見もの・読みもの日記

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二番手のおもしろさ/夢に挑む コレクションの軌跡(サントリー美術館)

2011-04-03 23:38:47 | 行ったもの(美術館・見仏)
サントリー美術館 開館50周年記念『美を結ぶ。美をひらく。』「I 夢に挑む コレクションの軌跡」展(2011年3月26日~5月22日)

 サントリー美術館の開館50周年を記念する展覧会シリーズその1。同館は、1961年に東京・丸の内に開館して以来、1975年の赤坂見附への移転を経て、2007年に六本木へ移り、今年、開館50周年を迎えた。丸の内パレスビル時代はさすがに知らなかった。展示されていた完成イメージ図を見ると、格調高いが華はない、いかにもオフィスビルの中の展示施設で、ちょっと神田の天理ギャラリーを思わせる。

 開館記念展の図録の表紙に使われていたのが、かなり大ぶりの織部四方蓋物。白地に黒の幾何学模様に明るい緑釉をさっと刷いた青織部である。何度か見ている作品だが、これが開館記念展の目玉だったのか…と思うと、感慨深い。

 「生活の中の美」を基本理念に掲げた同館で、最初に充実を見たのは、漆工のコレクションだったという。小さな蒔絵香合の優品がたくさん並んでいて、もの珍しかった。『兎蒔絵茶箱』も初見のような気がする。育ち過ぎたようなウサギがブサ可愛い。こういうコレクション展は、ふだん二番手、三番手に控えていて、あまり見られない作品が見られて、おもしろい。

 「屏風と御伽草子」の説明に「掛軸に対する屏風の比率が高い」ことが、同館コレクションの特徴として挙がっており、なるほどと思った。数が多いと、どうしても登場回数は減る。金泥の雲と渓流に咲く桜を描いた『吉野図屏風』は、晴れやかで美しかった。2007年の開館記念展に出ているが、展示替えがあったので、見ているかどうか。奈良絵本『かるかや』、絵巻『鼠草子絵巻』、白描『善教房絵巻』など、一見するだけで微笑まれる作品が多いが、注目はサルを擬人化して描いた『藤袋草子』絵巻。現在(~4/18)は、擬音の多い場面が開いていて楽しい。変体仮名には自信がないのだが、酒をつぐ音は「つぶつぶ」かな?(狂言では「どぶとぶ」だが…。)笛、太鼓、鼓を奏するサルたちのまわりにも、擬音らしきものが書き込まれているので、ぜひ読み解いてほしい。

 同館の誇るコレクションのひとつに「ガレと世紀末のガラス」があるが、実は、これまで興味がなくて、一度も見たことがなかった。ランプ『ひとよ茸』がこんなに大きいとは、衝撃的。

 それから茶道具を見て、最後が「新収蔵品初公開」のセクション。伝・狩野元信の『雪中花鳥図屏風』(特に左隻)は、どこかで見たことがあるような気がする…。胸の赤い大きな鳥が記憶に残っているのだが、類品を見たのかな。解説に「吐綬鶏」とあって、何のことかと思ったら、シチメンチョウをいうのだそうだ。

 参観中に館内放送で地震警報が流れて、ちょっと緊張した。しばらくこんな感じなのかな。嫌だなあ。

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