで行き倒れても故郷への連絡は不要」という書付を持って旅をしていた巡礼客、村と村の境界をめぐる激しい対立(現代の国境紛争みたい)など、人々の姿が垣間見えて面白い。

宝蔵寺(中京区裏寺町通り) 寺宝特別公開(2014年2月6日~12日)

 これも出発直前、東京の友人から教えてもらった情報。同寺所蔵の『竹に雄鶏図』が若冲本人の作品であることが、ミホミュージアムの岡田秀之学芸員によって確認されたので展示するという。まあ、若冲の作品か工房作品かはムニャムニャだが、ふだん非公開の寺院なので、行ってみたくなった。同寺の墓地には、伊藤家代々の墓、若冲の両親の墓、弟の墓がある(若冲の墓はない)そうだが、これは参拝できず。折しも2月8日は伊藤若冲の誕生日で、15時から「生誕会」も予定されていたが、ここまでするのは苦手なので、法要が始まる前に寺を出た。

大和文華館 特別企画展『煌めきの美-東洋の金属工芸-』(2014年1月5日~2月16日)

 奈良に向かう途中で寄り道。印象的だったのは、冒頭のセクション「神仙の世界」にあった、主に中国古代の個性的な造形。『青銅匕』は箆(へら)のかたちで、柄の上に二頭の四足獣が載っている。ウサギと…オオカミ? 『青銅人物像』には「細川家蔵の金村古墓出土人物像に髪型が似ている」という解説があった。どうやら昨年末に永青文庫で見た銀人立像のことらしい。『青銅怪獣文鎮子』は三頭の怪獣が身をくねらせ、からまり合って蟠る。諸星大二郎ワールドっぽい。厭勝銭(魔よけの銭)も珍しかったなあ。

 時代が下って「遼代」となる文物には、遼(契丹)好きなので目が留まる。もとは扉つきの厨子形だったと推測される『金銅板仏』(展示リストには唐末期とあり)。『銀製鍍金瑞花双鳳文扁壺』に「豊麗さに欠ける器姿、やわらかく豊かな写実性に欠ける双鳳は、遼の作風の一面である」というケンカを売ってるみたいな解説がされていて、苦笑してしまった。

 あわせて、高麗の楊柳観音図や平安時代の金胎仏画帖が見られたのも嬉しく、光悦蒔絵『群鹿文笛筒』は展開写真が楽しかった。本当は白鶴美術館や久保惣美術館から特別出陳の、唐宋の銀器の名品にこそ言及すべきなんだけど。

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