見もの・読みもの日記

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2014年11月@西日本:空海の足音 四国へんろ展(香川県立ミュージアム)

2014-11-27 22:51:34 | 行ったもの(美術館・見仏)
香川県立ミュージアム 『空海の足音 四国へんろ展』《香川編》(2014年10月18日~11月24日)

 9月の《高知編》《愛媛編》に続いて、4県コンプリートを目指して、今月は《香川編》と《徳島編》を見るためにやってきた。まず、11/23(日)朝9:00から開いている同館に到着。玄関の表示が「閉館しました」のままになっていたので、時間を間違えたか?と動揺したが、館内にお客さんの姿が見えたので、中に入ってみる。時間節約のため、入場券と一緒に展示図録も先に買っておこうと思ったら「完売しました」の表示。「えっ。売り切れなんですか!?」と無意味に念押ししてみたが「そうです」という答えだった。

 気を取り直して、会場内へ。入口の左右に、香川・善通寺三門の金剛力士像(南北朝時代)がにらみを利かせている。筋肉隆々とした裸形。右側、阿形像は独鈷のようなものを振り上げる。門前(?)の左奥には香川・松尾寺の大師坐像(鎌倉時代)。全体に黒ずんだ木彫像で、親しみやすい生々しさが感じられる。きりっと唇を結び、優しい視線をやや下に向ける。仁王像の右側には、香川・與田寺の稚児大師像(画軸)。ううむ、これまで訪ねた2館よりも、みやこぶりの優品が多い感じがする。

 《高知編》にも出ていた、善通寺所蔵の錫杖頭(唐時代)に再会。和歌山・普門院から出品の、小さな仏龕に収まった釈迦如及諸尊像(枕本尊)も唐時代の工芸の粋。和歌山・金剛峯寺の水神像も、室町時代とあったけれど中国風な感じがした(と書きながら、具体的な姿の記憶が曖昧である。図録、欲しかったな…。

 金剛峯寺の『比丘尼法薬(ほうやく)埋納経塚遺物』は、びっくりするような品物だった。昭和39年、御廟基壇から東に10メートルほどの場所で発見されたそうで、「埋納経の中では奇跡的に保存状態がよい」。永久二年(1114)の記載を持つ経巻は、草木染めのような緑色で、波型の縞模様を摺り出した料紙を用いており、施主として「天皇家もしくは藤原家に近い高貴な女性」を想像させると解説にあった。どなただろう? 永久といえば、鳥羽天皇の御代である。同じく高野山の近衛家歴代墓付近から出土した飛鳥仏とか、大谷大学博物館の『三教指帰注集』(平安時代、最古の注釈、粘葉装?)とか、他県からの借り物も全体的に質が高い感じ。京都・安楽寿院所蔵の絵巻『高祖大師秘密縁起』は《高知編》でも見たのだったな。背景や料紙に比べて、人物が大きめに描かれているのが、子どもの絵本みたいで面白い。

 ご当地ものでは、香川・志度寺の十一面観音像(画、鎌倉時代)は完全に宋風だった。『白峯山古図』など、寺院の全体図を一望できるように描いた古図(江戸もの)がいくつか出ていて面白かった。地図とも絵解き図とも違う効用があったんだろうな。徳島・長楽寺の『弘法大師行状曼荼羅』(刺繍)は、各館で展示されていたが、ここでは細部の写真を小さなデジタルサイネージでスライドショー式に見せていた。白峯寺から、小さな銅造の不動明王坐像(平安時代)が出品されていた。頭上に蓮華を戴き、片側に流した長髪をまとめた優美な姿。「伝来は不明であるが、その優美さや威厳に満ちた憤怒の表情から、崇徳上皇の存在を想起せずにいられない」と解説にいう。

 常設展示も急ぎ足で参観。東寺「後七日御修法」の空間再現展示があったり、金剛峯寺の『善女龍王図』の複製があったり、さすが弘法大師推しだな、と改めて感じた。

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