見もの・読みもの日記

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見たもの拾遺:教派神道の教祖と儀礼(国学院大学博物館)ほか

2015-06-28 23:07:32 | 行ったもの(美術館・見仏)
国学院大学博物館 平成27年度第2回企画展『教派神道の教祖と儀礼』(2015年6月1日~6月30日)

 山種美術館に行ったついでに、徒歩圏内にあるこの博物館に初めて寄った。同大学のキャンパスに入るのも初めてだ。今、まさにキャンパス再開発が進行中らしく、おしゃれで近代的な建物がたくさん建っていた。博物館は、図書館、情報センター、多目的ホールなどと一緒に、学術メディアセンターの中に入っている。入館無料。

 教派神道とは、明治時代に政府から公認された神道教団のことで、多くは幕末から明治時代にかけて生まれた神道系の民衆宗教が基盤になっている。よく知られた団体をあげれば、大本(教)・黒住教・金光教など。国学院といえば、神社神道(国家神道)の元締めというイメージがあったが、歴史的に、教派神道とも全く無関係ではないらしい。黒住教の教主の肖像画や、初めて見る出口なおの「お筆先」など、興味深かった。木曽御嶽山を主道場とする御嶽教(おんたけきょう)や冨士講を統括した扶桑教など、山岳信仰は全国的な組織力を持っていたんだな。

 企画展コーナーは小規模だったが、続けて常設展を見る。「神社祭礼に見るモノと心」展示ゾーンには、大嘗祭の斎場の模型があって、今しも地面を踏まないよう、敷き物の上を渡っていく天皇の姿が。新嘗祭の神饌の容器は、柏の葉を枡形に折って造る。蒸し寿司みたい。厳島神社の玉取祭の宝珠とか、鷽替え神事の鷽、蘇民将来など、面白い。考古展示ゾーンには、火焔土器、土偶、銅矛、銅鐸、勾玉などがゴロゴロ。大神神社の山ノ神遺跡の実物大模型には、見てはいけないものを見てしまったようで軽いショックを受けた。

 さらに同博物館の前身である「考古学陳列室」(のち考古学博物館)の創設者である樋口清之博士(1909-1997)についての展示は非常に面白かった。考古学陳列室は、当時学部生であった樋口清之氏によって創設されたって、びっくりである。博士が収集した考古資料の膨大なコレクションのほかに博士の発掘道具や地下足袋、博士自作の仏像や神像も展示されていた。黒曜石の原産地アトラスをつくるために集められた標本とか、縄文原体標本(どういう結び縄をつくると、どういう文様がつくれるか)など、ちょっと他の博物館では体験できない、物量に圧倒される展示だった。

ディスカバリーミュージアム 第17回企画展 永青文庫コレクション『大名の旅 参勤交代:いまは飛行機、むかしはお船』(後期:2015年5月19日~7月5日)

 先日、熊本へ出張で出かける前に立ち寄る機会があった。面白かったのは、肥後細川家初代・忠興が建造し、細川家の歴代藩主が参勤交代に使用した御座船「波奈之丸」の絵図など関連資料。これ「はなのまる」かと思ったら「なみなしまる」で、しかも「波、之を奈(いか)ん」との漢文読みに由来するという解説に、まずびっくり。御座船に載せられていたという『船印屏風』も面白かった。各藩の舟印の一覧になっており、実用性が高い。また元禄7年刊「世説新語」には「寛延三年五月二十三日芸州蒲刈浦」(広島県呉市)という識語があり、今もむかしも旅のひまつぶしは読書だったことが分かる。というより、集中して読書するなら旅先に限るね。
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