見もの・読みもの日記

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磁州窯の名品、刀剣もあり/中国の陶芸展(五島美術館)

2023-02-22 23:55:00 | 行ったもの(美術館・見仏)

五島美術館 館蔵『中国の陶芸展』(2023年2月18日~3月26日)

 漢時代から明・清時代にわたる館蔵の中国陶磁器コレクション約60点を展観。会場に入って、まず全体を眺め渡し、おなじみのあの作品やこの作品が出ていることを確認する。やっぱり最初に引き寄せられてしまったのは、磁州窯の『白釉黒花牡丹文梅瓶』。「白釉に黒花」というが、黒の面積が大きくて、どちらが地色かよく分からない。三角形に盛り上がった牡丹花は、あふれ出る生命力の象徴のようだ。単立ケースに展示されていたので、反対側にまわってみたら、同じようにゴージャスな牡丹花が下を向いていた。

 その手前、いちばん目立つ位置に展示されていたのは『青磁鳳凰耳瓶(砧青磁)』。記憶の中の青磁の名品『万聲』『千聲』などと比べると、ひとまわり大きい。この種の瓶の中で最も大きいのだそうだ。大きいけれど間の抜けた感じはなく、堂々とした風格がある。青みの強い粉青色も美しい。

 2つの名品を堪能したあとは、壁の展示ケースの先頭から見ていく。戦国時代(紀元前4~3世紀)の作だという『瓦胎黒漆量』と『瓦胎黒漆勺』も大好き。我が家のキッチンに欲しい。『灰釉刻文双耳壺』には、いたずらみたいな線刻がある。解説に「鬼面あるいは獣面」とあったけれど、ドラえもんに似ていると思った。

 以下、時代順に、漢・西晋・唐・五代・遼・北宋と進む。遼時代の『緑釉牡丹文鳳首瓶』も好き。あとは定窯の白磁水注や磁州窯の緑釉鉄絵瓶など、おなじみの名品かな、と思っていたら、鈞窯の『月白釉水盤』(北宋~金時代)に目が留まった。月白釉と呼ばれる白っぽい青色もよいが、うつわのかたちが面白かった。円形の浅い器で、雲のかたち(?)の三本足が付いている。側面には、パチンコ玉ほどの小さな丸い飾り(金色?黄色?の釉薬をかけているが、材質は同じ陶磁製だと思う)が、一定間隔で24個並んでいて、天空をめぐる月か太陽を思わせた。よく見ると飾りの列は2本あるようだった。ちなみに忘れていたけど、2016年の『館蔵・中国の陶芸展』にも出ていたようだ。明清の青花や赤絵もいいが、やっぱり私は唐宋のやきものに惹かれる。

 第2展示室は、館蔵「日本の名刀」の特集展示だった。同館が刀剣を所蔵していることを初めて認識したのは、私が全く刀剣に興味がないせいかもしれない。適当に見ておこうと思ったのだが、その美しさにちょっと心を動かされた。特に『太刀 銘:大和国当麻』にしばらく見惚れてしまった。奈良の当麻寺に所属する刀工集団・当麻派の作らしい。このあと、私がじわじわ刀剣というジャンルに目覚めたとしたら、この日が起点と言えるだろう。なお『短刀 銘:行弘』は、柳沢吉保の三男・安基が学問の弟子となったことにより、将軍綱吉から安基が賜ったという解説が付いており、思わずNHKドラマ『大奥』のキャストで妄想してしまった。

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